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【舛添要一の僭越ですが(18)】「二足のわらじ」小池知事に都政は無理

2017/11/1(水) 13:00配信

ニュースソクラ

五輪まで1000日 予定通り開催できるのか

 衆議院選挙は、自公の圧勝で、立憲民主党が躍進したのに対し、希望の党は失速し公示前の議席以下という敗北を喫した。小池代表の排除の論理が最大の敗因とされるが、都知事と国政政党の党首という「二足のわらじ」が大きな批判を招いたことは疑いえない。

 この敗軍の将は、国政から一歩引く姿勢は見せたが、党の代表を辞めないまま「都政に邁進する」と宣言した。しかし、この中途半端な態度では、有権者の支持を回復することはできまい。国会のことは国家議員に任せると言っても、50人の議員を率いる国政政党の党首が暇なはずはない。第1に時間的にも都政にしわ寄せがいく。第2に都政と国政に政策対立があるとき、決断できなくなる。

 このことは、選挙前から私が一貫して主張してきたことであり、希望の党の代表を続けるかぎり、矛盾の解決は不可能である。

 小池氏が都知事に就任してから1年余りが経つ。都政は、女性初の首相を目指すという彼女の政治的野心の犠牲になり、大混乱を来している。

 まず豊洲新市場への移転が大幅に遅れている。法的にも技術的にも問題なく、私は都知事のときに豊洲安全宣言を出し、昨年11月に開場することになっていた。それを、「頭の黒いネズミたち」を敵に仕立てるために、マスコミと協働して煽動的なキャンペーンを行い、その結果、先行きが見通せない状況になっている。

 その余波を受けて、選手村と競技場を結ぶ環状2号線も不通のままである。さらには、築地の跡地に2020年五輪用の大型バス駐車場を造成せねばならないが、これも遅れている。

 五輪まであと1000日ということで、各地でイベントが催されているが、予定通りに開催できるのか不安を覚えざるをえない。開催までに施設整備、ボランティアの養成などが間に合うのであろうか。

 競技施設にしても、宮城県への移転等をパフォーマンスで打ち上げたが、私の都知事時代に十分な調査の上で決定済みだったのであり、時間と経費の無駄であった。また、移転先とされた先方にも期待を持たせただけの罪作りな話であった。競技施設整備について、小池都知事は経費を節約したというが、それは微調整のために私がプールしていたお金を活用しただけの話である。

 小池ポピュリズムに加担したマスコミは、無責任にも今度は小池バッシングを始めているが、行政の継続性を無視した小池都知事の失策は大きなツケとなって都民の肩に降りかかってきている。

 2020年五輪は、単にスポーツの祭典であるのみならず、芸術文化の祭典でもある。小池都知事はそのことすら理解していないようである。2012年のロンドン大会では、世界のアーティスト4万人が参加し4340万人が体験して、大成功をおさめた。私は都知事のとき「文化ビジョン」をまとめ、芸術文化振興基金(100億円)を創設したが、両者とも活用されていないと聞く。

 小池都知事はパリに出張した際に、意味の無い卸売市場の視察ではなく、むしろ世界に冠たる芸術文化の現場を歩いてみるべきだった。文化プログラムは、2020年にはもう間に合わないくらい酷い状況である。

 都職員の統制にも失敗している。専門知識もない者を外部から登用する、有能な副知事を更迭するといった人事では、16万5千人の職員は動かない。小池都知事は、早晩、都政を投げ出さざるをえなくなるのではないか。

舛添 要一 (国際政治学者)

最終更新:2017/11/1(水) 13:00
ニュースソクラ