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研究炉が新基準「合格」 原子力機構、19年3月再開見込む

11/9(木) 10:00配信

茨城新聞クロスアイ

原子力規制委員会は8日、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(東海村白方)の定常臨界実験装置「STACY」が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。事実上の審査合格で、機構の研究用原子炉では初。今後、原子力委員会と文部科学省への意見聴取を経て審査書案を正式決定する。ただ、機構の大洗研究開発センター(大洗町)で6月に内部被ばく事故が起きたことから、規制委は核燃料物質の保管状況を注視していく考えを示した。

最大熱出力200ワットのSTACYは臨界実験できる施設で、機構は2015年3月31日に審査を申請。19年3月の運転再開を見込んでいる。

東京電力福島第1原発事故で発生した鉄やコンクリートが混ざった溶融燃料(デブリ)の原子炉内からの取り出しが課題となっていることから、機構は「STACY」の炉心を改造し、模擬のデブリを使った実験を行って、リスク評価などに役立てる方針。

規制委は会合で、機構の安全対策を了承したものの、同センターの被ばく事故で不適切な核燃料物質の保管が事故の一因となったことを重視。各委員は、STACYで保管している核燃料物質や放射性廃棄物が適切に管理されているか詳細に確認した。

規制委の更田豊志委員長は「臨界の研究に不可欠で、人材育成や教育の面でも重要な施設」と運転再開の意義を強調する一方、保管する放射性廃棄物については「機構全体の問題として監視していく必要がある」と述べた。

機構が県内で所有する計8基の研究用原子炉を巡っては、現在、廃止方針が決まった3基を含め全て停止中で、5基は運転再開に向けて審査を申請している。

今回、「合格」したSTACYのほか、原子炉安全性研究炉「NSRR」(東海村)、「JRR-3」(同)と高温工学試験研究炉「HTTR」(大洗町)の審査はそれぞれ終盤に差し掛かっている。

ただ、政府が高速炉開発の柱の一つとする高速実験炉「常陽」(同)は、申請内容が不十分とされて審査が保留の状態で、議論は進んでいない。(高岡健作、戸島大樹)

茨城新聞社