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公務員ランナー・川内優輝が目指す「世界」とは全く違うものだった

11/14(火) 16:02配信

スポーツ報知

 やはり、彼の一挙手一投足には自然と目を向けてしまう。公務員ランナー・川内優輝(30)だ。12月3日の福岡国際マラソンに向け、11月はフランスのカンヌ(5日)、さいたま国際(12日)の2つのフルマラソンに出場。そして毎年“仕上げ”にしている上尾ハーフ(19日)から福岡を目指す。今夏のロンドン世界陸上9位で日本代表に“ひと区切り”をつけたが、今でも陸上界の主役のひとりだ。

 11年に大邱世界陸上代表に内定した東京マラソンの前日。取材のリクエストに応えてくれた川内は、1時間近くも笑顔で話を続けてくれた。実業団主流の中、仕事をしながらレースを練習代わりに使うことなど、話を聞いていて新鮮だったことを今でも覚えている。もちろん翌日の本戦で一時遅れを取りながら終盤に巻き返して3位となった豪快なレース展開にも度肝を抜かれたが…。

 担当を離れ、5月の仙台国際ハーフマラソンが行われた際、久々に直接取材できる機会があった。「久しぶりじゃないですか」と笑顔で迎えてくれた川内に、私は率直に「世界陸上が終わったら、もう世界は目指さないの?」と聞いてみた。「いや、そんなことはないですよ」と笑いながら、こう続けた。

 「世界中にたくさんの大会があるじゃないですか。選考会を意識しないのであれば、ワールドマラソンメジャーズ(東京、ロンドン、ボストンなど、ポイント制で総合優勝を競う大会)にもそうだし、今まで以上に行けると思うんです。海外でも応援してもらえるのはうれしいし、おかげさまで、南米以外には行くことができました。もちろん全国各地の大会にも出て行きたい」

 私の言う「世界」は「日本代表として五輪、世界陸上を目指す」という意味だったが、彼の「世界」は全く違っていた。以前、取材した際「私の場合、マラソンを楽しむためにお金を払っている」と話しているのを思い出した。「速く走りたい」という姿勢も変わらないが、マラソンを楽しんでいるからこそ、形にとらわれなくても活躍を続けられるのだろうと思えた。

 毎年、30レース前後に出続けている川内。それでも、まだ行けていない県があるという。「レースに出ていないところはまだいくつかありますが、プライベートも含めると三重県に一度も行ったことがないんです。瀬古(利彦)さんや野口みずきさんの故郷なんですけど、野口さんの冠レースが福岡と重なっていたりして…」。三重も含め、毎週のように市民マラソン大会が行われるようになった。代表から遠ざかっても「全国制覇」や「フルマラソン100回完走」など、新たな“記録”で沸かせてくれることを期待したい。(記者コラム・遠藤 洋之)

最終更新:11/14(火) 16:04
スポーツ報知