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政府も目を付けている内部留保、日本企業がお金を使わない二つの理由

10/26(木) 9:30配信

THE PAGE

 希望の党が選挙戦の公約として打ち出したことで一気に話題となった企業の内部留保ですが、政府は水面下で、内部留保に関する措置について様々な検討を行っているようです。

「内部留保はけしからん」との批判は正しい? 企業の現金貯め込みの実情

2017年3月末時点で内部留保は約406兆円

 金融庁が有識者らを集めて開催しているコーポレートガバナンスに関する会議では、内部留保の取り扱いが議題に上っています。最終的には自社の内部留保水準が適正なのか投資家に説明責任を果たすことなどが提言される見込みです。金融庁としては、企業が内部留保をため込まず成長投資に振り向けることを期待しています。

 2017年3月末時点における日本企業(金融・保険業を除く)の内部留保は約406兆円となっていますが、内部留保はあくまで会計上の概念であって、この額の現金が余っているわけではありません。企業が実際にため込んでいる現預金は約211兆円と内部留保の約半分となっています。残りは設備投資などの各種資産に入れ替わっていますから、税金をかけてすぐに徴収できるものではないことに注意する必要があります。

日本企業がお金を使わない二つの理由

 しかしながら、日本企業が多額の現金を余らせていることは事実であり、これまでも安倍政権は、たびたび企業の内部留保に対する姿勢を批判してきました。

 日本企業が内部留保を設備投資などに回さないことには主に二つの理由があるといわれています。ひとつは景気に対する見通し、もうひとつはコーポレートガバナンスの欠如です。

 日本企業の多くは、今後、日本経済が持続的に拡大するとは考えておらず、積極的な設備投資に対して慎重です。海外企業のM&Aなどグローバルな経営ができる企業は限られていますから、結果的に現金を余らせることになってしまいます。日本の場合、コーポレートガバナンスが確立しておらず、株主からの圧力が小さいことも影響しています。

 諸外国の場合、企業は株主のものという意識が明確ですから、企業が現金をため込んでいることは基本的に許容されません。次の成長のために投資するか、使い道がない場合には配当に回すよう強い圧力がかかります。しかし日本では会社は従業員のものという意識が強く、株主の要求はあまり経営に反映されません。

 株主からの圧力がないと企業は基本的に保守的になります。さらに景気が悪くなった場合などに備え、現金を確保しておこうと考えてしまうわけです。

政府の圧力を使わなければ投資が進まない?

 政府が内部留保を投資に回すよう企業に対して強く促すことについては賛否両論があります。政府の指示で投資を決めるようでは上場企業として活動している意味はないとの考え方もありますし、一方、政府の圧力を使わなければ投資が進まないのであればやむを得ないという考え方もあります。基本的に経済界は反対していますが、内部留保の問題は、しばらく論議の的となりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:10/31(火) 5:53
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