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絶滅種サーベルタイガーDNA分析に初成功 氷河期化石からクローンは可能?

2017/11/6(月) 14:00配信

THE PAGE

サーベルタイガーのDNA研究

 このサーベルタイガーに関する新しい研究論文を10月19日付けの学術雑誌「Current Biology」において見かけた(Paijmans等 2017)。驚くべきことに、なんと化石標本における「mDNA」(=ミトコンドリアDNAの略)をもとにした研究だ。私は個人的に太古DNAについて研究を行うことはないが、すぐにこの研究論文に心を奪われた。それこそ猫がマタタビにすりより、サーベルタイガーがマンモスの背にひきつけられるように。
-Current Biology, Paijmans et al.: “Evolutionary History of Saber-Toothed Cats Based on Ancient Mitogenomics” (17)31198-331198-3) DOI: 10.1016/j.cub.2017.09.033

 研究論文によると2つの属のサーベルタイガー(スミロドンSmilodon*とホモセリウムHomotherium)から、mDNA(mitochondrial genomes)のデータを得て比較している。mDNAのサンプルは骨格化石の標本から採取している。(絶滅種なので基本的に化石化した骨しか手にはいらない。)
 *注:英語では「スマィロドン」の音に近い。

 サーベルタイガーの化石それ自体は珍しく、世界的にもあまり知られていないはずだ。(肉食動物の個体は草食動物のものより、その数が極端に少ないという事情もある。)しかし今回のドイツや北米・オーストラリアなどの研究機関が参加した研究チームは、手足の骨 ── しかも内部の「空洞に近い部分」 ── やアゴの骨からのサンプルにこだわって、DNAデータを分析・比較している。

 ちなみに私が今回の研究の中心メンバーであるドイツ・ポツダム大学のヨハンナ・ペイジュマンズ(Johanna L.A. Paijmans)博士に直接尋ねてみたところ、DNAのサンプルを化石標本から得るのは、基本的にかなり難しいとのこと。DNA自体が、何万年と経つ間に失われることは容易に想像がつく。しかし骨の内部、それもかなり(骨細胞の)密度の濃い部分なら、DNAが何万年もの間保存されている可能性があるとのことだ。(どの化石標本からでも見つかるわけではない。)そのためアゴの骨や手足の骨の内部部分が、今回の研究のターゲットになった。

 化石記録にともなう「太古DNA」については、以前の記事においても折をみて何度か触れてきた(参考記事1, 2, 3)。そして70万年前の馬の化石骨格からmDNAが検出された記録さえあると聞く。氷河期あたりの時代(約4.75―11.335万年前の化石標本)なら、ある程度、mDNAが保存されていてもおかしくないはずだ。(実際、今回はっきり確認され分析されている。)

 しかし具体的にサーベルタイガーの遺伝子データをもとに、科学的に何が学べるのだろうか? 私の第一の疑問はここにあった。

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最終更新:2018/10/1(月) 22:57
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