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なぜ「塾代格差」が問題なのか NPOや渋谷区が貧困家庭を支援

10/13(金) 12:33配信

BuzzFeed Japan

経済的な理由から塾に通うことができない高校受験生に、塾代として使える「スタディクーポン」を提供する取り組みが、2018年4月から渋谷区で始まる。教育支援をめぐっては、幼児教育や高等教育の「無償化」に向けた動きが注目されるなか、なぜ「塾代」の格差が問題なのか。【BuzzFeed Japan / 伊吹早織】

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「スタディクーポン」とは

「スタディクーポン」とは、その名の通り、プロジェクトに賛同する塾や家庭教師、NPOなど学校外の教育機関で授業料などの支払いに使うことができるクーポン券だ。

取り組みを始めたのは、これまでも東日本大震災の被災地などで同様の活動を続けてきた公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC)と、不登校の子どもたちの支援に取り組むNPO法人キズキなどの6団体でつくる「スタディクーポン・イニシアティブ」。今回のプロジェクトでは、渋谷区内の貧困世帯に暮らす高校受験生(2018年4月時点での中学3年生)を対象に、1年間使うことができるスタディクーポン20万円分を支給。大学生などのボランティアが子どもたちの進路相談に乗りながら、クーポンの使い道を一緒に考えていくことも特徴だ。

資金はクラウドファンディングで1000万円を目標に募集し、集まった金額によって30~40人前後の子どもたちを支援したいという。クーポンを使える教育機関としては、栄光ゼミナールやZ会などの大手進学塾も賛同。より困難を抱えた子どもたちへの支援に特化したNPOなどもプロジェクトに参加している。渋谷区も、支援を必要としている家庭とプログラムを繋ぐ役割を担い、自治体・NPO・企業・市民が「コンソーシアム」を組んで活動に取り組んでいくという。

なぜ「塾代格差」が問題なのか

「小中の学校教育は所得に関係なくある程度均一に受けられるけど、塾をはじめとする学校外教育は、親の年収が低い家庭の子ほどお金をかけられない現状がある。高校受験という将来を決める重要な場面で、その格差を埋めることで、教育格差をなくしていきたい」

BuzzFeed Newsの取材にそう話したのは、10月12日に文部科学省で会見を開いたCFC代表理事で、スタディクーポン・イニシアティブの代表も務める今井悠介さん。2011年から東日本大震災や熊本地震の被災地などで「塾代格差」に取り組んできた中で、様々な境遇の子どもたちに出会ったと語る。

志望校に合格するために塾で5教科勉強したいけど、家の事情で1教科しか習えず、もっと通いたいと言い出せない子。ひとり親の家庭で母親も病気だから、友だちがみんな塾に通う受験期も、自分だけ塾に通えなかった子。一人で受験勉強に取り組んだものの、結果的に志望校のランクを大きく下げる決断をした子。

「現場では、そうした子どもたちの切実な声が届いていて、親御さんも子どもの気持ちを叶えてあげたいと頑張っているけど、どうもにできない状況がある。家族だけの問題にするのではなく、社会でどうにかしようと考えて、このプロジェクトを立ち上げることにしました」と今井さんは言う。

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最終更新:10/13(金) 12:50
BuzzFeed Japan