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盛り上がる環境評価指標「CDP」、Aリスト入り増も世界との差大きく

2017/10/30(月) 16:45配信

日刊工業新聞電子版

■過熱気味、「環境先進企業」の称号

 企業の環境評価指標である「CDP」への関心が高まっている。「環境先進企業」の称号を得ようと企業が競い合い、24日に都内で開かれた報告会には、最優秀に選ばれた企業トップが登場した。一部では“過熱気味”との見方もある中、評価を気候変動対策や経営にどう生かすかが問われている。

 CDPは英国の環境NGO。二酸化炭素(CO2)の排出規制が強まると、企業の成長は鈍化する。省エネルギー対策を考えている企業なら、排出規制があっても成長を継続できる。こういった企業の気候変動対策の情報を集め、投資家に提供することを目的に2000年、前身のカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトが設立。投資家の要請を受ける形で企業に質問状を送り、回答を評価、公表する活動を始めた。投資家も17年は世界5000社以上に質問状を送付した。

 企業に回答義務はないが、欧州企業は8割、米企業は6割が回答する。こうした企業の背中を押しているのが投資家だ。欧米の803の投資機関がCDPを支持し、これらの投資機関の運用資産の総額は100兆ドル(1京円)に上る。

 CDPについては、日本国内では電力などエネルギー多消費産業などから「全産業を同一指標で比べることに無理がある」「CO2削減は政策・インフラに依存する」と反発する声も聞かれる。製造業の環境担当者にも「質問状を送りつけ、無回答なら最低評価と一方的に公開する」と不満も聞かれる。だが、100兆ドルの投資家をバックに持つCDPを無視できないのが実情だ。

 日本では大企業500社に質問状を送付している。CDP日本事務局の森澤充世ディレクターは「報告会に社長が来るようになってから、注目度が高まった」と振り返る。14年は日産自動車、ホンダ、東芝、住友林業の4社が日本企業で初めて100点満点を獲得。報告会に各社トップが駆け付けた。

 15年は日本の満点が25社に増加。点数の公表がなくなり、A―Dの段階評価だけとなった16年は53%が回答し、初めて半数を突破。22社がAリストに名を連ね、17年は13社がAリストに入った。最優秀を得たソニーの今村昌志執行役は「何かへの貢献なくして技術開発はない。ソニーは問題解決に創造と挑戦に取り組む」という。

 森澤ディレクターは「Aは特別扱い」と言い切る。報告会に招かれるのも、報道されるのもAリストの企業だけ。ただし「一喜一憂してほしくない」と語る。日本のAリスト企業でも、再生可能エネルギーの導入量では海外企業から引き離されているのが実情だ。「世界は前を走っている。追いつくためにスピードアップが必要」と訴える。

 またCDPが「投資家との対話ツールになる」と期待する。成長力を備えた企業を選ぶESG(環境・社会・企業統治)投資はグローバルに広がっている。CDPは世界同一基準なので、投資家は企業を比べやすく、企業もPRしやすい。

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最終更新:2017/10/30(月) 16:45
日刊工業新聞電子版