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山田裕貴が語る、『HiGH&LOW』の人気キャラ・村山とシンクロする思い

11/9(木) 15:00配信

ぴあ映画生活

「最初にSWORD地区の5人のトップが発表されたとき、一番『誰? こいつ』って思われたのは、僕だと思います」ーー。山田裕貴は約3年前の『HiGH&LOW』シリーズ始動当時をそう振り返る。

山田裕貴その他の写真

確かにEXILE TRIBEからの参加となる岩田剛典(山王連合会)と黒木啓司(WHITE RASCALS)、そして窪田正孝(Rude Boys)、林遣都(達磨一家)の4人と比べ、鬼邪高校のアタマを張る村山を演じる山田は、知名度という点では劣っていたかもしれない。だがTVシリーズ、そして劇場版を経て、この5人のみならず、シリーズ全体で最もその存在感を高めたのは誰かと問われれば、多くの人が山田の名を挙げるだろう。劇場版の応援上映でも、村山、そして鬼邪高に対する声援は、EXILE TRIBEのメンバーさえ凌駕するほどである。

山田にとって『HiGH&LOW』シリーズとは何だったのか? 最終章となる劇場版第4弾『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』の公開を前に話を聞いた。

山田は自身が演じた村山というキャラクターについて「これまでやってきた役と比べて、僕自身とのシンクロ率がものすごく高いと思います」と語る。

「僕自身が普段から思ってることを村山が言ってくれるんですよね。ドラマの2ndシーズンで言った『てめえが変わんないで世界は変わんねぇよな』というセリフもそうだし、今回の映画で言う『SNSとかで人を叩いている奴らは……』ってのもそう。僕自身がSNSで言うことはできないような言葉も作品を通して村山が言ってくれる。それは脚本家さんが僕のことを深く理解してくれるからだと思うし、そこから僕自身、さらに役を膨らませることができました」。

また、現場で発するアドリブをスタッフ陣が面白がって、次々と採用していったことも大きかった。岩田演じるコブラを「コブラちゃん」と挑発したり、林が演じる日向に“あかんべぇ”をしたりといったのも、台本にはなかったが、現場に立って村山として生きる中で、自然と出てきたアドリブ。「感じたままをやったら、監督がそれをどんどん拾い上げてくれて、それが大きな反響を呼んで……というすごいミラクルがあった」と語るが、もちろん、それは奇跡や運ではなく、山田の実力が呼び込んだものにほかならない。

決して出演作が少ないわけでも、演技への評価が低いわけでもない。『海賊戦隊ゴーカイジャー』でデビューし、その後も、話題作に出演。主演映画『闇金ドッグス』も着実にシリーズを重ねてきた。それでも、次々と“ブレイク”を果たしていく同世代の俳優たちと自分の境遇を比べて、鬱屈した思いを抱えることもあったという。

「シリーズの最初の頃の村山そのものでした。卑屈で、周りみんなを敵視して『なんで俺じゃなくてあいつなんだ?』『なんで俺は家でTV見てんだ?』って。人と自分を比べて悔しくなって、悔しいのに飽きるくらい……」

それが大きく変わったのも『HiGH&LOW』シリーズがきっかけだった。大きな転機になったのが、ファンの間でも名シーンと語り継がれる、コブラとの死闘のシーン。ここでも思わず、心の中の声が村山のセリフとしてこぼれた。

「殴っても倒れないコブラがいて『(自分と)何が違うんだ……?』って、村山として思ったセリフがそのまま出ちゃったんです。本当に、当時の自分が周りを見ながら思ってたことでした。でも、村山はそこで負けや痛みを知って、仲間を知って、守るべきものを知る。僕もこの作品をやっていく中で、人と比べるものじゃないんだって気づいた。自分の顔や声と一生向き合っていくしかないし、育った環境や感性、個性って自分の中だけにしかないものだし、それを伸ばしていく生き方をするしかないんだって」

このシリーズの現場を経験したことで、他の現場でもハッキリと、自分が変わっていくのを実感しているという。

「自分の限界を作っちゃダメだ、自分で自分にフタをしちゃダメだって学びましたね。アドリブやディスカッションを重ねて作り上げたアクションーーこの作品の現場だからこそやらせてもらえたことがたくさんあったと思っていたけど、それを他の現場でもやってみたら、案外、そうやって俳優のアイデアを拾ってくれる監督って多いんだって気づきました。やっぱり、自分が変わんないと世界は変えられないんだなって(笑)」

“あの”村山として認知度は一気に上がった。同じ役者仲間からも「村山すごいね」と声をかけられることが増えたという。こうした状況を喜びつつ「悔しさもあります」とも。

「今年だけで12本の映画に出てるんです。それでも村山のことばかり言われるのは、自分がまだまだだから。『村山を超えなきゃ!』と思ってる自分がいます。やっぱり、多くの人に自分を知ってもらいたいって欲求はあります。 一方で、山田裕貴だと気づかれずに、映画を観た後で『え? あの役の人って村山の人?』と言われるのも楽しいです。矛盾してますけどね(笑)」。

無駄に他人と自分を比べなくなったが、ライバル意識までなくなったわけではない。「鬼邪高校の物語でスピンオフを作りたい!」と目標を掲げつつ、こう続ける。

「もし僕にもっと人気や価値があって……分かりやすく例えれば、僕が窪田くんのような立場にいたら……そういう話も、今よりも簡単に実現できると思うんですよ。それができないのは自分がまだまだだから、自分じゃ人を集められないから。やっぱり、そういう悔しさが自分を動かしてるんだと思います」。

さらなる高みへーー。山田裕貴は上を向いて駆け続ける。

取材・文・撮影:黒豆直樹

『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』
11月11日(土)全国ロードショー

最終更新:11/9(木) 15:00
ぴあ映画生活