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なぜ開票していないのに「当選確実」なの? 選挙の達人に聞いてみた

10/22(日) 17:03配信

BuzzFeed Japan

10月22日は衆議院議員選挙の投開票日。午後8時ちょうどにメディア各社は一斉に結果の見通しを速報し、「当選確実」を伝える。なぜそんなに早くわかるの? 選挙報道のベテランに聞いた。【BuzzFeed Japan / 小林明子】

【衝撃】選挙にかかる600億円なんて、たいした額じゃない

選挙の開票当日。午後8時になったと同時に、「○○党 単独過半数へ」などとニュース速報が流れ、「○○党 名前○○ ○○区 当選確実」といったテロップが相次ぐのを、不思議に思ったことはないだろうか。

ついさっき投票したばかりなのに。まだ開票されていないのに?

午後8時は、全国で投票が締め切られる時間だ。もう選挙結果に影響を与えることはないことから、メディア各社は一斉に、独自の取材や調査、分析に基づいた結果の見通しや「当選確実」(以下、「当確」)となった候補者名を伝え始める。

「票読み」と呼ばれるその独自の分析によって、当確だと判定できるのはなぜなのか。手法は「秘伝」であり、記者たちの間でさえ謎に包まれている。

BuzzFeed Newsは、朝日新聞東京本社の政治部や選挙本部で多くの選挙取材を経験してきた、票読み歴30年の南雲隆さん(現ジャーナリスト学校事務局長)に「票読み」の極意を聞いた。

遠い地域にもなるべく多くの情報を

ーー何のために「票読み」をするんですか?

各党や各陣営による「票読み」は、どの地域でどのくらいの票がすでに固まっているのかを分析し、この地域は弱いからテコ入れをしよう、などと選挙運動の戦略にすることが目的です。

一方、報道機関の「票読み」は、選挙結果をいち早く把握して世の中に伝えることが目的です。

ーーえっと、新聞って翌朝に配達されますよね。確定してからじゃダメなんですか?

配達する地域によって締切時間が数段階に分かれています。開票が終わって各候補の得票数が確定するまで待っていたら、翌日の朝刊に間に合いません。

遠い地域にトラックで輸送する紙面にも、なるべく多くの当確情報を入れたい。また「政権交代へ」や「○○党単独過半数へ」などといった結果の見通しも、根拠がなければ記事や見出しにすることはできません。そこで全国の取材網から寄せられる「票読み」の結果から判断して、紙面を作り始めます。

系列のテレビ局と情報を共有しますから、テレビでも当確が流れます。最近は自社のサイトでも当確を速報しています。

ーーどんな取材や調査をするんですか?

私が駆け出し記者だった頃は、それぞれの陣営や選挙区に「票読み」に長けた名人がいたんです。ベテランの秘書だったり地元の議員だったり。記者は陣営を回って彼らと信頼関係を築き、市区町村別にまとめた票数を聞いたり一覧表をもらったりして、それが結構、当たっていました。

今はいわゆる「無党派層」、支持政党がない人や投票態度を明らかにしない人が増えていますから、地域の名人でも読める票が少なくなってきました。

その代わり、調査方法が進化し、過去のデータが蓄積してきているので、最近は「データ選挙」になっているといえます。

調査の方法は、電話世論調査がもとになる「情勢調査」、投票所の前に調査員が立ち、出てきた人を呼び止めて投票した候補者や政党を聞く「出口調査」があります。

出口調査は投票日当日だけでなく期日前投票でもやっていますが、投票所の場所や曜日などによって回答にバイアスがかかるので、取材による情報を加味してデータを補正します。

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最終更新:10/22(日) 22:56
BuzzFeed Japan