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CPU性能が200%アップ!? 「AMD Ryzen Mobile」特徴まとめ

10/31(火) 11:22配信

ITmedia PC USER

 AMDが「AMD Ryzen Mobile Processors with Radeon Vega Graphics」(以下、Ryzen Mobile)を発表。「Ryzen 7 2700U」と「Ryzen 5 2500U」の2モデルが明らかにされた。先行して行われた記者向け説明会では、Comsumer Sales APJのDirectorであるPeter Chambers氏と、Client Product Management WWのDirectorであるDavid McAfee氏がその特徴を解説した。Ryzen Mobileのポイントを紹介していこう。

エンジニアの努力により目標を大きく上回るCPU・GPU性能の向上と消費電力の削減が実現できたという

 Ryzen Mobileは、ZENコアがベースのCPUと、VEGAコアがベースのGPUを統合したAPUだ。Ryzen 7 2700U、Ryzen 5 2500UのCPU部分はともに4コア8スレッドで、動作クロックとGPUコアのCU数が異なる。

 動作クロックはRyzen 7 2700Uが定格2.2GHz、ブースト時3.8GHz、Ryzen 5 2500Uが定格2GHz、ブースト3.6GHz。L2/L3キャッシュはともに6MB。GPUはそれぞれ異なり、Ryzen 7 2700Uが10CU(最大1.3GHz)、Ryzen 5 2500Uが8CU(最大1.1GHz)のコアを搭載する。メモリはともにデュアルチャネルのDDR4メモリを採用。TDPは公称15Wとされている。

 AMDでは、Ryzen Mobileの開発に際し、第7世代APUに対してCPU性能で50%アップ、GPU性能で40%アップ、消費電力で50%削減を目標に掲げていたとのことだが、実際にはCPU性能は200%アップ、GPU性能は128%アップ、消費電力は58%削減を実現できたという。

 ベンチマークスコアもいくつか提示されているが、CINEBENCH R15を用いたものでは、1スレッド時でCore i7-7500Uに迫り、マルチスレッドでは2コア4スレッドのCore i7-7500Uはもちろん4コア8スレッドのCore i7-8550Uをも上回るとのこと。

 グラフィックス性能では、3DMarkのTime Spyのスコアが915とされ、Intelの統合GPUや従来のAPUを大幅に上回る。実際のゲーム性能では、ディスクリートGPUには敵わないものの、中~低という画質設定、1280×720ピクセルや1920×1080ピクセルではLeague of LegendsやOverwatchといったタイトルが60fps前後でプレイ可能とされる。

 バッテリー性能はAMD FX-9800Pとの比較だったが、VP9プレイバックでは4.5時間が9.2時間へ、1080p H.264プレイバックでは10.6時間が12.2時間へ、Mobile Mark 14では10.7時間が13.5時間へと、延長された。

●SenseMIをモバイルに最適化、省電力機能を大幅に強化

 型番が2000番台となっているのは、モバイル向けに進化した「SenseMI」が大きい。SenseMIは、デスクトップ向けRyzenと同様に、Precision BoostやXFR、Smart Prefetchなど様々な機能の総称だ。

 Ryzen MobileでのPrecision Boostは、2へと進化し、従来では2コア以内の際に有効だったブーストが、2では3コア時でも効く。これにより負荷と温度に応じてより柔軟なブースト制御が可能という。XFRは、Mobile XFR(mXFR)となった。XFRがブーストよりもさらに上のクロックアップであったのに対し、mXFRは枠内でできるだけ高クロックをキープしようと働くことを指すとのことだ。

 モバイル向けの省電力関連機能では、「Synergistic Power Rail Sharing」や「Per-core Frequency and Voltage」、「Enhanced Gate States」、「Dual Region Power Gating」などが紹介された。Synergistic Power Rail Sharingは、APUコアへの入力電源を1系統とし、CPUはコア毎に、そしてGPUにもデジタル制御で低損失のレギュレータを搭載することで、それぞれに必要な電圧を供給する仕組みとされる。

 Per-core Frequency and Voltageは、CPU各コアおよびGPUコアの5つに分け、負荷に応じて動作周波数と電圧を素早く可変させる仕組み。各スレッドの負荷は常に変動するなかで、最も重要な部分に電力を供給できるという。

 Enhanced Gate Statesは、Cステート関連の機能で、Ryzen MobikeではCPUの各コア毎とGPUに「CC6」と呼ぶパワーステートを持ち、100μs以下のレイテンシで個別にゲーティングを行う。その次の段階ではCPUコアとGPUに分け、1.5ms以下のレイテンシパワーオフを行う「CPUOFF」「GPUOFF」のステートに移行する。その状態がさらに続くと「VDDOFF」と呼ぶ電源を遮断するステートに移行する。

 Dual Region Power Gatingは、パワーゲートの制御を「Type A」「Type B」という2つのリージョンに分けて制御する機能だ。RyzenではInfinity Fabricと呼ぶインターコネクトを採用しており、そこにCPUやGPU、メモリコントローラやディスプレイ出力などを接続している。こうした周辺回路は処理に応じて、そして処理の段階に応じて負荷が変わる。処理の開始時にはType A、Type Bともに求められ負荷がかかるが、処理の中盤にさしかかりType Aの負荷が抜けた段階ではType A側をパワーゲートによって休止状態に移行させ、電力消費を抑えると説明している。

 Ryzen Mobileは、RyzenとVEGAの性能を統合するとともに、モバイル向けに省電力機能を強化、かつその枠内で性能を引き上げるPrecision Boost 2などを備えた。これにより、スリム・軽量ノートで存在感を発揮していこうとしている。Ryzen Mobileを搭載するスリムノートPCは、AcerやHP、Lenovoといったメーカーから登場する見込みだ。

最終更新:10/31(火) 11:22
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