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希望の党、小池代表が欲しいのは「手駒」だけ

10/13(金) 12:01配信

ニュースソクラ

「都民ファーストの会」離党組が明かした不都合な真実

 音喜多駿、上田令子の両都議が、10月5日、「都民ファーストの会」に「離党届」を提出、その後の会見で、ブラックボックス化した会の運営を痛烈に批判した。

 民進党を丸呑み、安倍自民が恐怖する存在となった小池百合子都知事が率いる「希望の党」は、「排除の論理」で民進党候補を「選別」し始めたあたりから期待感が薄れ、小池氏の不出馬宣言で安倍政権を支える自民・公明両党にとって、今やそれほど恐れる存在ではなくなった。

 それに加えて、2人の離党組が明かしたのは、希望の党の原型ともいえる都民ファーストの会が、小池氏とその周辺が支配する秘密組織であること。同会では議員たちが、代表選出過程も党の規約も会派運営費用も明かされず、言論の自由は許されず、議員同士の食事も認められない厳しい統制下に置かれているという。

 この統治手法は、小池氏が「黒い頭のネズミ」と呼んで追い詰めた自民党都連の内田茂前幹事長が、側近らと都議会を支配したやり方と同じである。違いは、小池氏がマスコミを従え、前面に出て小気味良く切り込んでいったのに対し、引退を余儀なくされた内田氏が、最後まで後ろにいて沈黙を守ったこと。

 昨年7月末の当選後、手兵なく単身、都議会に乗り込んだ小池氏を支えたのは、音喜多、上田両氏らの会派「かがやけTokyo」だけであり、2人は都民ファーストの会躍進の原動力となった。

 音喜多氏は、今年3月、『東京都の闇を暴く』(新潮新書)を上梓、「都議会のドン」である内田氏の存在を明かし、そこに戦いを挑む小池氏と自分たちの意味と意義を説明しているのだが、1年2ヵ月を経て音喜多氏が確認できたのは、内田氏と小池氏が同じ統治方法を持つという皮肉だった。

 理由は簡単である。トップダウンの方が迅速で機敏に対応できる。

 内田氏は、政官業癒着構造のなかの調整役を期待され、不満の少ない解決法を見つけねばならず、配慮はするが有無を言わさぬ決断で処理した。小池氏は、大半が素人の議員集団を率いるにあたり、細かい調整と気配りをしている余裕がなかった。

 まして小池氏には、国政に対する野望があった。日本初の女性宰相になるには、65歳という年齢を考えれば今しかなく、都知事を1年強で放り出すことへの批判は無視するしかない。まして都民ファーストの会の不平不満など聞いている暇はなかった。

 結局、政治は数の論理である。都民ファーストの会は小池氏にとって「手駒」に過ぎず、首相になるために結成した希望の党も同じである。若狭勝氏や細野豪志氏らに任せていてはラチが明かず、だからリセットした。

 そのスピード感は、ワンマンな独裁者だからできること。配慮や遠慮は、天性の勝負師として「賭け時」を知る小池氏にはムダなことだった。

 しかし、手駒にされた方も黙ってはいない。まして、音喜多氏はSNSで1年365日、情報を発信し続けたブロガーであり、上田氏は都議の前には区議、そして地域政党「自由を守る会」(都民ファーストの会の指示で今年4月に解党したが復党予定)を持つ一家言ある政治家である。

 私についてくるのかこないのか――。

 候補者に踏み絵を踏ませた希望の党のやり方は、都民ファーストの会の統治手法と同じ。それが「政党」の域に達していないのは、音喜多氏が「党運営・会派運営の改善について」で指摘した文書によって明らかで、同様に希望の党は小池氏が自ら首相になるための舞台装置に過ぎない。小池氏が欲しいのは、自分への全権委任状だけである。

 音喜多、上田両氏の離党は、その事実を告示日直前、都民=国民に知らせた効果があり、それは小池氏の「不都合な真実」を暴く結果となって、希望の党にまたひとつ水を差したのである。

伊藤 博敏 (ジャーナリスト)

最終更新:10/13(金) 12:01
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