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藤巻亮太「湧き出るものを信じる」クリエイティブ願望溢れた新譜/インタビュー

2017/10/13(金) 12:01配信

MusicVoice

 シンガーソングライターの藤巻亮太が、9月20日に3rdアルバム『北極星』をリリース。2000年にレミオロメンを結成し、「3月9日」や「粉雪」などのヒット曲を残して2012年に活動を休止。その同年に藤巻亮太としてシングル「光をあつめて」でソロデビューした。3rdアルバム『北極星』は、「レミオロメンとの相対関係でのソロではなく、本当の意味でのソロになれた」と話す自信作。さらに、今作にはレミオロメンのメンバー神宮司治と前田啓介が、数曲のレコーディングに参加。2人との久しぶりの共演も自然と楽しめたと話す。「マーケティングでは、クリエイティブなものは作れない。自分から湧き出るものを信じるほかない」と、苦悩しながらも導き出した、答えが詰まったアルバムになった。

タイトル曲の「北極星」は、原点である山梨で制作

――今作は、何かイメージしたことはありましたか?

 何かを狙ったわけではないけど…。1作目の『オオカミ青年』は、自分の気持ちを吐露していくように、レミオロメンとしての10年からの反動で出来た。2作目の『日々是好日』は、レミオとソロの間に線を引いて視野が狭くなっていた自分を打ち消すことで、ある意味での開き直りの力で作った。その上で今回の3作目は、本当に日常の中から歌が出来ていったと言うか、本当に理由がないんです。理屈じゃないところで音楽が立ち上がっていった。そういう意味では、これが僕の本当のソロだなと思うものが出来たと思っています。

――事務所のスタジオに通って、曲作りをしたと聞きました。

 それで最初に出来たのが「優しい星」です。大事なのは、曲が出来ても出来なくても、毎日スタジオに通って、自分の音楽と向き合うことだったと思います。たまに屋上でボ~っと空を眺めながら「大丈夫かな俺、こんなんでソロなんかやっていけるのかな~?」と、不安な気持ちになったりもして。でも、そうやって日々スタジオに通い続けた時間が、今回のソロアルバムを作ったと思います。

 夏目漱石が、「小説を書くことが大事なのではなく、毎日机の前に座ることが大事だった」という言葉を残していて。やっぱり突然ソロになったわけじゃなくて、あてもなくスタジオに通い続けた日々を過ごしていく中で、徐々にソロの藤巻亮太になっていった実感があります。前の2作は、レミオとの相対的な関係としてのソロだった。でも今回は、比べるものは何もなく、ただのソロだと言えるものだなと。

――「優しい星」は、アコギと歌で始まる曲で、どこか明け方の涼しい空気感もありながら、力強く前に進むような曲ですね。同じ星の付く曲でも、タイトル曲の「北極星」は、山梨で公民館を借りて曲作りをしたとか。

 東京で煮詰まって、ちょっと場所を変えてみようと思って。それで、ふと実家の近くにあった公民館のことを思い出して、お願いしたら貸してくれたので、ギターとかちょっとした機材を持ち込んで曲作りをしました。

 ふと窓を開けたら、自分が生まれてから18年間見ていた、葡萄畑や南アルプスがある風景が広がっていて。それを見ながら、これが僕の原点なんだと、すごく思いましたね。そこで出会った人や経験したことが今の僕を作っていて、その中でも最大の出来事だったのは、(神宮司)治と(前田)啓介と出会ってレミオロメンを組んだことです。そのレミオも神社をスタジオ代わりに借りて1年間練習していた“神社時代”というのがあって、その神社時代の1年が僕らの原点だったし。そんなことを考えていたら、音楽や二人への想いがあふれ出して来て、あふれる想いのままに書いたのが「北極星」という曲です。

――「北極星」は、他の星のようには動かず、いつでもそこにある。道しるべとしての原点みたいなことで?

 そうですね。音楽をやる上で、これからもきっとたくさん刺激を受けたり、ブレたり迷ったりすると思います。でも、最終的には自分の中からわき上がるものを信じるしかなくて。どんなに揺れても、また戻って来る場所と言うか。訳もなく楽しくてやっていた山梨での経験が、自分の中心にあるのかなと。それが僕にとっての、動かない星なのかもしれないと思って付けました。

――レミオロメンのメンバーの話も出ましたけど、今作にはその2人もレコーディングに参加していますね。

 今回のアルバムについて、2つトピックを挙げるとしたら、藤巻亮太として「これがソロだ」と自信を持って言えるアルバムが出来たことが1つ。もう1つは、2人がレコーディングに参加してくれていることです。

 今年の春に僕のライブを見に来てくれて、「今手応えのあるアルバムが出来そうなんだ」と話をしたら、2人から「手伝うよ」と自然に言ってくれて。治は「優しい星」と「紙飛行機」、啓介は「Blue Jet」と「Have a nice day」と「マスターキー」で演奏してくれました。

 一緒に音を鳴らしたのは久しぶりだったけど、以前とまったく変わらなくて、すごく楽しいレコーディングだった。誰かが先導して集まったわけでもないし。きっと、そういうタイミングだったのだと思います。また一緒に音楽を鳴らすことが出来たことは、僕にとって幸せなトピックスです。

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最終更新:2017/10/13(金) 12:01
MusicVoice