ここから本文です

OneStep 2レビュー:万人向けではない、ポラロイドらしさを好む人向けのインスタントカメラ

10/31(火) 11:40配信

ギズモード・ジャパン

2016年、ポラロイドカメラ「The I-1」を発売したIMPOSSIBLE PROJECTが社名を変えて、新たに発売した「OneStep 2」。さっそく試してみた米GizmodoのAdam Clark Estes記者によるレビューです。

【記事の全画像】OneStep 2レビュー:万人向けではない、ポラロイドらしさを好む人向けのインスタントカメラ

***

「The I-1」以降、初の新作となるインスタントカメラがお披露目された夜、ニューヨークでパーティーが開かれました。こぢんまりとしたギャラリーは汗まみれの美大生っぽい人たちで埋め尽くされており、壁にはポラロイド社のデザイン年表を示すポラロイドカメラの列が展示されていました。そこで有名なポラロイド・フォトグラファーのライアン・マッギンレー氏が、Instagramのロゴに影響を与えた元祖「Onestep」の後継機である新カメラ「OneStep 2」を披露したのです。

OneStep 2

価格:100ドル(*日本価格は税別で15,000円の予定)

これは何?:昔ながらのポラロイド写真を出力する新しいインスタントカメラ。

好きなところ:楽しい!

好きじゃないところ:写真の出来がひどい…でもアートな感じのひどさ

僕は100ドルのOneStep 2を数週間使っていますが、ひどいもんです。でも、魅力的なポラロイドならではのひどさなんです。写真は親(あるいは祖父母)の何十年も前のスナップみたいに、ひどいありさまでした。出来ることと言えばカメラを起動して写真を撮るために赤いボタンを危なげに押すだけなので、まるで意地悪ないたずらのような感じです。しかもデザインも奇妙なもんで、元祖OneStepの奇妙な箱型の形状に敬意を表してシャッターボタンを前面に配置しているため、手首を変な方向にねじらなくてはならないんです。

OneStep 2にはイラっとしますが、何だか気に入りました。 実は誕生の歴史も、ポラロイドカメラの好きなところで…。でも、これはイベントで展示されていた歴代のポラロイドカメラたちを見たからというわけではなく、実はだいぶ前から追っていたからなんです。

2008年、ポラロイド社がインスタントフィルムの生産をやめてしまった年に、Impossible Projectという企業がポラロイド社生産工場とリース契約を結び、古い機材を購入しました。ポラロイド社のインスタントフィルムのなかなか消えない需要(その多くはのちにニューヨークのパーティーで見た美大生たちと同じようなタイプから)を認識して、フィルムの再生産を始めたのです。フィルムは爆発的に売れました。Impossible Projectはその後、Kickstarterで資金を募ったデバイスでiPhoneの写真をポラロイドフィルムに焼き付ける「Instant Lab」のような独自のハードウェア、そしてポラロイド社製によく似ている I - Typeフィルムを使う高価なインスタントカメラImpossible I-1を開発しました。Urban Outfittersで購入できますよ(米国の場合)。

今年2017年5月まで話を進めると、Impossible Projectは主要株主となるほどの大成功を収め、ポラロイドブランドと同社の知的財産を買収しました。そしてバワリーのパーティーの席で、Impossible ProjectはPolaroid Originalsへと名称を変えると発表したのです。

そしてthe OneStep 2こそが、Polaroid Original初の製品というわけです。前述したとおり、このインスタントカメラは1977年のポラロイド社の元祖OneStepとよく似ています。同じような傾斜のある背面に、側面にはファインダーのための切り欠きがあって、僕自身は屋根窓を思い浮かべるような、ポラロイドだと主張するそれと分かる形をしています。カメラは年に2回充電が必要なので、さらにMicro-USBケーブルのスロットを配置。前面には見覚えのある赤いシャッターボタン、タイマーボタン、そしてフラッシュのパワーを調整するための小さな黄色いスイッチがあります。上部には2列並びで小さなライトが8つあり、カートリッジに残っているフィルム数を教えてくれます。

OneStep 2のシンプルさは、3万8000円(税込)のImpossible I-1の複雑さとは対照的です。あの異質なものにはリングフラッシュがあり、クリエイティブなエフェクトを足すためスマートフォンアプリに接続する機能があります。それに対してOneStep 2は、ただ写真を撮るだけ。狙って撮影すれば、ポラロイドが前面から吐き出される。僕からすれば誰にでも操作できることこそが、カメラの一番の良さです。僕の犬でさえ、これで写真を撮れるかも。

問題は、写真の出来がゴミみたいだということです。フィルムカートリッジを3つ(カラー1つ、モノクロ2つ)を使いましたが、正直に言うと出来上がったうちまともな写真は2枚、そのうち1枚は僕が撮影したものですらありません。原因の大部分は僕だと認めるようなものですが、OneStep 2と同様にフィルムのパフォーマンスのせいでもあるんです。例えば、カラーの写真は1970年代末期からタンスに眠っていたかのように色あせていました。数枚のモノクロ写真は失敗した科学実験みたいに、一部が露出アンダーもしくはオーバーだったため、現像された画像はかすんでいたんですから。

このクオリティを好む人もいます。ポラロイド写真の予測不能で基本的にはひどい画質こそが、今の世の中でInstagramのフィルターが存在する理由の大部分を占めているのですから。フォトグラファーのライアン・マッギンレー氏のような人たちのおかげで、もっとも偶発的のようなイメージでさえもポラロイド効果でアートっぽく見えるもの。そして出来過ぎなデジタル写真に世界が支配されている今、昔の家族アルバムで見るようなこういった感じの質の悪い写真を覚えている世代全体にとっては、ポラロイド特有のスタイルはノスタルジックであると同時にどこか新しいのかもしれません。僕もその世代ですが、デジタルカメラ登場前の生活を覚えてますし。

昔を思い出すのは時に楽しいものですが、このカメラは残念ながら僕向けではありません。OneStep 2を楽しむのはアナログ写真の煩わしい日々を体験していないもっと若い世代です。振り返るのも最初は良いものですが、古き良き時代のとても不便なことの1つは、ただ単にフィルムは高価だということ。ポラロイドフィルムはとても高価で、そのなかでも新製品は特に高いのです。 i-Typeのカラーフィルムカートリッジは写真8枚で16ドルもします。1ショットにつき、2ドルになります。それもカメラ本体に100ドル費やした後の話ですからね。

ですが、インスタント写真が完全に悪い考えだと言っているわけではありません。もっと安くてマシな選択肢が他にあるのです。例えば、FujifilmはInstax Mini 9というインスタントカメラを約70ドルで発売しています。僕自身、OnePlus 2を試す前から持っていましたが、Instaxのほうが好きです。一緒に購入すれば、フィルムは1枚当たり50セントで購入できますし、正直言ってポラロイドより写真の出来栄えはかなり良いと思います。写真のサイズは約半分ですが、欠点ではなく特徴だと思っています。

結局のところ、写真はお金のかかる趣味です。インスタントカメラに限って言えば、お金をかけるほどたくさんの写真を撮影できます。1枚当たりのコストをみると、Instax4枚がポラロイド1枚に相当します。デジタルの写真撮影なら、その分の資金をより良い機器に投資してInstagramぽいフィルターはコンピューターで処理すればいいだけ。どっちを好むかはあなた次第。ポラロイドのファンであれば、ひどい出来の写真1枚に2ドルのコストも損ではないと思うかもしれませんが、僕は損したと思うんです。

1/2ページ