ここから本文です

キングインターナショナル、大ヒット低音シリーズから『ウッド』と『ベース、ベース、ベース、ベース、ベース&ベース』をレビュー

2017/10/31(火) 14:56配信

Stereo Sound ONLINE

低音リアリズムの極北!! がアナログ盤で楽しめる

 日本のみならず世界的な展開を魅せる“ハイレゾ“に牽引されるかのように、アナログレコード市場も活況を呈している。日本国内ではCDやデジタル配信の普及によって低迷を続けていたアナログ市場も、2009年に底を打ってからは急転、2016年にはおよそ8倍(2009年比)の80万枚もの出荷を記録した。

【画像】『ウッド』と『ベース、ベース、ベース、ベース、ベース&ベース!』

 さらに、今年に入ってからは、アナログ盤のプレス生産を終了していたソニー・ミュージックエンタテインメントが年内に再開するとアナウンスするなど、いま再びアナログ盤に脚光が集まっている。そんな中、キングインターナショナルからは、低音の魅力を詰め込んだ人気の“低音シリーズ“がアナログ盤で復活した。11月3日の「レコードの日」に合わせ、ジャズ評論家の原田和典氏に、おススメアナログ盤を紹介してもらった。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

ブライアン・ブロンバーグ『ウッド』

10000円(税別)、完全限定生産盤
キングインターナショナル
LP2枚組(KKC-1097/1098)
33回転

 20数年にわたってジャズ・ファン、クラシック・ファン、ベース・ファン、オーディオ・ファンを唸らせてきたキングインターナショナルの名物企画“低音シリーズ“から遂にアナログ盤が登場した。10月6日の第1回リリースに際して数あるカタログの中から選ばれたのは、ブライアン・ブロンバーグ『ウッド』、オルケストラ・ド・コントラバス『ベース、ベース、ベース、ベース、ベース&ベース!』。いずれもシリーズの顔といえる作品であり、CD発売の際にも大反響を巻き起こした。発売元はキングインターナショナル、カッティング・エンジニアはプレス工場を持つ東洋化成の名匠、手塚和巳氏。

 ブライアン・ブロンバーグは米国ロサンゼルスを拠点とするベース奏者。ウッド・ベース(コントラバス)、エレクトリック・ベース、ピッコロ・ベース(ギターのような音を出す)等を弾きこなし、いわゆるフュージョン・ミュージックの世界でも大活躍している。低音シリーズのプロデューサー、森川進氏はデイヴ・グルーシンが音楽を担当した映画『恋のゆくえ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』のサウンドトラックでブライアンのプレイに魅せられ、“いつか彼のウッド・ベースをフィーチャーしたジャズ・アルバムを制作したい“との思いを強めた。森川氏とブライアンのコラボレーションは以降、どんどん広がりをみせていくが、その起点となるのが本作『ウッド』である。

 録音場所は人気ジャズ・ピアニスト、チック・コリアが所有する「マッド・ハッター・スタジオ」。エンジニアはブライアンのお気に入りであるトム・マッコーリーが務めた。共演者はランディ・ウォルドマン(ピアノ)、ブライアンの実兄デヴィッド・ブロンバーグ(ドラムス、ボブ・ディランと交流したシンガー・ソングライターとは別人)。ランディは、実は“日本でもっとも聴かれている外国人ミュージシャン“のひとりでもある。安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、華原朋美「I'm proud」など数々の小室哲哉楽曲のストリングス・アレンジを手がけているからだ。その才人が、このアルバムではジャズ・ピアニストとしての姿をこれでもかと打ち出しているのだから痛快ではないか。

 ブライアンは全曲でウッド・ベースを演奏。単にリズムをキープするのではなく、メロディやコード(和音)もたっぷり表現し、弦を弾き、引っぱり、つまびき、叩き、ありとあらゆる技を盛りこむ。ビートルズの「カム・トゥゲザー」は、なんと無伴奏ソロだ。メロディ、リズム、コードを同時にプレイしているので、複数の奏者の競演を聴いているような錯覚に陥るが、もちろん彼ひとりでのパフォーマンス。しかも多重録音は一切していない。ヴォリュームをあげると聴こえるハミング(といえばいいのだろうか、ようするに彼は歌いながら演奏している)は、アナログ盤で聴くとさらに臨場感倍増だ。

1/2ページ

最終更新:2017/10/31(火) 15:07
Stereo Sound ONLINE