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「KUBO/クボ 2本の弦の秘密」アニメーター来日、マペットの撮影は苦労「小さなヴァンパイア」

11/1(水) 16:52配信

MusicVoice

 10月29日、映画『KUBO/クボ 2本の弦の秘密』のプレミア上映がおこなわれ、アニメーションスーパーバイザーのブラッド・シフ氏と、スタジオ ライカCEOのブラッド・ヴァルド氏が登壇、舞台挨拶とともに、Q&Aをおこなった。また、この日は日本プロダクション・コンサルタントを担当した後藤太郎氏も登壇した。

 『KUBO/クボ 2本の弦の秘密』は、『コララインとボタンの魔女 3D』などを手掛けたアニメーションスタジオ ライカ制作によるストップモーションアニメ。過去のとある日本の地を舞台に、魔法の力で三味線と折り紙を操る片目の少年が、両親の仇である宿敵・月の帝と対峙する中で、出自の秘密を探る壮大な冒険に挑む姿を描く。

 ボイスキャストにはアート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ジョージ・タケイら著名な俳優陣が参加、日本語吹き替えにも矢島晶子、田中敦子、羽佐間道夫らベテラン声優陣のほかに川栄李奈、ピエール瀧ら豪華キャストが参加、さらに日本語版のエンディングソングであるジョージ・ハリソン作の曲「While My Guitar Gently Weeps」を三味線奏者の吉田兄弟がプレーしている。

 「二人とも50回以上見てるけどいまだに涙を流してしまうんですよね」と作品への自信の程を見せるヴァルドCEOは、今回ライカスタジオがストップモーションにこだわった理由を「それは私たちが本当に情熱を感じてるからの一言。昔からある技術と新しい技術というものを合わせて作品を作っています。やはり本当の空間の中で本当の物体に本物の照明が当てられている、それが素晴らしい職人の手、そして素晴らしいアニメータたちのによって作られる。それに比べ物になるものはないからなんです」と技術とスタッフへのリスペクトを語る。

 一方、シフは作品作りに入る際のことを「アニメーション制作の作業に入る前は衣装や美術などが先に作業がはじめられ(日本に関しての)膨大なリサーチが行われていました。特に美術部が影響を受けたのが木版画。そのテーマというのは、作中にずっと感じられる作品に仕上がりました」と入念な美術調査、研究が作品に反映されたことを明かしながら「監督のトラビスは、構図などを黒澤明作品からインスピレーションを受けましたし、私もそれをとても参考にしました。特に戦いのシーン、動き殺陣や普段のシーンの物腰などはそれを参考にしました。さらにとにかくリアルであることを追求するために、そして盆踊りを踊るシーンや日本風の戦いのシーンは専門の振り付け、あるいは殺陣の先生を呼んで作っていきました」と徹底的に日本リアリズムを追求したことを明かす。

 さらに背景、セットについては「斎藤清の作品をステンシルとしてセットに使っている。よく見ないとわからないかもしれないが、地面や建物、木にそういう質感を持たせている。地面などはクルミを砕いたものを使っている」とかなり細部へのこだわりを明かすと、本作に描かれている日本のリアリズムに関するコンサルティングを担当した後藤氏は「実際の斎藤清の影響が強いんですけど、自分が現場に行ってびっくりしたのが、木版画のきめとか、細かいところに表現していて、肉眼では全く見られるところがないところをレーザー・ステッチングやレーザー・プリンティングで反映している。そういった肉眼で見えないところも、多分全体を見た時に質感に影響があって、そこまでこだわっている。そこは日本の職人意識がアメリカでも継承されていると思いますね」と絶賛する。

 またこの日は、実際に撮影に使用された人形を持参し説明、かなり繊細なポージングも可能であるが、アニメーションにするためには一秒で24コマ分のポーズを変えなければならない苦労に対して「僕らはこれを“小さなヴァンパイア”と呼んでいます。スクリーンで見ていただいたこのパペットたちは、動かしているアニメータの命を吸い尽くされて動かされているから」とジョークを飛ばし、笑いを誘った。

 一方、この日は観衆によるQ&Aも実施され本名が“クボ”と名乗る観衆が「なぜクボという名前に? 日本ではそれほど一般的な名前ではないが」とたずねられ、笑いが起こる中、シフ氏は、当初この作品のコンセプト企画を発案したキャラクターデザイナーの、日本人の友人に小さいころからつけられていたニックネームがクボだったことから、とその経緯を告白。また併せて、主人公クボが折り紙を使うコンセプトに関しても、そもそもこの企画を持ってきたキャラクターデザイナーがプレゼンしたストーリーの中で、折り紙というアイデアはあったことを明かした。【取材・撮影=桂 伸也】

最終更新:11/1(水) 16:52
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