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アイシンの売上高が2兆円吹っ飛ぶ?EV化で交錯する危機と期待

10/18(水) 13:55配信

ニュースイッチ

サプライヤー「収益源」判断難しく

 電気自動車(EV)シフトに、部品のサプライチェーン(供給網)も揺れている。「3兆5000億円の売上高のうち2兆円近くがなくなる」。アイシン精機の伊原保守社長は危機感を隠さない。車がすべて内燃機関のない「ピュアEV」になればエンジン、排気管、変速機などを主力とする部品メーカーは屋台骨が崩れる。

 ただ、先行きはそう単純ではなさそう。仏、英政府が打ち出した2040年以降のガソリン、ディーゼル車の販売禁止には、現時点でプラグインハイブリッド車(PHV)などは含まれないもようだ。

 完成車メーカーのピュアEVの販売目標にも幅があり、30年時点で世界販売の1―3割程度が大勢を占める。こうした事情からEVシフトへの焦りがある半面、将来も一定割合でエンジン車は残るのではないかとの見方も根強い。

 カルソニックカンセイは売上高の20%弱が排気系製品。森谷弘史社長は「今後、新たにマフラーに取り組む企業は出ないだろう。既存企業の中で淘汰(とうた)される」と“残存者利益”の確保を狙う。3月に日産自動車の傘下を離れ、独立系メーカーへの道を歩き始めた同社。EVとエンジン車の両にらみで設備投資を続ける。

 車載用リチウムイオン二次電池で世界首位を走るパナソニックですら、新規投資の判断は慎重だ。同社は6月に米ネバダ州で米テスラのEV用電池の生産を開始。18年に中国・大連市、19年には兵庫県姫路市の工場でも電池生産を始める予定だ。ただ、津賀一宏社長は市場の不透明感などから「新しい建屋を建てるリスクはできるだけ回避する」と話す。

 一方、EVの普及度合いにかかわらず、部品レベルの電動化は待ったなしで進む。デンソーの予測では、車の原価に占める電子製品の割合は16年時点の30%から25年には50%に高まる。松井靖常務役員は「トヨタ自動車の電動システムを手がける当社は生産の実績や技術の完成度で優位性がある」と需要取り込みに自信を深める。

 日立オートモティブシステムズ(AMS)は7月、ホンダと電動車両用モーターの事業会社を設立。山足公也日立AMS執行役員最高技術責任者は「日立として電動車の“三種の神器”であるインバーター、モーター、電池をそろえる。将来は(電動化ユニットとして)システム売りをしたい」と話す。電動化と軌を一にし、システム単位での発注ニーズも増えると見込む。

 完成車メーカーは20年代前半までに量産型EVを相次ぎ投入する方針。ただ、EVだけが残るわけではなく、今後は各国のエネルギー事情や、街乗りや遠出といった利用シーンごとにさまざまな電動車両が混在すると予測される。自社はどこに収益源を見いだすのか―。部品メーカーは難しい判断を迫られている。

最終更新:10/18(水) 13:55
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