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「住むなら東急沿線」と思わせる10の理由 「生活」を追求する路線網

11/5(日) 11:10配信

乗りものニュース

通勤・生活路線のイメージに、「遊び心」が加わりつつある?

 東急電鉄は、伝統ある東横線と新興住宅地を貫く田園都市線を基軸とし、都内城南地区に大井町線、池上線、多摩川線、世田谷線を配した路線網を形成しています。すべての路線が通勤・通学・生活目的の路線であり、ほかの大手私鉄にあるような「看板となる有料特急列車」はありません。鉄道趣味的に捉えるとある意味、地味な印象です。

東急電鉄の電車といえば、赤? 緑?

 これは東急電鉄の前身の目黒蒲田電鉄が、豊かな都市生活を形成するための「田園都市」構想によってつくられたためです。観光地の誘客よりも、参詣よりも、日々の生活を豊かにする。その精神が現在も継承されているといえそうです。

 東急電鉄の路線は、渋谷、目黒、五反田の3駅でJR山手線に、大井町と蒲田でJR京浜東北線に乗り換えられ、都心へのアクセスは良好。早期から地下鉄へも乗り入れており、現在は東京メトロ副都心線、半蔵門線、南北線、都営地下鉄三田線と相互直通運転を実施しています。ビジネスパーソンには便利な路線です。「都心で働く人が、緑の多いベッドタウンで過ごす」――こうした東急沿線のイメージは、住まいのブランドにもなっています。

 しかし、近年はちょっと“遊び心”が出てきた感もあります。地下鉄を介して、西武鉄道や東武鉄道に直通しており、それぞれの沿線の観光エリアにアクセスできます。近年は秩父方面と横浜方面を結ぶ有料座席指定列車「S-TRAIN」、グループ会社の伊豆急行に向かう観光列車「THE ROYAL EXPRESS」が話題になりました。

東急電鉄のグッドポイント、ベストテン

 それでは、実は高校卒業まで東急沿線に住み、再び田園都市線沿線に戻ってきた筆者(杉山淳一:鉄道ライター)の思い込みと独断による「東急の魅力ベストテン」をご覧ください。もちろん異論は大歓迎、SNSなどで盛り上がってくださいね。

【1位】東急ブランドの「ゆりかご」、田園都市線と「多摩田園都市」

 田園都市線は渋谷から中央林間までの31.5kmを結ぶ路線です。渋谷から都心方向は東京メトロ半蔵門線に直通します。半蔵門線は開業当初から田園都市線と一体で運行。営団地下鉄(当時)は半蔵門線の開業時に専用車両を持たず、東急の車両を借りていました。車両は東急ですが、車内広告や路線図が地下鉄の仕様でした。また、現在も半蔵門線の車両基地は田園都市線の鷺沼駅(川崎市宮前区)にあります。

 田園都市線のうち、梶が谷から中央林間までの沿線一帯が「多摩田園都市」と呼ばれています。川崎市、横浜市、東京都町田市、神奈川県大和市にまたがり、開発総面積は約5000ヘクタール、2017年現在の人口は約62万人となっています。東急グループが土地を取得し、線路を敷き、駅を建設して土地の価値を高め、売却や賃貸で莫大な利益を上げた地域です。

 多摩田園都市の土地の価値を高めるため、生活に必要な施設のほとんどは東急が手がけました。東急のスーパーマーケットで生活必需品を買い、たまプラーザ(横浜市青葉区)のショッピングセンターにはブランド品がそろい、田園都市線で渋谷に出れば東急百貨店があるという具合です。最近は、二子玉川エリア(東京都世田谷区)が新たな拠点として開発されています。かつて「二子玉川園」という遊園地があった場所に、複合施設「二子玉川ライズ」が誕生。楽天本社が入るオフィス、シティホテル、ショッピングモールなどが集積しています。

 田園都市線を利用しやすくするため、東急はバス路線も整備しています。筆者は田園都市線の駅からバスで10分の距離に住んでいますが、最寄りのバス停の始発はなんと朝4時台。始発電車に間に合う時刻です。「どの交通機関も東急ばっかりだ。もう電車もバスも乗らない。クルマで生活するんだ」と決めても、ガソリンスタンドは東急が経営している場合があります。油断できません。

 東急ブランドの店ではなくても、その店はもともと東急グループが売却、または賃貸している土地です。多摩田園都市で生活する人々は、どんな行動をしても東急にお金を払うことになります。まるで広大な「東急ランド」。しかし企業の支配感はなく、住む人々のほとんどが、東急沿線に住むことを喜び、誇りに思っているようです。多摩田園都市は、居心地の良い「東急のゆりかご」ともいえるでしょう。

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