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大阪を代表する彫刻家、地元で大規模展

11/1(水) 13:00配信

Lmaga.jp

大阪を拠点に1950年代後半から活動してきた彫刻家・福岡道雄(1936~)。彼の仕事の全貌に迫る大規模個展『福岡道雄 つくらない彫刻家』が、「国立国際美術館」(大阪市北区)で12月24日までおこなわれています。

【写真】第2章「空中で、もうだめになって、地上へ舞い戻ることもできないし、だからといって、もっと高く舞い上がることもできないでいる毎日の僕達なのだ。」より

本展では、全6章で年代順に福岡の仕事を展観しています。第1章では「SAND」などの初期作品を紹介。第2章では彼の1960年代を代表する「ピンクバルーン」を中心とした作品が並び、第3章では一転して具象的形態の「蛾」や「僕の顔」が登場します。そして第4章では1970年代から90年頃にかけて作られた多数の風景彫刻、第5章ではFRP(強化繊維プラスチック)の平面や立体に「何もすることがない」「死ぬ 死ぬ 死ねるか」などの文字をびっしり削り込んだ1990年代から2000年代初頭の作品を展示。最後の第6章で、2005年に「つくらない彫刻家」を宣言した前後の作品「腐ったきんたま」や「つぶ」に至るのです。

福岡が芸術家を志した1950年代は、第2次世界大戦の敗戦直後ということもあり、それまでの規範や価値観がひっくり返った時期でした。その影響もあるのでしょう、彼の作品には一貫して既成の価値観に反抗し、自身にとって「つくるとは」「生きるとは」どういうことかを問いかける厳しい姿勢が感じられます。一方、「反抗はしたものの、どうすれば良いのやら」と途方に暮れる様も感じられ、風景彫刻や文字を刻んだ作品は焦燥感の現れと取ることもできるでしょう。そして遂には「つくらない彫刻家」という、これ以上先には行けない地点に到達したのです。

福岡道雄の芸術家人生は、迷走に次ぐ迷走だったのかもしれません。それでも制作と人生がシンクロし、妥協を許さぬ活動を続けてきました。そのビシッと筋が通った生き様が感動を呼ぶのだと思います。通なアートファンはもちろん、彼のことを知らない方にも本展をおすすめします。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

最終更新:11/1(水) 13:00
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