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米ナイトクラブ、新たな客層は40代

10/13(金) 12:37配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 ニューヨークの証券アナリストのアナベル・サミミーさん(47)は、友人たちとダンスクラブに行くと決まったとき、20代の若者たちについていけるだろうかと心配になった。幸運なことに、若者についていく必要はなかった。

 ニューヨーク市チェルシー地区にある「Retroclubnyc(レトロクラブnyc)」は、一昔前をテーマにしたクラブで、45歳以上の人たちが集まる場所だ。1970年代や80年代のヒット曲がかかり、ロングアイランド・アイスティーやスロージンフィズといったカクテルが提供されている。

 学齢期の3人の子を持つサミミーさんと夫はこの日、自分たちが課している午前0時の門限をかなり過ぎてクラブから帰宅した。「子どもができるとクラブには行かなくなるけど、少し大きくなってくると、ソーシャルライフを取り戻したくなるものだ」とサミミーさんは話す。このクラブは、バチェロレッテ・パーティー(花嫁のために結婚前夜に開く女子会)の場所としても人気だ。

 市場規模240億ドル(約2兆7000億円)の米国のナイトクラブ業界の成長が減速するなか、オーナーたちは45~54歳の層の取り込みを目指している。市場調査会社のIBISワールドによると、この年代層は娯楽に費やす金額が最も多く、バー・ラウンジ・ナイトクラブといった限定的な食事を提供する店でのナイトライフ消費で最も高い比率を占めている。

 店のオーナーたちは、ダンススペースを小さくしたり、アルコールをユニークなカクテルシェーカーとともにボトルで提供したり、ディスコ音楽を流すDJを採用したりする方向にシフトしている。業界団体「ニューヨーク・ホスピタリティ・アライアンス」のポール・セレス副代表によると、クラブの中には夕食を終えて踊りたがる客を狙って開店時間を繰り上げる店もある。

 レストランなどを運営するタオ・グループのパートナーを務めるノア・テパーバーグ氏は、年齢が高めの客をディナーで引き寄せて、そのまま店にとどまらせることが1つの戦略だと述べる。同社は昨年、高級なディナーを楽しめる店「Vandal」をニューヨークのローワーイーストサイドにオープンした。地下にはラウンジがある。「小さなクラブのようなラウンジを用意した」とテパーバーグ氏。同社が運営する「Lavo」や「Marquee」といった大型クラブには、もっと若い客が集まるという。

 新しい店では、プロモーターを活用したりチラシを配ったりしない。代わりに、年齢が比較的高い層のインフルエンサー(影響力のある人)をディナー(通常料金は、例えば上質ハラミ牛肉ステーキが45ドル)に無料招待して、感想をソーシャルメディアに投稿してもらっている。地下のラウンジでは、シンセサイザーやシーケンサーを用いた電子的なダンス音楽の代わりに、DJがヒット曲をかけて中年客を引き寄せている。

 長年営業してきたクラブの中には、大型ダンスフロアを取り壊し、ブースとブースの間でダンスができるスペースを設けるところもある、とマイアミ在住のホスピタリティーデザイナー、ステファン・デュプー氏は言う。同氏は、ニューヨークのミートパッキング地区で14年間営業している深夜ダンスの店「Cielo」を再設計している。かつては若者に人気があった店だ。「年齢が高めの客は長居して良いシャンパンを飲みたがるが、ここでは立ち上がって踊ることもできる」とデュプー氏は話す。

 ナイトクラブ風に改装されているレストランもある、とナイトライフ・コンサルティング会社バーメトリクスのショーン・フィンター最高経営責任者(CEO)は語る。この種の改装は過去5年間で増加してきたという。フィンター氏によれば、年齢が高めの客はディナーの後に飲むことが多い。こうした客をそのままとどめるのが店の狙いだ。ダンスは「人をくつろがせる」ため、アルコールや水の販売を押し上げるという。

 ニューヨークで週末だけ営業するバー「ブルー・ライト(Blue Light)」は、カジュアルなバーの階上にある。ボトルサービスは250~1000ドル(約2万8000~11万2000円)と高価格で、「だらしなく酔っ払うのを望まない人々」に訴求するのが狙いだ、とパートナーのギャビン・モーズリー氏は言う。強い酒はクリスタル・デキャンターに入れて提供され、絞りたてジュースやタイバジル風味のコーディアル(リキュール)も飲める。ブースは予約限定。客は、DJがかけるビニール盤レコードを選んで、自分のテーブルの近くで踊ることもできる。ドアマンは客の数を抑えている。モーズリー氏は「客をすし詰めにすることはない」と語る。

 シカゴのレストラン・ラウンジ「Celeste」のオーナーは2016年、3階のイベントスペースを「Disco」に変えた。70年代をテーマにしたナイトクラブ・スペースだ、とパートナーのネーダー・ヒンドー氏は言う。狙いは40代から50代の客を引きつけること。客層の若い近隣のナイトクラブで踊るのは落ち着かないと感じる年代層だ。

By Alina Dizik

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