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アセアン内の競争激化の中、岐路に立つフィリピン

10/30(月) 17:20配信

投信1

アジア地域内各国の成長見通しを国別に見ていく第9回目は、ドゥテルテ政権下で実質GDPの高い成長率が継続できるかが注目されるフィリピンを取り上げます。

2012年以降、年率6%を超す高い実質GDP成長率を記録

タイやマレーシアなどでは1980 年代から産業振興策を手掛けて、着実に工業化による経済成長を遂げてきましたが、フィリピンは、実質国内総生産(GDP) 成長率で見ると1980年代は年平均2.0%、1990 年代に入っても同2.8%と低成長にとどまりました。フィリピンは、産業振興では、外資導入と輸出製造業を中心とする工業化政策では、出遅れてしまったのです。

さらに、フィリピンでは、むしろ国内産業保護政策が採られたため、財閥や地主などによる経済の寡占化が進み、治安悪化や自然災害などの不運も重なって、外資の流入は極めて限定的にとどまりました。そして、国内の産業が育たず、雇用機会もフィリピン国内には増加しなかったことから、英語が得意な点を生かして、海外に職を求めるフィリピン人は年々増加していき、政府も産業政策の無策を補う形で、これを後押ししました。

国外で雇用されるフィリピン人(OWF)人口は約1,024 万人(人口の約1 割・2013 年)、送金額は256 億ドル(GDP の1 割弱・2015年) に上るという統計もあるほどです。こうした収入が、民間消費と経常黒字を支えるといういびつな経済に特徴があります。

2000 年代に入ると、BPO(Business Process Outsourcing:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業が注目され始めました。米国やアジアを拠点とする様々な業種の企業がフィリピンをBPO先として、各種のプロセシングを外部委託するようになったのです。

フィリピンは、人口が2014 年に1 億人を突破、年率2%のペースで増加し、平均年齢は24.2 歳と若いという特徴があるため、(1)豊富な労働供給が長期的に亘って期待できます。また、(2)人件費が低いこと、(3)英語を話せる質の高い労働力が豊富であることも、BPO拠点としてのフィリピンへの注目を高めている理由です。

ファンクションとしては、コールセンターやトランスクリプション、ソフトウェアやコンテンツの開発など、実に多種多様に及びます。2014 年には業界全体の売上高は184 億米ドル、雇用者数は約103 万人でしたが、2016 年には売上高250 億米ドルに達し、雇用者数も130 万人に拡大しています。

こうした追い風もあって2010年以降、民間消費は拡大し、GDP 比(2015 年)で 69%を占めるまでになりました。原油安などにより消費者物価上昇率が2015 年1.4%、2016 年1.8%と低位安定してきたことも消費にはプラスに働き、世界経済が減速し外需が低迷するなかでも、2016 年の実質GDP 成長率は6.8%と、安定した成長を果たしました。

アキノ前政権下で公共支出を安定して拡大させてこともあって、2012 年以降は年率6%を超す高い成長率を記録しています。また、人口拡大が続き、長期的に消費市場の成長ポテンシャルが高いことから、消費財製造業や消費者向けサービス産業の投資も拡大が見込まれます。

ただ、製造業の直接投資は周辺国とを比較するなかで、相対的に市場規模が大きく産業集積が進むインドネシアや、中国華南地域とアクセスが良く政治が安定しているベトナムなどが選好される傾向にあるのも実情です。今後は、アセアン各国間の競争環境も一段と厳しくなると予想され、周辺国との投資誘致競争に勝つには、政治外交の安定に配慮するとともに、経済改革、インフラ整備を積極的に推進する必要があります。

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最終更新:10/30(月) 17:20
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