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日本の教育はどう変わる?~アクティブ・ラーニングの実践者に聞く~

2017/11/13(月) 10:00配信

ベネッセ 教育情報サイト

2020年に向けて改革が進む日本の教育。今後、日本の教育はどのように変わっていくのでしょうか?
今回は、「アクティブ・ラーニング」や教育改革に向けて保護者がやっておくべきことなどを、私立中高一貫校の学校長を務める石川一郎さんにうかがいました。

アクティブ・ラーニングとは正解のない問いに向き合うこと

アクティブ・ラーニングは現在、2020年に向けて行われる教育改革の話題と併せて、よく取り沙汰されています。私は1980年代のバブル景気の頃に教員になったわけですが、生徒さんたちに勉強を教えるなかで感じたさまざまな気づきや、あるいは「日本の教育はこのままでいいのか」という思いが、子どもが興味を持って自分で考える機会をつくり、それが生きていくためのスキルにつながるような教育への関心につながっていきました。それらがアクティブ・ラーニングに取り組むきっかけになったのです。

私はアメリカの教育現場もいろいろと研究してきたのですが、そこで着目したのが、「クリティカル・シンキング(批判的思考)」や「クリエイティブ・シンキング(創造的思考)」といった考え方です。それまでの日本の教育は、単純な知識やテストの解法パターンを教えることが中心で、論理的な考え方や表現の方法を教える機会がありませんでした。ここに深く考えさせられたわけです。

実際の授業を例にとると、理論的な思考とアクティブ・ラーニングの結びつきがわかりやすくなるかもしれません。たとえば、歴史の授業で「応仁の乱」について扱う場合、まず学ぶのは複雑な人間関係と何年にどんなことがあったのかという知識の部分だと思います。1467年に起きた戦いだということや、今の京都(山城国)で起きた戦いでかなり長い期間にわたって行われたといったことが知識の部分でしょう。

次に問われるのは「応仁の乱はなぜ起きたか」「応仁の乱はどういう内容か」という知識を組み合わせたり、あるいは要約したりして答える問題ですね。アメリカではここから一歩進んだ本質的な質問を生徒さんに投げかけます。たとえば「応仁の乱はどうやったら防げるか?」といった問いです。

これはある意味で究極の問いですよね。複雑な人間関係のなかで起きた応仁の乱のような長期的な争いは、実際の社会でも起きかねません。同じような争いが起こったときに「構造的にどこを変えれば争いが防げるのか?」というふうに「正解のない問い」の答えを考えていくことが、クリティカルでクリエイティブな思考なのです。

実際に社会に出ると正解のない課題というものは日々出てきますね。大人は日々、こうした正解のない課題に向き合っているわけですが、こうしたアクティブ・ラーニングに生徒さん1人ひとりが意欲をもって取り組むためには、さきほど説明したような「正解のない問い」が有効だと考えています。

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