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ホラー小説AIがTwitterで新作を執筆中

2017/10/31(火) 16:58配信

ITmedia NEWS

[AP通信] 世界的ホラー作家スティーブン・キングの作品コレクションはまだ処分しないほうがいい。だが他のホラー作家は警戒したほうがいいかもしれない。米研究者はこの度、背筋の凍るようなホラー小説を量産することを目的とした悪夢のような人工知能(AI)ボットを発表した。

Shelleyボットの開発チーム(AP Photo/Steven Senne)

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らがディープラーニングのアルゴリズムを駆使し、「Shelley」というホラー小説執筆ボットを完成させた。ゴシック小説『フランケンシュタイン』の著者メアリー・シェリーに因んだ命名だ。このボットが暇をもてあまして田舎をさまよい村人たちを恐怖に陥れるようなことのないよう、研究チームはこのボットにホラー小説の短期学習コースを用意。オンラインの人気フォーラムに集うアマチュア作家らが書きためた14万本のホラー小説を読破させた。

 Shelleyの人工ニューラルネットワークは現在、独自の物語を創作中であり、Twitterに冒頭の何行かを投稿した後、人間と協力しながら交代で物語を書き進めている。

●どのくらい怖くなるかは未知数

 「Shelleyは実に興味深く、気味の悪い物語を創作している。これまでのホラー分野には全くなかったような物語だ」とMITメディアラボの研究者ピナル・ヤナルダグ氏は語る。例えば、ある奇妙な物語には、妊娠した男性が病院で目覚めるシーンがある。

 このMITメディアラボによる実験は、ハロウィーンに合わせて立ち上げられたものだ。2016年には、AIで人間を怖がらせる画像を作成するという目的で同様のプロジェクトが実施されている。とはいえ、ディープラーニングと高性能な計算処理能力があれば、本当に人間を怖がらせる物語に仕上がるのだろうか。とりあえず、この実験はまだ進行中とだけ言っておこう。

 世界で最も著名な現役のホラー作家であるスティーブン・キングは、「小説の冒頭の段落をきちんと書き上げるには数カ月か数年かかることもある」と語る。Shelleyは冒頭の段落をわずか数秒で書き上げるが、その仕上がりは少しぎこちない場合もある。

 例えばShelleyが10月27日にTwitterに投稿したのは、次のような一節だ。「人形が注射器を持って私のところにやってきた。口から血を吹き出し、衣装を脱ぎ始めた。そしてその後、踊り出した」

●膨大な量のデータが必要

 Shelleyが書く文章は、ソーシャルニュースサイトredditのr/nosleepフォーラムに参加するホラー愛好家たちの集合知によって生み出されている。機械学習のアルゴリズムには大量のデータが必要であり、r/nosleepフォーラムのアマチュア作家たちは過去10年間で700MB程度の創作ホラーを書きためてきた。研究チームはShelleyにホラー小説の古典は学習させていない。著作権上の問題と、分量が足りないという理由からだ。

 「ラヴクラフトやスティーヴン・キングやエドガー・アラン・ポーの作品を全て集めても数MBにしかならない。それではデータとして不十分だ」とMIT科学研究員のマヌエル・セブリアン氏は語る。

 ヤナルダグ氏とセブリアン氏は自身もホラー作家にあこがれているという。Shelleyが執筆した小説を一般の人たちが購入することは当分なさそうだ。だがShelleyはフィードバックから学習するようになっており、人間の作家により創造的な思考を促す刺激剤となることも期待される。

 「作家は行き詰まることがある。Shelleyのような技術は、次の段落へと書き進む助けとなるので、作家は執筆中のスランプに陥らずに済むのではないだろうか」とセブリアン氏は語る。
(日本語翻訳 ITmedia ニュース)
(C) AP通信

最終更新:2017/10/31(火) 16:58
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