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重箱の隅をつつくようですが、“重要なこと”なので言わせてもらいます――Windows 10の更新オプション名称変更について

2017/11/2(木) 7:30配信

@IT

●しつこいようですが、更新オプションは「ブランチ」から「チャネル」に変更されました

Windows 10 Fall Creators Updateのポリシー設定。間違いを探せ!

 Windows 10(Homeエディションを除く)では「機能更新プログラム」(旧称、機能アップグレード)を受け取るタイミングとして、「Current Branch」(既定)と「Current Branch for Business」のいずれかを選択できました。

 この更新オプションの名称が、先日リリースされたWindows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、ビルド16299)から、「Semi-Annual Channel(Targeted)」(既定)と「Semi-Annual Channel」に変更されました。

 実は、Windows 10のリリース情報的には、2017年7月のWindows 10 Creators Updateの企業向けリリースから「Semi-Annual Channel」の名称が使用されていました。つまり、従来のCurrent Branch for Businessではなく、Semi-Annual Channelとしてリリースされたのです。

 この新しい名称がWindows 10のユーザーインタフェース(UI)に反映されたのが、Windows 10 Fall Creators Updateからということです。日本語版Windows 10の「設定」画面では、「半期チャネル(ターゲット指定)」と「半期チャネル」という表現になっています。上記「Windows 10のリリース情報」のWebページでは、「Semi-Annual Channel(対象)」と「Semi-Annual Channel」と表記されています。

 この名称変更については、以下の連載記事でも説明しましたが、Windows 10 Fall Creators Updateが正式にリリースされたこともあり、何よりも企業にとっては重要なことなので、しつこく取り上げたいと思います。

●名称変更でWindows 10開発サイドも混乱気味?

 今回、しつこく取り上げたいのは、Windows 10 Fall Creators Updateの「Windows Update for Business」のポリシー設定です。

 問題のポリシーは、「コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Update for Business\プレビュー ビルドや機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」にあります。ちなみに、前バージョンのWindows 10 Creators Updateでは「コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Update の延期\機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」というポリシーでした。

 ポリシーに含まれるテキスト(オプションやヘルプ)を見て、何か気になるところはありませんか。「ヘルプ」欄のテキストには、以下の重要な間違いがあります。

――
(誤)Current BranchまたはCurrent Branch for Businessを選択する場合:

(正)“半期チャネル(ターゲット)”または“半期チャネル”を選択する場合:
――

 明らかに選択肢にないものを説明しています。「ブランチ」から「チャネル」に名称変更されたことを知っていれば簡単に想像できるでしょうし、軽微なミスとして許容できるかもしれません。しかし、例えば企業の新人管理者がWindows 10 Fall Creators Updateをポリシーで管理する必要があり、Windows 10 Creators Update以前のバージョンの知識が全くないとしたらどうでしょうか。このヘルプの説明は、全く理解不能だと思います。

 この問題に関して筆者は、Insider Preview段階からフィードバック(フィードバックHubを使用して)していたのですが、修正されることはありませんでした。重要なことなので、あらためて指摘します。この問題が修正されない限り、「リリースが広範囲に展開できると判断された」(このポリシーのヘルプから抜粋)とは見なしたくはありません。

 もう1つは「Windows準備レベル」(Windows Readiness Level)という新語の登場です。以前は「ブランチ準備レベル」(Branch Readiness Level)という名前であり、これはこのポリシーで制御されるレジストリ値「BranchReadinessLevel」に由来するものでした。

 「Windows準備レベル」という名称は、どこから来たのでしょうか。「設定」の「詳細オプション」の表記は、「ブランチ準備レベル」のままです。

 ポリシーでの表記とWindows 10のUIでの表記の不一致は、他にもあります。ポリシーの選択肢や説明では「半期チャネル(ターゲット)」となっていますが、「設定」の「詳細オプション」の表記は「半期チャネル(ターゲット指定)」です。これは明らかに「Semi-Annual Channel(Targeted)」の日本語訳の“ゆれ”です。

