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ブラジル将棋名人戦=最後の70歳差対決!=全伯名人位、加藤くんに=毅然と時間切れ決着拒否

11/11(土) 6:17配信

ニッケイ新聞

 ブラジル将棋連盟(吉田国夫会長)は15日、『創立70周年記念名人戦大会』をサンパウロ市の同連盟会館で行った。本選決勝は、6月に行われた全伯王将戦と同じく、14歳の加藤修仁くん(東京、当地五段)と84歳の青木幹旺さん(群馬、当地八段)による70歳差対決。試合中盤、青木さんの持ち時間が切れ、あえなく決着かと思われた。ところが加藤くんが継続の意志を表明したため、勝負は続行。百手を超える攻防の末、前回の雪辱を誓う加藤くんが、奇しくも70歳差で第七十代名人位を奪取した。

 予選リーグを抜け、本選トーナメント決勝に勝ち進んだ加藤くんと青木さん。加藤くんは2015年に駐在員子弟として家族で来伯した少年棋士。日本では東京将棋会館道場に通い、道場初段の免状を持つ。一方、青木さんはコロニア将棋界全盛の1962年に当地名人位を奪取してから、連盟主催の大会で史上最多48度の優勝経験を持つ歴戦の古強者だ。
 6月の全伯王将戦で初めて戦った二人。決勝戦では、10年前の開頭手術の後遺症に苦しみながらも、70歳の年齢差を制して勝利した青木さんに注目が集まった。今回再び相まみえた両者だが、共に今回が最後の大会になりそうだ。その理由は青木さんが体調不安から、加藤くんは近々帰国との話もあるとか。
 最終決戦に観衆の期待も高まるなか、試合は加藤くんの先手で始まった。盤面、前回と同じく相居飛車の矢倉戦模様。一進一退の攻防が続く中、机上の試合用時計だけが前回と違う。
 今大会では両者に15分ずつの持ち時間が与えられ、それが切れると一手30秒以内に指さなければ負け。時計は自分の番になると自動で動き出し、一手指し終わる度に上部のボタンを押して、進行を止める。
 「青木さん、ボタン、ボタン!」――周囲から慌てた声が飛ぶ。当地の将棋大会では、試合用時計を使わない事が多く、また青木さんは手術の後遺症で注意力が散漫になっていて時計の操作をつい忘れてしまう。声を掛けられる度、不承不承ボタンを押す。そんなやり取りが繰り返えされ、青木さんの持ち時間は考慮時間の数倍の速さで過ぎ去った。
 互角の形勢で迎えた中盤。青木さんの持ち時間を示す時計表示が「0」になり、敗北を告げるアラームが鳴った。ざわつく観衆。「こんな幕切れでいいのか」と残念そうな声が漏れる。
 それでも将棋盤から目を離さぬ二人。青木さんに動き。来る終盤の激戦に備えた守備を重視した一手。それに応じて加藤くんも一手。戦力を集中して攻勢を加速させる意図とともに、時間切れでの決着を拒否する意志が込められている。鳴り止まぬアラームのスイッチを加藤くんが黙って消すと、会場には駒音だけが残った。勝負を見守る一同もほっと一安心。

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最終更新:11/11(土) 6:17
ニッケイ新聞