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EVトラックへ前のめりの三菱ふそう、慎重ないすゞや日野はどう動く?

11/4(土) 14:11配信

ニュースイッチ

2022年には25%に、「あれほど動きが速いとは思わなかった」

 乗用車を中心に進む電気自動車(EV)化の波が、商用車にも押し寄せている。世界的に広がる二酸化炭素(CO2)排出規制を背景に、商用車メーカーは電気トラックを商品ラインアップの一つとして確立するため、開発を加速させている。ただ、EV化戦略を打ち出し電気トラックの投入にかじを切るものの、採算性への見方から各社の対応には温度差もある。

 「電気トラックの比率は2020年に5%に、22年には25%になるだろう。25年にはさらにこの数字を上げていく」。三菱ふそうトラック・バスのマーク・リストセーヤ社長は電気トラックの販売比率について明確な目標を示した。

 三菱ふそうは世界初となる量産型小型電気トラック「eキャンター」を10月に投入し、トラックのEV化に先手を打った。今後数年内には、トラックとバスの全車種で電動モデルを開発する方針も明らかにした。

 東京モーターショーでは電気商用車ブランド「E―FUSO」を新設し、電気大型トラックのコンセプトモデル「Vision ONE」を公開。航続距離は350キロメートルで今後4、5年での製品化を目指す。

 EV化で先行する三菱ふそうについて、ある商用車メーカー幹部は、「あれほど(開発の)動きが速いとは思わなかった」と驚きを隠さない。それほど三菱ふそうが示したEV化戦略にはインパクトがあった。

 他の商用車メーカーもトラックの電動化に手をこまねいている訳ではない。いすゞ自動車は東京モーターショーに小型電気トラック「エルフEV」を参考出品した。航続距離は三菱ふそうのeキャンターと同程度の約100キロメートルとみられ、都市部での配送用途などを想定している。18年にモニターでの市場投入を予定する。

 ただ、いすゞは量産について慎重な姿勢を示す。片山正則社長は、「トラックに求められるものは、経済合理性と使い勝手の良さ」と指摘。その上で「モニターを通じ、経済合理性と使い勝手の良さを兼ね備えた十分に満足いただける商用車EVを作り込んでいく」と述べるにとどめた。

 13年に小型電気トラックを試作した日野自動車は、「小型電気バスで蓄積した技術があり、開発しようとすればできる体制にあるが、EVトラック開発の専任部門は現在置いていない」(下義生社長)という。

 「適正なコストと価格でなければ広がらない」(同)との考えからだ。ただ、EV化で後れを取らないように、トヨタ自動車とマツダ、デンソーが設立したEVの基本技術を共同開発する新会社への合流を「前向きに検討する」(同)とし、小型トラックでのEV開発を進める方向性を示した。

 15年の東京モーターショーで中型の電気トラックを参考出品したUDトラックスは、都市間輸送でのニーズが高いとみて、親会社のスウェーデン・ボルボと連携して電動車両の開発を進める。

 富士経済によると、35年の電気トラック・バスの世界市場は16年比約4倍の57万1000台になる見込み。商用車メーカー各社は、まずは配送ルートが比較的固定されており、航続距離が短くて済む小型トラックのEV化を足がかりに電動トラックの導入を進める。

日刊工業新聞第一産業部・尾内淳憲

最終更新:11/4(土) 14:11
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