 ちなみに、Office 365アプリでは「半期チャネル(対象限定)」という、また別の訳になっています。これらの不一致がとても気になって仕方がありません。せっかくOffice 365とWindowsでSemi-Annual Channelに共通化されたというのに、日本語環境でばらばらなのはとても残念です。

●実は悩ましい、Windows 10のポリシー管理

 Windows 10では新バージョンがリリースされるたびに、新しいポリシーが追加されたり、Windows Update for Businessのポリシーのように場所や表現が変更されたりしています。多数のWindows 10クライアントがあって、複数バージョンが混在する環境となると「グループポリシー」での管理は苦労すると思います。バージョン間のポリシーの違いを意識しないと、意図しない影響(管理しているつもりで、実は管理できていないなど)が出るかもしれません。

 例えば、Windows 10 Fall Creators Updateの「Windows Update for Business」の「Windows準備レベル」の設定ポリシーと、Windows 10 Creators Updateの「Windows Updateの延期」の「ブランチ準備レベル」の設定ポリシーは、どちらも以下のレジストリ値を制御します。

――
・HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\WindowsUpdate\BranchReadinessLevel
――

 ところが、Windows 10 Fall Creators Updateの方には「16(半期チャネル(ターゲット))」と「32(半期チャネル)」以外にも有効な値があるのです。Windows 10 Creators Updateが知らない値を受け取ったとき、どのような振る舞いになるのかは分かりません。意図しない影響とは、そういうことです。

 Windows 10の各バージョンの「グループポリシー管理用テンプレート」は、以下の「Microsoft ダウンロードセンター」から入手できます。最後のテンプレートは、Windows 10初期リリース(バージョン1507、ビルド10240)向けであり、Windows 10 Enterprise 2015 LTSB(Long Term Service Branch)を除き、既にサポートは終了しています。

 管理対象となるWindows 10のバージョンが1つの場合は、この管理用テンプレートをドメインコントローラーのポリシーストアにインストールしたり、中央ストアの共有に配置したりして管理できますが、複数のバージョンが混在する環境ではそうはいきません。

 混在環境では、管理対象のクライアントと同じバージョンのWindows 10に「リモートサーバー管理ツール(Remote Server Administration Tools:RSAT)」をインストールして、「グループポリシーの管理」スナップインでローカルのポリシー定義ファイルを読み込み、ドメインのグループポリシーを編集するのが確実でしょう。

 その際には、作成したGPO(グループポリシーオブジェクト)をセキュリティフィルターやWMI(Windows Management Instrumentation)フィルターを利用して、同じバージョンのWindows 10に確実に適用されるようにすることが重要です。

 なお、RSATにはバージョン1607(RS1)向けとバージョン1709(RS3)用の2つがあります。前者はWindows Server 2016用、後者は2017年10月に「半期チャネル」としてリリースされたばかりのWindows Server 1709(ソフトウェアアシュアランスが必要)用です。

●ポリシーで管理されるWindows Updateの“理由”が表示可能に

 Windows 10 Fall Creators UpdateのWindows Updateにおける改善点の1つに、Windows Updateがポリシーで管理されている場合の“その理由の表示が可能になったこと”があります。

 以前は「設定が組織によって管理されている」という注意書きが表示されましたが、新たに「構成されている更新ポリシーを表示」の機能が追加されました。ここを開いてみると、何で(グループポリシーまたはMDMポリシー)、どのように管理されているのかを確認できます。これは良い改善点だと思いますが、残念なところもあります。

 グループポリシーで制御した設定は、実際のグループポリシーの名称と一致していません。

 グループポリシーのどこを探しても「ブランチ準備レベル」と「機能更新プログラムの延期を有効にする」という項目は見つからないでしょう。それは、どちらも「プレビュービルドや機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください」ポリシーの設定だからです。ああ、残念!

●筆者紹介
○山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門-完全版』(日経BP社)。

最終更新:2017/11/2(木) 7:30
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