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「割高」なのになぜ上がる? 株価上昇の裏に隠れる3つの要因

11/2(木) 5:20配信

ZUU online

株価が割高に見えるのにその後も株価上昇が止まらず驚いた経験がある投資家は多いことだろう。株価は基本的には業績の推移を織り込むものであり、近い将来に業績が上がるとみると株価が上がり、業績が下がるとみると株価が下がるもの。

しかし、相場のなかでは一般の投資家から見て「さすがに上げすぎだろう」と思う水準にある株式が、さらに株価を伸ばすことは頻繁にあるものだ。

実は株価上昇の裏には業績の良し悪しのみならず、その上昇を後押しする要因が別に隠されていることもある。ここではその要因を大きく3つのパートに分けてお伝えしていく。

■株式分割期待 株価があがると企業が困る?

通常株価が上がっていくと、投資家が必要な投資金額も上がっていく。

日本の株式市場では株を購入する際には100株など決められた単元があるので、たとえ1株1000円の企業でもその株を買うには100株分の10万円が必要となる。その株価が3000円、5000円とあがっていくと投資金額も30万円、50万円と比例して必要となるので資金力のない投資家の中には投資を見送ろうとする人も増えてしまう。

しかし、企業としてはできるだけ多くの人から投資をしてほしいため、株価上昇にともない新規の投資家が減ってしまうことになると都合が悪い。

この問題を解決するのが株式分割である。

さきほどの例で言えば仮に1株5000円となった株式を5分割すると、株価が5で割られた1000円まで下がる。そして同時に市場に流通する株式の数は5倍となり株式全体の価値は維持される。

株価が上がってくると、この株式分割を期待して投資家の買いが集まることは多い。分割が決定するまでに株価が買われ、分割の事実が決定すると株価がいったん下がるなど分割期待への買いが集中することもある。

最近の具体例としては株価が10000円を超えたヤーマン <6630> が株式の10分割をして話題になった。100万必要だった株式が10万円程度で買えるようになれば、これから買おうと思う人ももっと増えるのではないだろうか。

■信用取引の買い返済 株価があがると損をする投資家がいる?

株価が下がれば利益が出る取引は「信用取引の売り」と呼ばれる。

これは先に株券を借りて株式市場で売り、株価が下がったタイミングで株を買い戻し返済するという取引だ。そのため、株価があがってしまうとそれだけ高値で株を買い戻さないといけないので損が出てしまう。

【具体例】100円で信用取引の売りをおこなった。株価が70円まで下がったので買い戻すと30円分の差額が手元に残り利益となる。逆に株価が130円にあがると30円分余分に支払い株を買い戻さないといけない。余分に払う分は損失となる。

上がりすぎた株式には、信用取引の売りが増加することとなる。さすがに上がりすぎだろうと考える投資家が次に考えることは「そろそろ下がるだろう」である。利益を狙うために信用取引の売りを仕掛けるのだ。

しかし、その後も株価が下がらなかった場合には信用取引の売りに損失が膨らんでいくこととなる。こうなると傷口をできるだけ広げないためにも、損失覚悟の買い戻しを余儀なくされることとなり、その買い戻しは株価への新しい買い圧力となってしまうのだ。

この信用取引の売り注文の多さは、各企業の信用取引残高で確認をすることができる。特に信用取引倍率は(信用取引の買い残高÷信用取引の売り残高×100)で計算される割合のことで、1を割り込んでいた場合には信用取引の売りが膨らんでいることを示している。

ヤフーファイナンスなどでも容易に確認可能なため、銘柄チェックの癖付けをつけるとよいだろう。

■株価青天井 株価があがると投資家の買い意欲が減る?

株価は過去の値段や水準に影響されることがある。例えば、過去につけた最高値がある場合、多くの投資家がそのタイミングで株を買ってしまい仕方なく株価が戻るのを待っているだろうことは容易に想像ができる。そのため株価が上昇しているものの過去の高値に株価が近づくと自然と売り圧力が強まることがある。

これを「戻り売り」という。

戻り売りの水準が近づくと、株を保有している人は売り目線となり、株を新たに買いたい人は新規で買いを控えようとするため株価上昇への抑止力となるのだ。つまりは株価が青天井モードに入るためのお邪魔虫的な存在なのである。

しかし、いったんこの高値を抜けるとその上に過去の高値がなくなることから、株主が強気の姿勢となるため保有する株を手放さずにどんどん株価が上がっていくことがある(この現象は高値ブレイクとも呼ばれる)。これが株価青天井モードであり、今度株価が上がるサインとなることもある。

■株があがると困る人たちがいる

今後は株価が上昇していく場面を見つけたら上記の3点を意識してみよう。過去の高値を超えていて信用倍率も1を割り込み、分割も未だされていないならその株式は「さすがに上がりすぎ」とはいえないかもしれない。

株価があがると困る人たちがおり、その困りを解消するために一定の買い圧力が生じてしまうというところに「株の複雑さ」がある。

とくに信用の取引の買い返済は損失覚悟の買い戻しであることが多いので上昇への起爆剤となることがある。今後の上昇株発見への足がかりとなっていただけると嬉しい限りだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある。

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最終更新:11/2(木) 5:20
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