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怖くて、ドキドキして、感動する! 監督が語る映画『IT/イット』の魅力

2017/11/1(水) 7:03配信

ぴあ映画生活

この秋、映画の歴史に新たな記録が加わった。スティーヴン・キングの人気小説を映画化した『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』が全世界で驚異的なヒットを飛ばし、44年間破られなかった『エクソシスト』の興行収入を抜いてR指定のホラー映画として歴代No.1の成績を残した。一方で、本作は圧倒的に怖いが、胸踊り、笑えて、ラストには感動したという声も出ている。最恐、爆笑、感動……これらの要素をひとつの映画で描き出したのがアンディ・ムスキエティ監督だ。

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アメリカの平凡な田舎町デリーでは子どもたちの失踪事件が相次いでおり、この町で暮らすビル少年の弟も雨の日に黄色のレインコートを来て家を飛び出したまま行方がわからなくなっていた。やがてビルや、学校で居場所のない子どもたちの前に、ピエロの姿をした“それ”が姿をあらわす。そこで、子どもたちは“ルーザーズ(負け犬)・クラブ”を結成し、“それ”に立ち向かう。

作家スティーヴン・キングは『シャイニング』『ミザリー』『ダーク・タワー』など数々のベストセラー小説を世に送り出してきた“ホラー界の帝王(キング)”で、1986年に発表された『IT』も長き渡って読み継がれてきた傑作だ。本作は過去にテレビ映画化されたことがあったが、再映像化が決まり、プロデューサー陣は『MAMA』が高評価を集めたアルゼンチン出身のムスキエティに監督を依頼した。

「サム・ライミ監督が手がけるジャンルをミックスした作品や、『ネバー・エンディング・ストーリー』のような作品が好き」というムスキエティ監督は、本作を作るに当たって“恐怖”や“衝撃”ではなく“共感”を創作の中心に置いたという。「観客が映画の主人公である子どもたちに共感しなければ、恐怖も描けないですからね」。劇中に登場するピエロ姿の“それ”は、驚かせたり、襲いかかるだけではなく、相手がそれぞれ抱いている“恐いと思っているもの”を見せて追いつめてくる。つまり、キャラクターの内面を描かなければ恐怖は描けないし、同時に恐怖を描くことがキャラクター表現にもなるのだ。「子どもたちそれぞれの恐怖を具現化するとともに、登場人物の性格や個性を描いています」

監督が語る通り、“ルーザーズ・クラブ”の子どもたちはみな個性的だ。弟を失って深い悲しみを抱いている少年、友達がいなくて夏休みはずっと図書館にいるしかない少年、親の監視と干渉に押しつぶされそうになっている少年……みんな悩みを抱えていて、さみしくて、恐いものがある。ムスキエティ監督は、そこで真夜中や暗所ではなく、真昼の野外や光が差し込む場所での恐怖表現を追及した。「日中に“それ”が出てくるシーンや、6歳の子が容赦なく襲われる場面は、“いつ何時でも安全ではない”という恐怖を現しています。定番の夜や暗がりに出てくるという表現よりも怖くしたかったんです。またギミックっぽくしすぎるとホラー表現の安易な定番に陥ってしまうので、ホラー要素をちりばめながら徐々に恐怖のテンションが上がっていくように描いています」

その一方で、本作は子どもたちの友情や成長、淡い恋、忘れられないひと時を描いた青春映画の要素も持ち合わせており、爆笑するシーンや、ワクワクする場面もたっぷりと盛り込まれている。「2時間ずっと張りつめたものにはできないので、様々な要素を盛り込みました。それぞれキャラクターの人間性をわかりやすく描いて観客を引き込むために、ユーモアを入れたりして、それぞれの性格や関係性を最短の表現で描いているわけです。単なるホラー映画ではないので、より多くの人が楽しめる映画になったと思います」

優れた娯楽映画の多くは、キャラクター描写に時間を費やし、観客に共感させ、目の前に立ちふさがる壁を乗り越える場面をストーリーの山場にしてきたが、本作は“恐怖”を使ってキャラクターを描写し、登場人物と共に“恐怖”を感じることで共感をおぼえ、“それ”に立ち向かうドラマを物語の山場に設定することでホラーと他ジャンルのミックスを成功させた。「この映画は、ホラー映画好きに向けた作品ではなくて、ひとつの成長ドラマでもあるんです。それぞれのキャラクターを丁寧に描いたら、少しエモーショナルになって恐く感じる、という風に思ってもらえたらいいと思います。何よりもキャラクターをしっかり描いて共感してもらえるような作品にしようと心がけました」

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
11月3日(金・祝)より全国公開

最終更新:2017/11/1(水) 7:03
ぴあ映画生活