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熊本城、全体復旧には約20年

10/13(金) 11:50配信

ニュースイッチ

 熊本地震の発生から1年半がたとうとしているが、熊本城や阿蘇神社といった歴史的な建造物の復元は道半ばだ。文化的な価値を保護するため、解体・修復で慎重な作業が行われている。特に国の重要文化財(重文)の建物は部材を可能な限り利用して復元することが必要で時間や手間がかかる。熊本市や建設関係者は、早期復旧を願う地元の期待を受けながら着実に作業を進める方針だ。

 2016年4月に発生した熊本地震は、熊本城に大きな被害を与えた。国の重文である東十八間櫓などが倒壊。天守閣は瓦が崩れ落ち、城内の石垣はさまざまな箇所で崩落した。城内は現在もかなりの部分で立ち入り禁止になっており、周囲を1周すると、至る所に地震の爪痕が残っていることがわかる。

 熊本城には宇土櫓など13棟の重文があり、熊本城全域が特別史跡に指定されている。熊本市経済観光局・熊本城総合事務所の城戸秀一さんは「特別史跡は国宝に相当する価値の高いもの。可能な限り元の部材を使い再現する必要がある」と話す。

 熊本のシンボルである天守閣は、鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造、鉄骨造を組み合わせた構造だ。重文の指定を受けていないので、現在の技術や工法を使用できる。天守閣の修復作業は大林組が担当する。

制震を採用

力を入れているのが耐震補強だ。「ブレースなどを導入して補強し、安全性を高める」(城戸氏)。耐震補強の手法には建物自体を頑丈にする「耐震」や、建物に取り付けた装置や器具で地震のエネルギーを吸収する「制震」、建物と地面を免震装置で切り離す「免震」がある。天守閣では地震で杭と石垣にかかる力を考慮し、制震を採用する計画だ。

 熊本市は修復作業で現代的な技術として、3次元(3D)モデル技術のビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を取り入れた。図面と現物の測量から天守閣の3Dモデルを作製。城戸氏は「打ち合わせや、設備・配管の収まり具合を確認するのに便利」と評価する。

時間かかる石垣

 一方、復元に時間がかかるのは石垣だ。文化財のため、基本は地震前と同じ位置に同じ石を活用して石垣を構築する。崩落した石を集めて一つずつ番号付けして管理している。崩落を免れた石垣については、3次元レーザー測量で地震による変位状況を解析しているところだ。石垣の修復にどのような手法を使うかは大きな課題となる。文化財としての価値と安全確保の観点から検討する。

 熊本市は19年を目標に天守閣を元の姿に復元する方針。城全体では約20年かけて復旧させる考えだ。城戸氏は「市民の思いを踏まえながら安全重視で作業したい」と着実な作業の進展を目指している。
(文=編集委員・村山茂樹)

最終更新:10/13(金) 11:50
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