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【天皇賞・秋】キタサンブラック 春秋制覇に導いた武豊の「勘」一発

10/30(月) 22:02配信

東スポWeb

 接近する台風22号の影響で歴史的な不良馬場での開催となった29日の第156回天皇賞・秋(東京芝2000メートル)は、1番人気のキタサンブラック(牡5・清水久)が武豊渾身の騎乗に導かれて優勝。春の宝塚記念で9着に敗れた雪辱を果たし、史上5頭目となる同一年天皇賞の春秋制覇を達成した。年内引退が発表済みで“ラスト3”の1走目をまずは制し、ジャパンC、有馬記念へと“まつり”はフィナーレへ向かっていく。

 1984年に天皇賞・秋が現在の2000メートルに変更されて以降、格段に遅い2分08秒3での決着となった今回のレース。同じ東京競馬場のダ2100メートルのレコード(2分06秒7)よりも遅い、たっぷりと水を含んだ不良馬場が映し出したのはキタサンブラックの真の強さだった。

「特殊な馬場状態だったので返し馬は走りをチェックする感じで乗ったが、他の馬とは違う体の強さがあったのでこなせると思った。スタートはゲートで扉が開く前に突進して、その分遅れた。今までも危ういところはあったけど、今日はやってしまった(笑い)」と武豊。過去のほとんどを逃げ、先行策で制してきた同馬が今回は2角11番手の位置取り。ターフビジョンに映し出された姿に場内からはどよめきも起こったが「各馬が内に殺到しない馬場だったので慌てることはなかったし、リスクはあったけど外に出す気持ちもなかった。ラストは(2着サトノクラウンの)足音が聞こえてきたけど、来ればまた伸びるタイプだから押し切ってくれると思った。必死だったけど冷静な対処ができた」。

 馬場の内めをするすると進出して、直線で抜け出す豪快な勝ちっぷり。馬の強さと同時に、天皇賞通算14勝目となった名手の技と勝負勘が凝縮された一戦だった。

 昨年の年度代表馬が実力、話題性ともにこれ以上ないスタートを切ったことで、今後のジャパンC(11月26日=東京芝2400メートル)、有馬記念(12月24日=中山芝内2500メートル)でも主役として突き進む。

 清水久調教師は「宝塚記念の後は傷めた箇所や歩様の乱れ、ダメージもなくて、獣医師のチェックでも“続戦できるくらい”と言われました。ブラックが自分の中でこれ以上走ったら体を傷めると考えたのかもしれないと思って、馬を責めず、秋に向けて頑張ろうと決めました。週明けの様子を見て、行けそうなら予定通りジャパンカップの連覇を狙いたい」。

 宝塚記念の大敗で仏GI凱旋門賞への挑戦を自重し、年内の国内専念を決めた。馬の力を信じて立て直し、最高の形での復活を成し遂げた。一方でその凱旋門賞はサトノダイヤモンドが道悪を苦に大きな壁にはね返されたのは記憶に新しい。この日見せたキタサンブラックの強さに「もし、れば、たら」を感じた人も多いのではないか。

 次のジャパンカップは今年のダービー馬レイデオロなど新たなライバルとも手を合わせる。そして、有馬記念へ続く引退ロード…底知れぬ好敵手がいればいるほど、「まつり」の主役は輝きを帯びてくる。現役最強の座は誰にも譲らない――キタサンブラックは最後の最後まで先頭を突っ走る。

最終更新:10/30(月) 22:06
東スポWeb

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