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病気が原因で嘘つきになってしまう? その心理と特徴

10/31(火) 19:45配信

All About

◆性格のせいではないのかも……嘘をついてしまう病気とは

程度の差こそあれ、私たちは人の目を気にしながら生きているもの。周りの人からどう思われているのか、気になることもあるでしょう。また、周りの人に高く評価されたいという思いが、モチベーションを高める大きな原動力になることもあります。

そんな心理がある中で、周りの人から「あの人は嘘つきだ!」といった目で見られるようになってしまったら大変です。その人たちの輪の中で気持ちよい人間関係を保っていくのは、かなり難しくなるかもしれません。しかし、つい嘘をついてしまう背景に、心の病気が関与している場合もあるのです。

ここでは、嘘に関連する心の病気を詳しく解説します。

◆パーソナリティ障害……嘘つきが平気になるのも症状のひとつ

相手に嘘をつかれることも、ショックなものです。嘘の度合いによっては、相手の人格を疑ってしまうこともあるでしょう。しかし、実はパーソナリティ的に、嘘をつく敷居が低くなっている場合もあります。もしも自己の何らかの利益や都合のために平気で嘘をつくようになっている場合、反社会性パーソナリティ障害の可能性があることにも注意してください。

反社会性パーソナリティ障害の発症率は人口のおよそ1~3%前後。性差は男性に多くなっています。反社会性パーソナリティ障害では、社会的規範に対するモラルが深刻に低下し、平気で嘘をつくといった問題行動が起きやすくなります。

反社会性パーソナリティ障害の場合、本人が自ら精神科を受診することは少ないですが、対人関係上のトラブルを軽減し、日常生活の質を向上させるためにも、心理療法などの治療を受けることが望ましいです。

◆アルツハイマー型認知症・慢性アルコール依存症・解離性障害……記憶がないことが嘘の背景にあるケース

もしも、はっきり記憶がない時間が自分にあったとしたら、なかなか嫌なものだと思います。例えば、仲間と酒を飲んでいるうちに泥酔してしまい、気づいた時は、自宅のベッドの上……しかも服も何も着ていなかったとなると、一体どうやって帰って来たのか、いや、それ以上に、帰る途中、何か間違ったことをしなかったか不安になるかもしれません。後にその日のことを誰かに尋ねられたら、面目を保つため、適当に答えてしまうこともあるでしょう。適当に答えてしまうことも、広義には嘘の一形態です。

もしも記憶がない時が頻繁に現れると、作話も多くなります。例えば、アルツハイマー型認知症では短期記憶が障害されやすく、昨日のことだけでなく、数時間前のことも、全く覚えていないといったことがあります。また、認知症では現実と、自分が思いこんだことの違いが曖昧になりやすいのも、作話が生じやすい素地になります。

また、慢性アルコール依存症でも記憶障害が現れることがあります。アルコール依存症では食生活が片寄りやすく、もしも長期間にわたりビタミンB1(チアミン)摂取不足が生じると、脳内の神経細胞の一部がダメージを受け、コルサコフ症候群と呼ばれる病態が生じることがあります。記憶障害はコルサコフ症候群の特徴的な症状のひとつ。コルサコフ症候群では、失われた記憶を埋め合わせる作話がよく現われます。

また、記憶のない時間が現れやすい心の病気として、解離性障害が挙げられます。心の解離が進んでしまうと、まれではありますが、記憶のない時間にもうひとつの人格が現われる、いわゆる多重人格が生じることもあります。

もっとも心の解離自体は、日常的に誰でも経験することです。例えば、誰かに肩を叩かれてハッと我に返るような時ですが、仮に家族の誰かが大事な相談事を自分にしていたとして、相手が自分に意見を求めてきた時、ハッと我に返っても話の内容が実は頭に入っていなかった……ということはあるでしょう。その際、相手の話を聞いていなかったことを素直に謝るべきか、それとも適当にお茶を濁した方がよいのかは、なかなか判断が難しいものです。

このような日常レベルを明らかに超えたレベルで、もし身近な誰かに作話が多くなっていることに気付いたら、相手の人格を疑う前に、記憶障害の可能性もあるのではと、一応疑ってみることも大切です。

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最終更新:10/31(火) 19:45
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