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子どもを産むことは罪ですか? 証券会社の外国人幹部が受けた「育児ハラスメント」とは

2017/11/11(土) 17:00配信

BuzzFeed Japan

育児休業の取得を希望する男性社員に嫌がらせをする「パタニティ・ハラスメント」を受けた、証券会社に勤めるカナダ国籍の男性がいる。育休申請を会社に断られた挙句、「DNA鑑定書」の提出を求められ、さらに職場で「干された」。「このままじゃ日本は、世界から取り残されてしまう」。そう彼が語る理由は、どこにあるのか。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

まさか、自分が…

「私は、いままで日本人より日本人でいようと思っていました。だから、人一倍ルールを守ってきた。でも、もう黙ってはいられなかったんです」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券で機関投資家向けの営業部特命部長を務めるグレン・ウッドさん(47)だ。

流暢な日本語を操るカナダ国籍のグレンさんは、30年ほど前に来日。米大学院でのMBA取得を機に金融業界に足を踏み入れ、2012年にいまの会社に転職した。

これまで日本で働いてきて、仕事で嫌なことを感じたことはなかった。長時間労働の問題を見聞きしても、「自分は好きで仕事をしている」と感じていた。自分自身がハラスメントを受けることも、なかった。

一方で、妊娠したり、育休から復帰したりした女性たちへの「マタニティ・ハラスメント」の存在は知っていたし、見聞きすることもあった。

「子どもが生まれる」と聞けば、男性上司の態度は「コロッと変わった。すごく優秀な女性でも、戦力外通告ですよ」。

全員が男性だったという会議で、「あいつはもうやっていけないだろうな」と語る幹部もいたという。

「おかしいとは思っていた。でも、声を出したことはありませんでした。何か話すと、村八分になるから……」

まさか、自分が同じ目に遭うとは、思っていなかった。

育休なんて「ない」と一蹴

グレンさんの主張と、東京地裁に仮処分申請のために提出された申立書を元に、経緯を振り返る。

2015年秋、グレンさんは初めて、子どもを授かることになった。仕事の関係でネパールに暮らすパートナーとの間に、だった。

出産のタイミングで渡航をしようと、会社には「しばらく休まないといけない」と相談をした。しかし、上司からは、「そんな制度はない」と一蹴された。

「こんなことは初めてなので、どうしたらいいかわからなかった。ハローワークに問い合わせをして、初めて、『育休』が法律で認められている権利だと知ったんです。『ない』と言われることも、ハラスメントになりうると」

グレンさんが人事部に確認をすると、制度が存在することを認めた。しかし、それでも取得はできなかった。「母子手帳がないと受け入れられない」という理由からだ。

出産するのは、ネパールだ。国籍もカナダで、母子手帳があるわけもない。

代替措置としてDNAによる父子鑑定の証明書を提出するということで折り合ったが、それは、出産後でないと不可能な条件だった。

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最終更新:2017/11/11(土) 21:12
BuzzFeed Japan

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