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バルベルデ監督がビルバオ戦で執った新しい采配

2017/10/30(月) 19:40配信

ムンドデポルティーボ日本語公式

 土曜日、FCバルセロナ対アスレティック・ビルバオ戦が行われたのは新しくなったサン・マメスだった。昨シーズンまでビルバオを指揮していたバルベルデ監督にとっては、愛着がある場所での試合である。
 
 試合後には、親友で現ビルバオ監督のホセ・アンヘル・シガンダや、チーム関係者と抱き合って挨拶を交わしたり、冗談を言ったりしていたが、試合前には感動的な歓迎もなく、またバルベルデ自身も現在の仕事にフォーカスしていたため、特に感傷的になることはなかった。

 スタジアムのスピーカーから流れる応援歌にあわせて、スタンドを埋め尽くした4万3750人のファンが歌うなか、選手たちとともにバルベルデも姿を見せる。試合前にアナウンスされるのはバルサの先発と控え選手だけ。バルベルデの名前がコールされることはなかった。今のサン・マメスに彼の居場所がないことがはっきりと分かった場面である。

 しかし、勝ち点3を獲得するという目標を成し遂げるためには、それで良かったと思っていたに違いない。ビルバオに勝利するためには、余計な感情は必要ない。この対戦相手には、試合開始直後から気が抜けないことも理解していた。

 ビルバオはロングボールを軸に空中戦を挑むフットボールが特徴である。例えば、ゴールキーパーのケパ・アリサバラガからのロングボールをラウール・ガルシアがあわせて、スピードのあるイニャキ・ウィリアムズにつなぐというような形である。

 チングリはこのスタイルを封じるため、長身選手を全員先発に送り出した。ジェラール・ピケ、サミュエル・ユムティティ、セルヒオ・ブスケツらに加えて、パウリーニョやアンドレ・ゴメスも起用されている。この2人はポジションを入れ替えながら、常にラウール・ガルシアへのロングボールをケアしていた。コーナーキックやスローインのハイボールを、ルイス・スアレスが頭でクリアする場面もあった。だが、これほど徹底した対策を取っていたにもかかわらず、アリツ・アドゥリスには何度か危険なシーンを作られている。

 今夏バルサにやってくるまで4年間アスレティックを率いていたバルベルデには、当然多くの情報があった。シガンダ新監督がいくつかの変化を加えたとはいえ、チームの本質は保たれているからである。基本的にバルベルデは、対戦相手にあわせて戦い方を変える監督ではない。

 後半、ビルバオは高い位置でボールを取り戻し、バルサを苦苦しめることに成功した。このとき、バルベルデはサイドを強化するためにデニス・スアレスにアップを命じている。ボールへの関与を増やす意図があったのだろう。しかし、最終的に下された決断は、アンドレ・ゴメスに代えてセメドを投入することだった。

 これに伴い、それまで右サイドバックを務めていたセルジ・ロベルトを中盤に配置している。この試合唯一の選手交代だった。今シーズン、交代枠3人を使い切らなかった試合はこのビルバオ戦が初めてである。1点リードをしている状況でも、時間稼ぎで交代枠を使用していない。その理由はやはり高さだろう。アスレティックの最終兵器は、これまでに多くの結果を手にしてきた伝統の“高さ“であり、バルベルデはそれを封じなければならなかったのだ。

 バルベルデがバルサの監督に就任してからの試合の中でも、このビルバオ戦は美しいものではなかった。個人的な友情や親愛を考慮しても、手放しで喜べる勝利ではなかったと思う。それでも、チングリが勝ち点3ポイントを獲得するために入念に準備していたことは間違いない。

執筆者:Jordi Batalla Arasa

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