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石井竜也が感じる変化、「元気出そうよ!」さえカンフル剤にはならない時代に

10/30(月) 12:04配信

MusicVoice

 歌手の石井竜也と、11月から海外ドラマ専門チャンネルAXNで放送される海外ドラマ『シカゴ・ファイア』『シカゴ P.D.』『シカゴ・メッド』とのコラボレーションが実現した。

 最新アルバム『DIAMOND MEMORIES』(9月27日発売)に収録された新曲「希望の未来へ」「砂の中の宝石~放浪者~」「虚構の光」がそれぞれのドラマのエンディングに使用されることが決定した。

 これらのドラマは、『シカゴ・ファイア』の放送を皮切りに、それぞれスピンオフの形で『シカゴ P.D.』『シカゴ・メッド』といったドラマが制作された。アメリカ・シカゴを舞台に消防士、警察官、救命病棟という、街を支える者たちの、人間模様を描いている。

 石井の最新アルバム『DIAMOND MEMORIES』は、渡辺真知子や八神純子、村下孝蔵さんにペドロ&カプリシャスなど、石井が敬愛する昭和の代表的なニューミュージックの数々をカバー。加えて石井が思いを込めて作ったオリジナル楽曲をちりばめた内容で、「希望の未来へ」「砂の中の宝石~放浪者~」「虚構の光」は、すべてこのアルバムのために作られたオリジナル楽曲となっている。

 今回は石井のこのドラマに対する印象や、コラボレーション楽曲への思いを語ってもらった。

【取材・撮影=桂伸也】

ドラマとの共通点、シカゴという街と70年代の日本

P.D.』『シカゴ・メッド』というシリーズ作品に対して、どのような印象を受けられましたか?

 そうですね、『ツイン・ピークス』あたりから見ています。結構、いろいろ見ているけど、やっぱり向こうのドラマって、もうほとんど映画。確立されていますね。ただ、60年代頃のドラマを見るとまた違いもあり…、一方で『フレンズ』とかは、うちの嫁さんなんかが見ながらゲラゲラ笑うわけ。僕が見ても「何が面白いんだ? これって?」ってなるんだけど(笑)。

 まあそんな中で、海外ドラマは『X-ファイル』とかいろんなヒット作がありましたけど、荒唐無稽なものが多かったところに、だんだんアメリカの現実を露出させるようなものが増えてきた感じ。そんな傾向は社会的に、世界的にリアルな危険性みたいなものを、どこか世界中の人々がより感じるようになっている現れなんじゃないかと思うんです。

 例えばヨーロッパだったら移民問題とか、アメリカだったら今の北朝鮮情勢とか。それも今、僕たちがいるこの場所が中心地になっているわけで。今、あちこちで火種が起こっている状況がありますよね。

――本当に多くの問題がありますね。

 だからこういうドラマが世界的にヒットしていくというのも、どこかに自分たちとの共通点が見え隠れしているからなんじゃないかと。今までだったら「虹の向こうに、何がある?」なんて騙されていたところが(笑)。

 騙されなくなったんじゃないんでしょうか、「そんな綺麗なもんじゃないよ」って。だから歌も変わってきていると思うし、今回このドラマは、こんな世の中に合っていると思ったんですよ。

――石井さんが提供された楽曲は、不思議にフィットする感じがありますね。

 それは例えば、楽曲のバックグラウンドにある70年代頃の日本は、高度経済成長期ど真ん中で、大変な時期だったけど、逆にそれは活気がある時だったということがあるんじゃないでしょうか。

 マイナーな曲でも受け入れられたんだと思うし、実際それはヒットしたし。メロディが綺麗で、歌詞の世界が手に取るように分かったりすると、それが受けていた、それくらい人間が強かったんだと。

 だから「がんばれ! 明日はあるんだよ!」みたいなことを「今日も生きていけないんです…」みたいな人には言わないと(笑)、やってやれない感じ。だからそういう歌ばかりなんですよ、「元気を出そうよ」って。でも今は、それさえもカンフル剤にはならない時代になったと思う。とにかく忘れたいな、何かねえのかな、という感じで。

――なるほど。話は変わりますが、このシリーズでは消防士、警察官、医師という職業の人間を中心としたドラマがありますが、石井さんとして、この3つの職業のうち一つを選ぶとしたら、どれを選びますか?

 どうでしょう…。まあ、そんなに大変な火事は度々ないだろうな、と思うから「ファイア」ですかね(笑)。そんなに毎日はないでしょう、ブワーっとかいうのは(笑)。まあボヤが出ました、というので消しに行ったらワーッと拍手喝采を浴びて「いや~大したものは消してないんだけど…」と照れ笑い、みたいな(笑)。

――でも消防士の方は、事件がない時も毎日、かなり体力作りを精力的に行われてますけど、それも大変そうですが…。

 そうなんですよね。毎日やらなければいけない。だから実は一番ハードなのは、下手すると彼らなのかもしれない。火の中に入って行くって、自殺行為もいいところじゃないですか? だからある意味ハードですよね。正直言うと、僕はどれも勘弁してほしい(笑)。

 でも、逆にこういった人たちがいなければ、巨大な街というのは形成されない。ある意味では戦士なんですよね、街を守る。どっちかというと善の方にいる。悪の方に行っちゃいけない。でもそれに限りなく近いところまで接近しなければいけない人たち。

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最終更新:10/30(月) 12:04
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