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豪誌のオススメ5位に 紀伊半島の人気急上昇に県職員の営業努力

11/1(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 快挙といえるだろう。

 世界的に知られるオーストラリアの旅行専門誌「ロンリープラネット」が発表した「おすすめ旅行先」で日本の紀伊半島が5位にランクインした。1位の北アイルランド、2位の米アラスカ州などに次ぐベスト5入りだ。

 紀伊半島は大まかにいうと和歌山、三重、奈良の3県からなる。同誌はほとんどの観光資源が和歌山に集中しているとしている。

 和歌山県に問い合わせたところ、県内の熊野三山と高野山、それに奈良の吉野・大峯の3カ所の霊場が評価されたという。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された地域だ。

「和歌山県を訪れる外国人観光客は11年は8万人でしたが、16年は50万人と、5年で6倍に増えました。そのうち米、欧、豪からのお客さまは10万7000人。欧米人の大半が世界遺産を訪ねて瞑想を体験し、勤行や読経を見学します。山岳地帯のような日本の奥地を訪ね、スピリチュアルな文化に触れたがる人が多いようです」(和歌山県観光交流課の後藤暢子課長)

 欧米人が好む宿泊先が寺の宿坊だ。高野山には大小117の寺があり、そのうち52カ所が宿泊可能という。

■世界21の国と地域に職員派遣

 今回の大躍進をもたらしたのが県庁職員による“営業活動”だ。和歌山県では数年前から米国や英国、ドイツ、フランスなど世界21の国と地域に職員を派遣している。

「管理職を含む8人が毎年各国を回り、現地のメディアや旅行会社に当県に関するプレゼンテーションとPRを行ってきました。こうした活動が評価につながったのかもしれません」(後藤暢子氏)

 奈良県もPR活動に注力しており、「2年前からフランスを重点ターゲットに据え、営業スタッフを常駐させています」(同県観光プロモーション課)と説明する。外国人観光客は15年の103万人から16年は165万人に急増した。

 旅行ライターの五嶋幸一氏が言う。

「中国人や韓国人は東京みたいな大都会の観光を希望しますが、欧米人は逆です。彼らは日本古来の神秘を探求したがっている。ただ、和歌山や奈良といっても外国人には馴染みが薄く、ほとんどの人が名前すら知りません。だからこそ積極的な宣伝活動が重要。欧米人は旅行プランを1年がかりで立てるのですぐには効果が出ませんが、3、4年続ければ口コミやインスタグラムでお客さんが増える。努力すれば報われるのが観光の世界です」

 安倍政権が「外国人観光客を増やすぞ!」と気勢を上げる裏で、自治体は地道に取り組んでしっかり成果を出しているわけだ。