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駅前シンボルの木、今のまま残して…住民ら望む 東武鉄道「残念ながら困難」 高齢者福祉施設の建設予定で

10/13(金) 10:30配信

埼玉新聞

 埼玉県さいたま市大宮区寿能町1丁目の東武アーバンパークライン大宮公園駅前のシンボルとなっていたヒマラヤスギ2本のうち1本が、伐採か移植される可能性が高まっている。高齢者福祉施設などが建設されるためで、事業主の東武鉄道(東京都墨田区)は「敷地内に残すのは困難」とする一方、近隣住民からは「何とか今のまま残せないか」と、駅前風景の存続を望む声が上がっている。

 施設の建設予定地は、同駅南側約2076平方メートルの東武鉄道が所有する敷地。同社が開発を申請し、駐輪場などとなっている土地に、地上5階建てのサービス付き高齢者向け住宅と集会室、駐輪場などの建設を予定している。

 同駅は1929年開業、大宮公園や大宮盆栽村を訪れる人々の玄関口となっている。東西に並んで立つ2本のヒマラヤスギは開業当時から駅前にあったとされ、東側の木は高さ約16メートル、西側の木はそれよりやや高く、20メートル弱。西側の木は昨年4月に同駅が改築された際も、駅前ロータリーの中心として残り、駅施設の一部となっている。東側の1本が立つ場所に、施設の建設が予定されている。

 東武鉄道広報部によると、計画は2012年度から、利活用を検討する中で始まり、翌13年度から行政などに相談を開始した。同社は計画の目的を「高齢者が安心、快適に暮らせる住環境を整備し、沿線価値の向上を図る」と説明。東側のヒマラヤスギについては「種々検討したものの残念ながら、敷地内に残すことは困難と判断した」と話している。同社は現在、行政と事前協議を行っており、来年春ごろの着工を予定している。

 市北部都市・公園管理事務所によると、大宮公園や大宮盆栽村を含む周囲は、自然的景観を保全するための「風致地区」に指定されているが、施設の建築予定地や駅前は指定から除外されており、計画に市条例、都市計画法上の問題はないという。

 東武鉄道は8月20日、駅周辺6自治会の住民らへの説明会を開催。出席者からは開発への疑問や「他の場所への移植は意味がない」「駅開設の頃から親しまれてきた歴史的価値を大事にしてほしい」との声が上がったという。

 駅がある寿能町1丁目の中津原努町会長(73)は「住民や利用者なじみのヒマラヤスギを残し、駅前の景観を守ってほしい。地域住民の意見を聞いてほしい」と訴える。

 東武鉄道は「今後、近隣の皆さまと話し合いを重ね、残すことが困難な1本は移植を含め樹木の保存について、できる限り対応したい」としており、今月15日午前10時から、大宮区高鼻町の県立歴史と民俗の博物館講堂で第2回説明会を行う予定。

最終更新:10/13(金) 10:30
埼玉新聞