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衆院選総括「選挙制度見直し議論始めるべき」上智大・中野教授に聞く(下)

2017/10/28(土) 10:00配信

THE PAGE

 自公与党の圧勝、民進党から分かれた希望の党と立憲民主党で明暗が分かれることになった今回の衆院選をどうみるか。上智大国際教養学部の中野晃一教授(政治学)に話を聞きました。中野教授は、さまざまな課題がみえた選挙とし、選挙制度の見直しについて「議論だけでも始めるべき」と指摘します。

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投票率アップも戦後2番目の低さ

 中野教授は、今回の衆院選を「いろんな意味で残念」と評します。その理由として、安倍政権が誕生した2012年の衆院選以来、同じような結果が繰り返されている、といいます。

 一つは投票率の低迷。小選挙区の投票率は、2012年59.32%、前回14年は戦後最低となった52.66%、そして今回はそれをわずかに上回る戦後2番目に低い53.68%だったこと。「自民党支持者でもなぜ解散し、なぜ選挙をするのか、そして何が争点なのか理解されなかった」。そして、希望の党に民進が合流するという「有権者に分かりにくい、納得のいかない政界再編のドタバタ劇が選挙直前に起きたことで野党は受け皿がつくれなかった」ことが背景にあるとみます。

「有権者に意味のある明確な選択肢が与えられていないことによって、投票率が伸び悩んだのでしょう」

再生産される「自民圧勝」の構図

 もう一つは、投票しなかった人も含む全有権者に対する絶対得票率の数値です。「死に票」が少ないとされる比例区の自民党の絶対得票率は、今回有権者の6人に1人にあたる約17%で前回とほぼ変わらず。それに対し、いずれの選挙も議席数の6割を占める圧勝になったことからも、選挙結果が「必ずしも民意を正確に表しているとはいえない」といいます。

 候補者が乱立すると、死に票が多くなる小選挙区制ならでは起こる現象ともいえ、「これは日本の民主主義にとって不幸なこと」。「今回も野党分断乱立と小選挙区制によって“死に票”がたくさん出て、自民圧勝という構図がまた再生産されてしまった」

 またメディアの報道も「新党が2つもできたことで、対決構図がぼやけたこともあり、希望の党と立憲民主党どちらが有利なのかということばかりになったため、政策や争点とは若干ずれたところに関心がいったこともあるのだろう」。有権者が何を問うて投票するべきかという点をきちんと伝えられたか、疑問を投げかけました。

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最終更新:10/2(火) 16:53
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