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国内NAS市場で急成長中のSynologyが新製品を披露――ユーザーイベント「Synology 2018」レポート

10/31(火) 17:12配信

ITmedia PC USER

 Synology 2018は、同社が法人・個人ユーザーを対象に世界17カ国で開催しているイベントだ。その年の同社の新製品や新しい機能、それらを含むNASの運用方法などを紹介する内容となっている。

冒頭の挨拶に立ったSales DirectorのMike Chen氏

 冒頭のあいさつに立ったSales DirectorのMike Chen氏は、同社製品のユーザー数についていくつか数字を紹介している。同社の管理OSであるDSM 6.1のダウンロード数は368万件、パッケージ(NASキットに追加可能なアプリ)の有効数は5万1000件、そして同社のNASにアクセスするユーザー数を6億9000万アカウントと推測する。

 個人向けはもちろん、世界の名だたる大手企業や行政機関、医療分野などで採用され、成長を続けているとのことだ。そのようななか、日本市場は昨年比で60%と大きく成長。特に個人向けで低価格なエントリー向けNASキットの「DS216j」の出荷量はアジア地域で一番であり、ビジネス向けモデルについても大幅な成長を記録しているという。

●NAS新製品はもちろんWi-Fi中継器やDTCP-IP対応サーバ機能など

 NASキットの新製品では、「DS218play」(2ベイ)、「DS118」(1ベイ)、「DS218j」(2ベイ)が明らかにされた。DS218playとDS118は、1.4GHzのクアッドコアCPUを採用することで処理を高速化し、暗号化時の転送速度で112MB/sを実現。さらに4Kトランスコード機能も備え、メディアサーバとして利用できる。一方、DS218jは、低価格なエントリーモデルとして好評のDS216j(およそ2万円台)の後継に位置づけられる。

 NASキットでは、管理OSのパッケージセンター機能を介し、ネットワーク上からアプリの追加、機能の強化を特徴としているが、特に日本国内で期待される新アプリが「DiXiM DMS」だ。

 DiXiMはDTCP-IP対応のメディアサーバ機能で、HDDレコーダーやテレビなどの録画機器で採用されている著作権保護機能に対応している。DiXiM DMSを用いれば、録画映像のムーブやコピーなどが実現でき、日本市場では重要なものとなるだろう。アプリは有料で、価格は未定、公開も近日とのみ発表されている。

 このほか、将来の製品として「Synology Mesh Router」が紹介された。日本市場でも今夏に発売された「RT2600ac」に続くルータ製品となるが、ルータ機能というよりはWi-Fi中継器に相当する。壁で仕切られた家庭やオフィスにおいて、親機の無線LANルータなどから遠く離れた、電波の届かない弱いエリアをカバーするための機器である。

 最大7基でメッシュを構成でき、うち1台を親機にできる。あるいは同社のRT2600acを親機とすれば、内蔵するハードウェアアクセラレーションによる高速処理が可能とのこと。特徴としては、IEEE802.11acに対応し、2.4GHz×2系統、5GHz×1系統のトライバンド構成で2.4/5GHzのどちらを親機との接続に利用するかを指定できるほか、複数台でメッシュを構成した際に、中継する1台に障害が生じても、自動的に別の中継器を経由するルートを再設定する自動管理・自動修復技術が挙げられている。

●VPNリモートデスクトップ機能やディープラーニングベースの写真管理アプリが登場

 そのほかにも新機能やアプリ、取り組みなどが紹介されているのでいくつか紹介しよう。

 VPN PLUSは、同社のルータ製品「RT2600ac」で利用可能なVPN機能で、当初Webブラウザベースで簡単にアクセスできる「WEBVPN」、専用アプリを介してLANのように扱える「SYNOLOGY SSL VPN」、ほか業務用で支店間の連携に利用される「SITE-TO-SITE VPN」に対応していた。リモートデスクトップ機能は、4つ目のVPN機能で、Webブラウザを介して自宅のRT2600acに接続、同ネットワークに接続されたPCにログイン、操作できる。

 「Moments」はNAS上で利用できる新しい写真管理アプリだ。ディープラーニング技術を用いており、NAS上にアップロードされた写真に対し、人物や場所、タイトルなどのタグを自動的に判断、付与する。こうした処理を、サーバと通信することで実現するのではなく、NAS上で行うというのもユニークだ。

 タイトルのようなタグについては、現時点で300ほど用意されているとのこと。これら自動的なタグ付けではなく、自身で管理したい場合は、従来から提供されているアプリのPhoto Stationを使用できる。タグ自体はアップデートによって追加されるようだ。こうしたMomentsの機能によって、写真整理の手間を省き、過去の写真を素早く探し出せるようになる。

 通常のファイル管理については、これまでも「File Station」や「Cloud Station」、「Office」といったアプリが提供されていた。ファイルの場所や種類によって使い分けてきたが、新たなファイル管理アプリの「Synology Drive」は、これらをまとめて管理できる。PCを用いたデモでのインタフェースはブラウザベースだ。自分の共有フォルダに加え、チームフォルダやメールの添付ファイルなど、各所に分散したファイルを集約し、デバイスに依存することなく管理から閲覧、編集まで可能になる。

 バックアップ機能では「Active Backup for Business」が紹介された。これはより柔軟なバックアップを実現する機能とされ、例えば、物理サーバはもちろん仮想サーバなどもイメージファイルをそのままバックアップ、NAS上でそのまま起動することなどが実現する。

 サーバに障害が生じた際などでも、ビジネスをストップさせることなく続けることができるという。Active Backupでは、Active Backup for G-Suiteや同 for Office 365などもあり、こちらではクラウド上のデータも集約したバックアップが実現できる。例えば、クラウドサービスに障害が生じた場合でも、アクセス権を持つユーザーであればアクセス可能になるとのこと。なお、これらのバックアップ機能では、マルチユーザー環境などで重複が生じるファイルを自動で検出、ディスクサイズを節約する。

 このほか、β版が提供されている新仮想環境「Virtual Machine Manager(VMM)」ではライブマイグレーションやスナップショット、データ保護がデモされた。ライブマイグレーションでは、インスタントマイグレーションを紹介し、VMのクローン作成を瞬時に行える点をアピール。スナップショットのデモでも稼働中のVMを瞬時にスナップショットをとり、その間、ストップしない点などを紹介した。

 スナップショットについては、ランサムウェア対策としても有効とのこと。VMMは、無償のスタンダード版と有償のビジネス版が用意される。仮想CPUの数やスナップショットの数、機能などが異なり、とくにインスタントマイグレーションなどについてはビジネス版のみの機能となる。

 ランサムウェアで話題となったセキュリティについての取り組みでも紹介があった。SynologyはMITREから認定を受け、ぜい弱性情報データベース「CVE」(Common Vulnerabilities and Exposures)の採番が可能な台湾で初のメーカーであるとのこと。

 こうした独自に採番ができるのは世界でも70社ほどだそうだ。また、2017年5月24日に明らかになったぜい弱性「SambaCry」への対応については、、CISCOが対応に54日を要し、IBMが6日を要したのに対し、Synologyは24時間で対応したという。

 同社は社内にProduct Secuity Incident Response Team(PSIRT)と呼ぶ製品セキュリティ即応チームを設け、そのセキュリティ問題対応フローとして、まず8時間以内にぜい弱性の審査を、その後の15時間以内にぜい弱性への対応を行い、合計24時間以内には対策を施すといった対策も紹介された。

最終更新:11/1(水) 15:38
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