ここから本文です

【F1メキシコGP無線レビュー】週末を通してルノーPU勢にトラブル多発「ノーパワー、ノーパワー!」

11/1(水) 15:06配信

オートスポーツweb

 標高2200mの高地メキシコシティでは、パワーユニットが悲鳴を上げた。空気の薄さによるパワー低下をカバーするために通常よりも高い回転数でターボを回し過給圧を上げなければならず、その反面、空気が薄いがために冷却は厳しくなる。そのダブルパンチに上手く対応できなかったのが、ルノーだった。 

煙を吐きながらマシンをストップするブレンドン・ハートレー

 その兆候は金曜午前のフリー走行1回目から早くも現われた。ブレンドン・ハートレーのマシンがターン4に止まり、MGU-Kによる再起動でなんとかピットに戻った。

ハートレー(以下、HAR)「エンジンが止まった。TCの熱でエンジンが止まったみたいだ」

トロロッソ(以下、STR)「P1にしてそのままスタンバイしてくれ……。MGU-Kで再起動してP2に」

HAR「エンジンが掛かったよ。大丈夫そうだ。走っても良いかい?」

STR「イエス、走って良いよ」

 そして金曜午後にはトロロッソの2台ともにトラブルが発生した。ピエール・ガスリーは10周しかできず、40周走ったハートレーも問題を抱えた。

HAR「T5のエイペックスでエンジンから変な音がしている」

STR「OK、了解」

HAR「ストレートエンドでフィーリングがおかしい」

STR「了解、チェックしている。エンジンか?」

HAR「エンジンだ」

STR「BOX、BOX」


 実はカルロス・サインツJr.も前走車について走った際に温度が上昇しフェイルセーフ機能でパワーが抑えられる状態を経験していた。ルノーは金曜の時点でターボとMGU-H、そして温度の問題に直面していたのだ。

 しかし土曜になってもそれを解決できず、フリー走行3回目ではまたしてもガスリーのマシンが白煙を上げて野球場スタジアムに止まった。前日のハートレーと同じようにMGU-Kで再始動してピットに戻ろうとしたが、それすらできなかった。

ガスリー(以下、GAS)「エンジンに問題、エンジンに問題だ。完全にパワーを失った」

STR「安全なところに止めてくれ。何が起きたか説明できる?」

GAS「ターン12の手前でパワーを失った。その後は完全にパワーがなかった」

STR「そこで待ってくれ、調べているところだ……」

GAS「ギヤボックストラブルみたいだった」

STR「MGU-Kで再始動してピットに戻ってくれ」

GAS「ダメだ、機能しない」

STR「P1→P0、5秒待ってP1に戻す。そして5秒待ってP2、クラッチを引いてブレーキを踏んでオーバーテイクボタンを押し続けた状態でエンジンをかけてくれ。上手く行かない?」

GAS「それも機能しない」

STR「フェイルA11、それでもう1回再始動の手順をやってくれ」

GAS「もう1回言ってくれ。ダメだ」

STR「P1、P0。ジャンプアウトしてくれ、すまない」


 メルセデスAMGのルイス・ハミルトンもパワーの問題を訴えたが、こちらは単にデプロイメントの配分の問題で、どこで回生を効かせるかという設定を変えることで対応が可能だった。

ハミルトン(以下、HAM)「パワーに問題がある」

メルセデス(以下、MGP)「了解、チェックする。データ上は何も問題ないよ」

HAM「ターン7だ」

MGP「了解」

HAM「まだパワーに問題があるよ」

MGP「分かっているが、それはキャリブレーションの変更が必要だ」

 予選Q1では2回目のアタックに出たフェルナンド・アロンソが「ノーパワー」を訴えたが、こちらは制御システムの問題。走行しながらリセットをかけることで問題は解決できた。

アロンソ(以下、ALO)「ノーパワーだ。ターボがなくなったみたいだ」

マクラーレン(以下、MCL)「OK、走り続けてくれ。ディフォルトX05を実行してくれ。OK、解決したと思う」


 Q2ではハートレーのパワーユニットがまたしても問題を抱え、決勝に向けて交換することになった。ガスリーはFP-3での問題で予選に出走することすら叶わなかった。

HAR「ノーパワー、ノーパワー!」

STR「シナリオ9、BOXしてくれ」

HAR「ハァ……了解、クルマが良かったのに残念だ。……エンジンが止まったよ」

 決勝では5周目に早くもダニエル・リカルドがトラブルを抱えた。やはりルノーのターボ周りだった。

リカルド(以下、RIC)「TCがトラブっていると思う」

レッドブル(以下、RBR)「フェイル1、すぐにフェイル1を実行してくれ」

RIC「バッテリーにも問題あると思う」

RBR「今チェックしている……。BOX、リタイアする。スイッチオフ、スイッチオフしてくれ」

RIC「ジャンプアウトするよ」

RBR「あぁ、そうしてくれ。1周目から素晴らしい走りをしてくれていたのに、すまない」


 22周目にはニコ・ヒュルケンベルグのマシンが問題を抱えた。集団の中で走行し冷却が厳しくなる決勝では、トロロッソだけでなくレッドブルもルノーも問題が発生してしまった。

ヒュルケンベルグ(以下、NHU)「パワーを大幅に失っている」

ルノー(以下、REN)「ディレイト(デプロイメントが切れている状態)しているんだ。B51をオンにしてくれ」

REN「PU9、ポジション5。緊急だ」


 3周後、メインストレートでヒュルケンベルグのTCが壊れマシンを止めなければならなかった。

NHU「パワーを失った、ブーストを失っている。どうしたら良い?」

REN「シナリオ12、ストップしてくれ。クルマは安全な状態じゃないから、P1→P0にしたらコクピットの前方からジャンプアウトしてくれ」

 さらにその5周後にはハートレーのパワーユニットも壊れた。

HAR「パワーを失っている」

STR「All OK、何も問題はない」

HAR「すごくパワーを失っているよ」

STR「安全な場所にストップしてくれ、ブレンドン。P1→P0。できるだけ速くジャンプアウトしてくれ」

 高地のパワーロスを挽回するためにターボの回転数を8%上げたというルノーだが、そのぶんだけ信頼性は厳しくなる。冷却に難ありとなれば、なおさらだ。ルノーはそのバランスを読み間違えたという。

 首位マックス・フェルスタッペンは先頭を走るがゆえに前がクリアで冷却の問題は少なく、できるだけ温度を上げないよう気を遣いながら走ったことで最後まで首位を守りきることができた。しかしトラブルに見舞われたドライバーたちは次戦ブラジルで新品投入によるグリッド降格ペナルティという代償を支払わなければならないかもしれない。

 この週末で7基ものターボを失ったルノーは、それ以上に多くのものを失ってしまったのかもしれない。

[オートスポーツweb ]