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[コラム]誰がトランプに国会演説を許したのか?

10/31(火) 17:37配信

ハンギョレ新聞

 訪韓するドナルド・トランプ米大統領が国会で演説するという話を聞いたとき、トランプの英国訪問と議会での演説をめぐる議論を思い浮かべた。

 トランプが大統領に当選した直後、英国王室は彼を国賓として招待する意向を示し、テリーザ・メイ首相が今年1月末に米国を訪問した際、トランプにこれを提案した。英国の市民社会と政界は大騒ぎとなった。(招待の)取消しを求める請願が英国政府の公式請願サイトに掲載されてから、一週間で180万人以上が署名した。1分に1千人以上が署名をしたこともある。

 英下院のジョン・バーコウ議長はトランプの人種主義的態度を挙げて、議会演説に反対する異例の声明を発表した。トランプが国賓として英国を訪問をすれば、議会演説の機会が与えられるため、事前にこれを阻止するためだった。彼は「外国指導者が英国の上下院で演説するのは、自動的に与えられる権利ではない。資格がある人にのみ与えられる栄誉だ」と述べた。

 トランプの英国訪問は来年に延期されたが、議会演説はおろか、訪問自体がまだ不透明だ。自分を反対するデモが行われるなら訪問するつもりはないというトランプに、英国からは「サンキュー」という答えが返ってきた。

 欧州連合からの脱退で米国にさらに依存せざるを得なくなった英国が、トランプを卑下するのは現実的国益を損なう未熟な行動だろうか?少なくとも、トランプの議会演説に対する反対は現実的に正しかった。一方通行の暴言に明け暮れるトランプに議会での演説機会を与えた場合、英国もその責任を負うことになるかもしれないからだ。

 彼が英国議会で米国優先主義を強調したり、常に批判的だった欧州連合の欧州統合政策を批判したり、ムスリムの国出身の移民者の入国制限問題を正当化したり、中国の為替相場や貿易政策を批判したり、メキシコの壁を擁護する発言をした場合、どうなっただろう?

 トランプの普段の性向や態度からして、彼の議会演説は、英国にとっては「元も子もなくしかねない」内容になる公算が大きい。トランプの議会演説が決定した瞬間から、英国はその調整をめぐり莫大な外交力を費やさなければならない。その瞬間から英国はトランプのペースに巻き込まれる可能性が高い。トランプの典型的な狂人手法にやられてしまうのだ。

 トランプの韓国国会演説を巡り、外交的成果だと自賛する声が聞こえる。日本や中国訪問に比べて短い1泊2日の韓国訪問が「韓国無視」という批判に対し、政府は急いで「韓国はトランプが唯一議会で演説する国」という点を挙げた。

 訪問期間が短いのが韓国無視という批判も事大主義の発想だが、トランプの国会演説を外交的な成果であるかのように誇ることには、失笑を禁じ得ない。韓国がトランプに国会という公の場を提供した以上、彼がそこで言った発言に足を引っ張られるしかない。

 もし、トランプが韓国の国会演説で、北朝鮮の核への対処を理由に韓日米を一つに結ぶ軍事同盟、すなわち北東アジアにおけるNATO(北大西洋条約機構)の創設を主張したり、北朝鮮に対する独自制裁措置を取るよう中国に求めたり、北朝鮮と金正恩(キム・ジョンウン)に対する非難に始終した場合、どうなるだろう? 北朝鮮の核問題や防衛費などの同盟問題、貿易問題など両国間のすべての問題で、トランプの普段の立場と言及は韓国政府にとって負担になっている。

 韓国政府は、トランプが原則的な発言をする程度に調整を行うことにも莫大な外交力を費やさなければならないだろう。北朝鮮の核問題の解決に向けた最大の圧迫と関与に国際社会の参加を要求する程度で調節するとしても、現在の韓国の立場では元も子もなくしかねない賭けに出ているのだ。韓国政府を配慮する発言をする可能性もあるとしても、そのような不確実性のために国会を提供すべきなのだろうか?

 26~27日に開かれた第13回ハンギョレ-釜山(プサン)国際シンポジウム「ユーラシアの地政学的変化と文在寅(ムン・ジェイン)政府の課題」に出席した討論者たちの多くも、このような憂慮を表明した。ただし、トランプが国会演説で韓国を当惑させる事故を起こさないことを祈っているという意見だった。

 トランプはこれまで外国の議会で演説したことがない。外国政府がそのような機会を与えなかったのには、理由がある。いくら韓米関係が甲と乙の関係(上位者と下位者の関係)にあるとしても、乙がいつまでも“乙”として行動する限り、その関係は変わらず、むしろ甲の横暴にさらに苦しむことになる。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:10/31(火) 17:37
ハンギョレ新聞