ここから本文です

「理想の貧困」支援者からも求められ…スマホ持つ子は「うわずみ」? 笑うだけで「意外と明るいんですね」

11/2(木) 7:00配信

withnews

 子どもの貧困を解決するべく、支援に携わる人は、たくさんいます。とても貴重な活動ですが、一部、よかれと思った言動が、当事者の子どもたちを傷つけていることがあるようです。「かわいそうな子を助けたい」という善意に潜む落とし穴を、当事者たちに聞きました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

【画像】「バレたくないから」服装に気をつかう、バイトのためスマホは必須 リアル貧困家庭の子どもたち

スマホをもつ子は「うわずみ」?

 集まってもらったのは、首都圏の大学に通う男女5人。

 アオイさん(大学2年)、ミユさん(大学2年)、ユウタさん(大学4年)、ヒカリさん(大学4年)、メイさん(大学3年)。全員仮名です。
 
 5人とも、経済的に苦しい家庭で育ちました。

 世間にある「典型的な貧困像」と自分たちとのズレについて、語ってもらったところ、支援する人たちのことが、話題になりました。

「私が参加する貧困当事者向けの無料学習塾で、勉強を教えるボランティア講師の人が『この子たちは貧困って言っても”うわずみ”だよ。スマホを持ってるから』って言ってて、びっくりした」(ヒカリ)

「いやいや! むしろインフラだから必須だって!」(ユウタ)

「あと、ボランティア講師は全員男性なんだけど、この間、『女子大生が参加する塾だから、これだけ講師が集まったんだよ。男子学生なら来なかった』って言われた」(ヒカリ)

「えー!!!」(全員)

「言った人だけじゃなくて、みんな『そうそう』って感じで……。『これが男なら、”いいね。頑張れ”って言うだけだよ』って。」(ヒカリ)

「まじキモい」(メイ)

「女の子の方が『ひとりでできないんでしょ? 助けてあげるよ』ってなるのかな」(ヒカリ)

 もちろんこれは、一部の体験談です。5人の周りにいる支援者の多くは、そんなことはありません。

貧困の子=暗い?

 また、単純に「貧困がどういうものか、知らないだけ」という例もあります。

「私が行ってる同じような学習支援では、ボランティアで来た学生が『貧困の子って意外と明るいんですね』って言ってた」(メイ)

「えええ……」(全員)

「貧困家庭の子は暗いものだっていうイメージにもびっくりしたし、『貧困の子』ってひとくくりにしてることもびっくりした」(メイ)

「貧困だからこそ、明るいっていう子も多いと思うよ」(ヒカリ)

 ヒカリさんは父子家庭で、姉と3人家族。

 母が家を出て、祖母が亡くなった小学校高学年あたりから、外で急に元気になったと振り返ります。

 「意識的にカラ元気に振る舞っていました。そうしていないと、心が崩れるから。笑っていないと、泣いちゃうから」

 その頃、「理想の自分像」を紙に書き出していたそうです。家に帰れば、つらいことが多い。「理想的な姿になって、せめて自分のことは好きになってあげようと思ったんだと思います」。そして、理想の姿として書いたのも「ずっと笑顔の人」でした。

 「面白くなくても、ニコニコしていました。口角さえ上げれば、笑った感じになるので。そうしたら中3の時、友だちが真面目な話をしているのに、悲しい顔ができなくなったんです。どうしても笑ってしまう。痛ましい顔ができない。人の前で『真顔』ができなくなっていました。そこから、少しずつ修正しました」

 ヒカリさんは、同じ貧困当事者で、笑顔で泣く人に会ったことがあるそうです。過去のつらかったことを話しているのに、無意識に笑ってしまっている。

 「私と同じだと思いました。つらい環境にあるからこそ明るくしているっていう子は、少なくないんじゃないでしょうか」

1/3ページ

最終更新:11/2(木) 7:00
withnews