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日本代表待望論の高まる森岡亮太…新天地ベルギーで躍動するファンタジスタの現在地

10/30(月) 12:18配信

GOAL

10月25日のコルトレイク戦で豪快なヘディングシュートを決め、所属のワースランド・ベフェレンに1-2の逆転勝利をもたらした森岡亮太。彼が今季加入した同クラブはベルギー1部の中で特に運営規模が小さいが、12試合終了時点で5勝し、プレーオフ圏内の6位まで順位を上げた。この快進撃は、今季6ゴール8アシストという傑出した実績を残している背番号44の働きがあってこそ。現地メディアのやサポーター間でも「モリオカはなぜ日本代表に入っていないのか」という疑問で持ち切りになっているほどだ。

本人も「もちろんもう1回、代表には行きたいですよ」とハビエル・アギーレ監督が率いていた2014年以来、3年ぶりの日本代表復帰を熱望する。11月10日のブラジル戦の地・リールはベフェレンから目と鼻の先で、14日のベルギー戦は現在の本拠地。だからこそ、日の丸への思いはこれまで以上に強まっているに違いない。

31日のメンバー発表前最後のゲームとなった29日のスタンダール・リエージュ戦も序盤は決して悪くなかった。開始7分には大型ボランチ・セックのスルーパスに反応してペナルティエリア内で積極的な仕掛けを披露。「最初の15分くらいはチーム全体としてよかった」と彼自身も手ごたえを感じていた。ところが、相手の鋭いサイドアタックを受けるようになると、ベフェレンの守備陣が混乱。前半28分以降に立て続けに3失点を食らってしまう。これには冷静な日本人司令塔も苛立ちを隠せなかった。後半は気持ちを新たに臨んだが、思うようにリズムを変えられない。結局、この日はシュート0本のまま7試合ぶりの途中交代。チームも1-3の黒星を喫し、森岡は不完全燃焼感を拭えなかった。

「こういう試合はホンマ、難しいですよね。ここまで『え?』っていう感じで崩れていくことは滅多にないから。1失点した時に全員が集中切れたかと言ったら、そんなふうには思わなかったし、こっちも取れるみたいな雰囲気になってましたし。あそこから2点、3点と短い間に失点することを制御するのは難しい。そこは個人個人が『集中せなあかん』と意識するしかないですね」と、彼はチームが劣勢に陥った時のアクションの自身の起こし方に苦慮している様子だった。

■日の丸を背負うために必要なこと

こういった展開だと、武器の攻撃力はどうしても発揮しにくい。そこで森岡が意図的に実践していたのが、守備面で貢献することだった。スタンダールのエジミウソン、ムポクという両ウイングに対し、立て続けに体を寄せて、最終的にボールをカットした前半30分のシーンに象徴される通り、高い位置で何とか奪って攻めに転じたいという思惑は色濃く感じられた。ヴィッセル神戸、ポーランド1部のシロンスク・ブロツワフ時代も守りの重要性は感じていたが、その意識は新天地に赴いてからより一層、強まっているという。

「自分がここまで代表に呼ばれていない理由? 得点とかアシストといった結果以外の部分でしょうね。自分の中で改善しないといけない部分は、やっぱりボールを持っていないところ。もっといい選手になれるように、そこはつねに頭に入れて、イメージしながらトレーニングしています。ハリル(ホジッチ=日本代表監督)の言う『デュエルの重要性』はポーランド、ベルギーと欧州で戦ってきてホントに大事だと感じます。自分ももともとは自由を愛する男やったけど、今、昔の友達や後輩とサッカーする時には自然と『球際行け、球際』とか言ってますからね」と彼は苦笑いしていた。

そんな森岡は「クラシカルな10番タイプ」と評されることが多い。このタイプの選手はどうしても「守備が不得手」というイメージがつきまとう。同じく司令塔として育成年代から成長し、欧州挑戦に打って出た小林祐希(ヘーレンフェーン)も「みんな俺には『守備しろ、守備しろ』って言う。それは小さいときからそういうイメージがついてるんで、しょうがないですけど」と10月の日本代表活動中にボヤいていた。森岡も似たような目で見られがちなのは確か。そのハードルを超えることが、今後の大きな飛躍のカギと言っていいだろう。

「小林君のオランダの試合を見ましたけど、メッチャいい守備してましたよ。俺は言われても納得できますけど(苦笑)。実際、今のサッカーはどこにいても守備は求められる。前線からのプレスもうまくかければハマる時もありますけど、どうやってそういう形を作るのかを考えることが大事。前線からできることはまず自分たちがやろうって意識はありますし、積極的に取りに行って、できればボールも奪いたいと思ってます」と彼は自らの課題を克服しようと躍起になっている。

そうやって高いレベルに貪欲になるのも、2014年10月のブラジル戦(シンガポール)で味わった屈辱を忘れていないから。アギーレ監督がキャップ数の少ない面々をあえて抜擢し、ネイマール(PSG)のハットトリックを含む4失点を食らって惨敗したこの一戦で、森岡は世界トップとの計り知れない実力差を実感したという。

「あの時、まともに試合できてたのは、フィールドではオカ(岡崎慎司=レスター)さん、高徳(酒井=ハンブルガーSV)の欧州組2人だけ。国内組は相手と5mくらい離れてるのにプレッシャー感じてたんですよ。ブラジルの選手はジョギングしてるだけやのに(苦笑)。『このまま日本でやっててもこいつらに勝たれへんな』と思って、外へ出るしかないなと感じました」

人生を変える大きな決断をしてから丸3年。彼は卓越した攻撃センスやスキル、創造性、戦術眼により一層、磨きをかけてきた。そこに守りのアグレッシブさや効果的な走り、攻守の切り替えの鋭さなどが加われば、まさに鬼に金棒だ。近いポジションの香川真司(ドルトムント)や清武弘嗣(C大阪)ら代表経験の豊富な面々に肩を並べ、追い抜くことも十分な可能なはず。その潜在能力の高さは今季のベルギーでの活躍で実証済みだ。

「森岡君は今季開幕から絶好調で、結果も残している。自分も早く追いつきたい」と同じリーグで戦う久保裕也(ヘント)も太鼓判を押していた。ハリルホジッチ監督が欧州組トップの活躍度を誇る旬の男を2018年ロシアワールドカップの戦力に考えるつもりがあるのか否か。まずは11月欧州2連戦のメンバー発表の行方を慎重に見守りたい。

取材・文=元川悦子

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最終更新:10/30(月) 12:18
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