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貴重な漢方薬原料の産地誕生 国内唯一、福井県高浜町

2017/10/30(月) 11:54配信

福井新聞ONLINE

 福井県高浜町山中の山林に、漢方薬の原料となる中国伝来の植物「ゴシュユ」が群生していることが分かり、周辺で薬草栽培に取り組む地元の住民グループ「青葉山麓研究所」のメンバーらが29日、販売に向けて果実を初収穫した。ゴシュユはこれまで中国産の輸入品しかなく価格も高騰しており、同町は国産ゴシュユの唯一の産地となった。関係者は「薬用植物栽培のメッカとして知名度を上げる第一歩になる」と期待を膨らませている。

 同研究所によると、ゴシュユの群生地は別の薬草の試験栽培園の近くにあり、2年前に見つかった。広さは約千平方メートルにわたり、成木だけで約350本に上る。詳しい経緯は不明だが、土地所有者が約50年前に植えたらしい。

 発見後、ゴシュユの果実は北里大で成分検査を行い、今年9月には同大と高浜町、同研究所が日本生薬学会で共同発表。漢方薬に処方できる国産原料としてお墨付きを得た。群生地は所有者から栽培用に無償貸与された。

 収穫初日は研究所のメンバーやボランティアら約10人が、直径3~5ミリの赤い果実を房ごと採り、次々と袋に入れていった。11月初旬にかけ約20キロの収量を見込む。収穫した果実は漢方薬の原料として生薬メーカーに販売し、以降は全国の医療機関や薬局に流通する。

 漢方薬を巡っては日本市場が拡大する一方、中国産原料の供給が不安定なため、価格はここ数年で2~10倍に高騰。ゴシュユも国産品を求めるメーカーから引き合いが強いが、東京生薬協会などによると、漢方薬に使うゴシュユの群生地は国内では他にはないという。

 同町は耕作放棄地の活用と中山間地の活性化を目指し、同協会などと連携協定を締結。専門家からアドバイスを受けた同研究所メンバーが、青葉山周辺で薬草栽培を進めている。初収穫に立ち会った同協会の小谷宗司理事(信州大特任教授)は「原料の国産化が推進される中、高浜でゴシュユが生産される意義は大きい」と指摘。同研究所の山下暢以知所長は「ゴシュユを起爆剤に、薬用植物の“高浜ブランド”を構築していきたい」と話していた。

福井新聞社

最終更新:2017/10/30(月) 11:54
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