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登場人物、全員人殺し。「ヤバい人たちのヤバい飯」を知るヤバいグルメ番組の裏側

2017/10/27(金) 10:46配信

BuzzFeed Japan

激しい内戦、悪かったのは誰?

――取材が許されて、中に入ってからはかなり積極的に話しかけられていましたよね。あれ? いきなり友好的に? と思いました。

みんな、本当はすっごく話したいんですよ。映像見ていただければわかるんですが、誰かが喋っているあいだ、人差し指を立ててるやつらがチラチラ後ろに映っていると思います。これは挙手、つまり「次は俺に喋らせろ」ですね。

幼い頃に無理やり兵隊にさせられて、たくさん人を殺して、戦争が終わって放り出されて、明日どうなるかわからないまま、盗みや薬物売買を繰り返して生きている――辛くて苦しくて、誰にもわかってもらえなくて、だから聞いてほしいんだと思います。

結局、誰が悪かったの? 誰か恨んでないの? と聞くと「今の政府だ」ってみんな言うんです。「武器を奪い取って身ぐるみ剥がしてバラバラに引き離しただけで、何の保証もしてくれなかった」って。過去のどんな不幸より、今目の前の不幸に憤っているように見えました。

――「内戦が終わった」とだけ聞くと、平和が戻ったようですが、現実は。

エボラ出血熱で死の淵をさまよって、生還した女性の言葉も壮絶でしたね。「今、幸せですか?」と質問した時、僕は心のどこかで「生活は辛いけど、生きてるだけで幸せ」みたいな答えを予想していたんです。

でも「ずっと不幸だよ」って、淡々と。「病気になって家族もみんな死んで、今は毎日ごはんも食べられない。ずっと不幸」って。そういうポロッとこぼれる言葉のリアリティが。

「あ、殺されるかも」

台湾ではマフィアの組長の宴会に1時間くらい同席しました。番組での尺は短いですが「あ、殺されるかも」はリベリアより台湾の方が思いましたね、強く。

――画面で見ると、むしろ思ったより友好的、とさえ感じました。

いや~やっぱり密室の圧迫感は……。いざとなった時、絶対に逃げようがないし……。

本当に怖い人たちですからね。なんとかできる相手じゃない。カメラに映ってないところにも、どう見てもカタギじゃない人たちがずらっと並んでるんですよ。

そんな人たちに囲まれて、一見優しげな顔をしたおじいちゃまが一番「ヤバい」人なんですけどね。

――その組長に直球の質問をするからこっちがビビりましたよ!

「人殺したことあるんですか?」に「ネットで調べてよ」って返ってきたのはしびれましたね。「なるほど……」としか言えなかった。

マフィアのドンにも、元少年兵たちも、ギャングたちにも、取材してるとどうしても肩入れしちゃいそうになっちゃうんですよ。「かわいそうだな」「辛いことあったよな」「社会が悪かったよな」って思っちゃう。

でも、殺した相手や傷つけた相手がいることも、殺したいほど憎まれていることも事実です。「悪人だと思ったらいい人でした」じゃない。

単純な善悪二元論にしないこと、こちらが勝手に物語を加えて「いい話」っぽくしないことは、ずっと意識してましたね。

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最終更新:2017/10/27(金) 15:42
BuzzFeed Japan

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