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「頭のいい」女子はいらないのか:ある女子国立大院生の就活リアル

10/20(金) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

JR大阪駅近くの外資系ホテルのラウンジに向かうと、約束の時間より早く到着していたその女性は、こちらに気づき立ち上がって軽く会釈した。関西在住の国立大学の大学院修士2年、島本渚さん(23、仮名)。大学院では社会学系を専攻しているという。

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すらりと背が高く、ゆるやかに巻いた黒髪に上品な顔立ちで、23歳という年齢よりも落ち着いた雰囲気だ。

彼女と会うきっかけは、編集部に届いた一通のメールだった。

「私が就活で感じた違和感について少し納得することができました」

女性の就活についてのBusiness Insider Japanの記事への感想とともに就活体験が綴られていた。その体験はもとより、丁寧かつ論旨の通った文面に表れる切実さが気になり、会えないかと連絡をとったのだ。

「研究職や非営利団体での活動も考えましたが、一度、民間企業で働いてみようと思いました」

修士1年目にあたる2016年秋、島本さんは就職活動を始めた。「グローバルなものづくり企業」を軸に志望企業を選んだ。

有名国立大学の院生、学部時代の留学経験、落ち着いて論理的に話す様子、しかも大卒の就職内定率は97%超(2017年度卒)という売り手市場。島本さんの就活は問題なさそうに思える。しかし、今月の内定式まで約1年にわたる就活体験は、第一印象からの想像とは違ったようだ。

「性差別するつもりはないんだけど」

「大学院ねえ。そんなに勉強してどうするの」

手元の資料を眺め、そう話す男性採用担当者(メーカー)の言葉に一瞬、面食らった。複数企業が参加する、スカウト式の就活イベントの面接でのことだ。

大学院への進学をしたいと親に話した時も「やりたいことがあるならやればいい」と、背中を押してもらった。大学院の同級生や周囲の友達も、勉強熱心だ。就活スタートでのっけから、学歴について否定的なニュアンスで語られるのは意外だった。

その違和感は、その後もつきまとうことになる。

就活初期は、面接や試験に慣れる意味で専門商社、素材メーカー、ベンチャー企業
を、企業側から大学への直接採用ルートからは本命の大手ゼネコンや国内自動車メーカーを受けた。

転勤も海外赴任も望むところだったので、総合職でエントリーした。選んだ業界のせいもあるのか、周囲は男子学生ばかりだった。

男性ばかりの職場で働くことも織り込み済み。だから、女性がほとんどいない採用の現場にも違和感はなかった。

ただ、就活初期に受けた専門商社の1日インターンでのこと。順番に学生側が自己紹介をする場面で、自分の番になると面接官は「ふーん」と言ったきり、話が弾まない。

「声が大きく元気な、大学在籍の男子学生が話すときはニコニコと歓迎されているのがあからさまで。自分は興味をもってもらえていないな、とすぐに分かりました」

自分の考えをきちんと話したつもりでも、「性差別する気はないんだけど、あなた、考え方が男性っぽいよね」「なんで長く働きたいの?」(ベンチャー)と、想像していたような質問とは、およそ程遠い反応が返ってくる。

世代の近い社員に学生が話を聞くグループ面接(専門商社)では、20代の若手社員に「ライフイベントを経ても働き続けていきたい」と話すと、「ライフイベントって?」と聞き返された。「出産や子育てです」と答えたが、男子学生の中で確実に浮いている空気を味わった。

ゼネコンは差別的とこそ思わなかったが、面接は事実上「男社会だけれど大丈夫か」の確認作業なんだと感じた。

素材メーカーの面接で「はっきり言って、頭良すぎていらないんだよね」と言われたときには、「受かるワケがない」とさすがにショックだった。

6月に入り、内定が解禁されても、違和感を飲み込みつつ就活を続けた。
大手ゼネコンや自動車メーカーで、最終面接やその一歩前まで進んでいたので「どこか一つくらいは」と期待していた。ところが軒並み内定には至らず、最後の1社から連絡が来るはずの日から1週間が立つと、さすがに焦りを感じた。

「自分はもしかして負け組なのかもしれない」

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最終更新:10/20(金) 16:35
BUSINESS INSIDER JAPAN