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右派サイトとの隠された関係 白人至上主義はこうして広まった(1)

2017/10/21(土) 17:10配信

BuzzFeed Japan

この長い記事は、アメリカで白人至上主義がどのように広がったのかを示すものだ。トランプ政権・彼を支持するメディア・白人至上主義者の隠された関係を詳細に記している。日本の読者にも様々な示唆をもたらすはずだ。3回に分けて報告する。【BuzzFeed News】

2017年8月、米国バージニア州シャーロッツビルで開かれた白人至上主義者の集会は、それに反対する団体との衝突に発展、3人が死亡する惨事となった。

その後、ドナルド・トランプ大統領の元上級顧問スティーブ・バノンは、ネオナチ主義者やネオ南部同盟支持者、クー・クラックス・クランを批判し、「彼らの居場所はアメリカ社会にはない」と主張した。

だが、BuzzFeed Newsが入手した「爆弾」とも言える内部文書からは、バノンの発言とはまったく逆の状況が浮かび上がってくる。バノンが築きあげたWebサイト「ブライトバート」に、過激なオルタナ右翼のための居場所が大量に用意されていたのだ。

2016年の大統領選挙戦中、ブライトバートはバノンのリーダーシップのもと、オルタナ右翼(Alt-right)を取り込もうと躍起になっていた。

オルタナ右翼とは、暴力的・人種差別的な右翼活動で、ドナルド・トランプを権力へと導いた勢力である。

前ホワイトハウス最高戦略責任者でもあるバノンが、ブライトバートを「オルタナ右翼のためのプラットフォーム」にしたいと発言したことはよく知られている。

オルタナ右翼に最も近いブライトバートの編集者がマイロ・ヤノプルスだ。

前テクノロジー担当で、2016年の「Dangerous Faggot(危険な男性同性愛者)」講演ツアーや、中止となった2017年9月のカリフォルニア大学バークレー校での「Free Speech Week(言論の自由週間)」など、社会に対する強烈な挑発行為で知られている。

ヤノプルスは、ブライトバートで1年以上にわたってオルタナ右翼の記事を書いてきた。その汚い部分を避け、ネオナチ主義者や白人至上主義者の果たしている役割を弱めた表現で、だ。「(礼儀正しい相手には)公平に耳を傾けた」と話す。

2017年3月、ブライトバートの編集者アレックス・マーローは「我々はヘイト・サイトではない」と主張した。ブライトバートの担当者は、ヤノプルスを人種差別主義者と評するメディアは告訴する、と繰り返し脅すようになった。

8月、シャーロッツビルでの白人至上主義者デモが暴動に発展すると、ブライトバートはバノンの「オルタナ右翼プラットフォーム」発言について釈明記事を公開した。

当時のバノンは、オルタナ右翼について「共和党のブランドを憎むコンピューターゲーマーやブルーカラーの有権者」が中心と考えていた、と書かれている。

だが、BuzzFeed Newsが入手したEメールや文書からは、こう読み取れる。

オルタナ右翼のヘイトに満ちた人種差別的な声に対し、ブライトバートは許容するだけでなく、貢献までしていた、ということだ。

オルタナ右翼で成長し、政治理念の中でもっとも有害な思想を駆り立て、駆り立てられたブライトバート。その思想がアメリカの主流になるべく、道を切り開いているのだ。

ブライトバートとオルタナ右翼の関係は、これまで未発表だった2016年4月の動画にもはっきりと表れている。

この動画では、白人至上主義者リチャード・スペンサーを含むファンたちが腕を上げてナチス式の敬礼をする前で、ヤノプルスが『America the Beautiful』を歌っている。

BuzzFeed Newsが集めた文書は、ブライトバートという、いわば「オルタナ右翼の宇宙」の発展を記録している。

特にヤノプルスが、富豪のマーサー一家が提供する資金で薄給のライターを雇って煽り記事を量産し、白人主義国家創造を目指す過激派をも取り込んだ経緯が描かれている。

同時に、バノンが「殺人マシン」と呼ぶ活動の様子も捉えている。

世界中の人々の怒りを集め、そこからアイデアやコンテンツを汲み上げ、ネットの片隅からトランプ・ワールドへと打ち上げ、その過程で広告主から収益を集めていた。

今回入手したEメールは、BuzzFeed Newsが現在公開している中でも、もっとも報道価値が高いものだ。バノンの殺人マシンが、ヤノプルスに依存していたことがわかる。

ヤノプルスは既存勢力内外の声を導き、「リベラルな議論はアメリカに対する脅威だ」というわかりやすい物語を描き出すことに成功した。

ここには、バノンが描いていた壮大な計画も読み取れる。

バノンによって、ヤノプルスはカリスマ性のある若い編集者から、新世代の反動的な怒りを引きつける保守メディアのスターへと変貌した。

この文書には、シリコンバレーやハリウッド、アカデミック業界や郊外、その中間に到るまで、無数の隠れた賛同者がいることも明らかにしている。

ヤノプルスはBuzzFeed Newsへのコメントに書いている。

「前にも言いましたが、タブーを破ったり、ジョークにしてはいけないことをあえて笑ったり、私はそこにユーモアを見い出しているのです」

「私を知る人はみんな、私が人種差別者ではないと知っています。ユダヤ系の祖先を持つ者として当然のこととして、可能な限り強い言葉で人種差別を非難します。混乱を避けたいので、人種差別についてのジョークを言わないことにしたのです。私はリチャード・スペンサーや、彼のバカな取り巻き全体を否定します。これまでも、そして現在も、私はユダヤ人とイスラエルの忠実な支持者です。白人至上主義を否定し、人種差別を否定し、いつでもそうしてきました」

ヤノプルスはカラオケでスペンサーがナチス式敬礼をしたことについても釈明した。「ひどい近眼」なので、離れたところにいたスペンサーが見えなかったのだ、と。

バノンと、マーサー一族には、幾度となくコメントを求めたが返答はなかった。

他の新興メディアと同様、ブライトバートというオルタナ右翼プラットフォームの成功は、読者が参加するかどうかにかかっている。リベラルな規範に拒否感を持つ人々を集め、ひそかな怒りを燃焼させてニュースにする。それは燃え尽きることがない。

現在ホワイトハウスの職を辞したバノンはこの「マシン」の操縦席に戻り、「回転速度をあげている」。マーサー一族は、ヤノプルスによるポスト・ブライトバートのプロジェクトに資金を提供している。彼らは今後、アメリカに何を突きつけようとしているのか。BuzzFeed Newsが入手した文書からその様子を辿ってみよう。

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最終更新:2017/10/21(土) 17:10
BuzzFeed Japan

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