ここから本文です

圧倒的シェア誇る弥生が目指すのは業務プロセス全体の自動化

11/15(水) 9:00配信

アスキー

弥生シリーズが誕生から30周年を迎え、今後の展望が明らかになった。

今回のことば
 
 「30年間、スモールビジネスに寄り添った製品を投入してきた弥生が、これから目指すのは事業の立ち上げから成功までを支援するスモールビジネスの事業コンシェルジュ。いまはまだ『見習いコンシェルジュ』の段階」(弥生の岡本浩一郎社長)
 
 弥生が開発、販売する業務ソフト「弥生シリーズ」が今年、誕生から30年目の節目を迎えた。
 
 同社の創業は1978年だが、1987年10月に弥生シリーズの第1号製品となる「青色申告会計 弥生」を発売した。
 
 「それまでは、帳簿は手書きであり集計には電卓を使っていた。まだPCが普及しはじめの段階であり、徐々に会社のなかでも利用されはじめてきたところ。弥生を使う人たちは、PCの初心者であり、会計も初心者。その時期から中小企業、個人事業主といったスモールビジネスに寄り添った製品を投入し、スモールビジネスの会計を根本から変えてきた」と、弥生の岡本浩一郎社長は語り、「長かったようで、短かったような30年だった」と振り返る。
 
3人に2人が弥生会計を選択している
 いち早くWindows版に対応したことで、Windows 95の発売以降、普及に弾みがついたほか、2012年にはクラウドアプリ「弥生オンライン」の提供を開始。現在では160万社が利用。デスクトップ分野、クラウド分野ともに、ナンバーワンシェアを獲得している。
 
 「デスクトップアプリでは業務ソフトにおいて、18年連続でナンバーワンシェアを獲得。申告ソフトでは、13年連続でトップシェアとなっている。シェアは66.2%。3人に2人が弥生会計を選択していることになる。また、個人事業主向けのクラウド会計市場では56.8%のシェアを持ち、圧倒的シェアとなっている。弥生が多くのスモールビジネスに利用されている理由のひとつは、会計事務所とのパートナーネットワークである弥生PAPの存在にある。現在、8444事業所が参加している」などと述べた。
 
 2017年9月期の2017年度通期業績で売上高は170億円に達し、売上高、利益ともに過去最高を更新。それまでの過去最高だった2014年度には消費税率の変更での特需が生まれたが、今年度はそれを超える業績だったという。安定的な成長を遂げていることの証だ。
 
 「30年の歴史のなかでは会社の名前も変わり、株主も変わったが、誕生から普及、発展へとつなげることができた。今後、さらなる進化を遂げていくことになる」とした。
 
弥生が目指すのは「事業コンシェルジュ」
 今後のさらなる進化として岡本社長が掲げるのが「事業コンシェルジュ」だ。
 
 弥生が目指す事業コンシェルジュとは、弥生シリーズによる「業務効率の徹底追求」と、あんしん保守サポートなどで提供してきた「業務支援サービス」、そして、新たに設立したオンラインレンディングのALTを通じた融資などの金融支援による「事業支援サービス」を組み合わせ、スモールビジネスの事業の立ち上げから、事業の成功までをサポートすることを指す。
 
 岡本社長は「弥生シリーズによる業務効率の徹底追求と、あんしん保守サポートによる業務支援サービスまでは、業務ソフトメーカーの役割。これに、事業支援サービスを加えることで、事業コンシェルジュと呼べるようになる。これまでは、事業コンシェルジュを目指すといっても、まだそれが実現できる体制が整っていなかった。コンシェルジュ見習いの域を出ていなかった。だが、いよいよ本格的な一歩を踏み出せる」とする。
 
 年内にはALTによる事業支援サービスの概要を発表する予定であるほか、これ以外にも岡本社長の頭のなかには、いつかの事業支援サービスの案があるようだ。
 
業務プロセス全体を効率化・自動化する「業務3.0」
 そして事業コンシェルジュの実現においては、業務プロセス全体を効率化、自動化する「業務3.0」を推進する姿勢を見せる。
 
 かつての手入力と手計算による作業を「業務1.0」、弥生などの登場により、集計を自動化したものの、手入力作業が多く残る時代を「業務2.0」と位置づけた。対して、今後テクノロジーの力を活用し、業務プロセス全体を自動化し、効率化できる世界を業務3.0としている。
 
 「業務2.0によって個別業務などは効率化されたが、全体をみると二重入力などの無駄な作業が残っている。だが業務3.0では、クラウドとAIで業務を自動化および効率化する『スマート』と、事業者内外をクラウド/APIでつなげて、プロセス全体を効率化する『コネクテッド』によって、計算も、入力も、すべて自動化することになる」と語る。
 
 30周年記念製品ともなる今年の新製品「弥生18シリーズ」は、スマート取引取込の強化などの「クラウド連携による利便性向上」、仕訳一括置換や予定在庫管理などの「お客様の声に基づく利便性改善」、平成29年分所得税確定申告対応や平成29年分年末調整対応といった「法令への確実に対応」が強化ポイントとなる。
 
 金融機関などの取引データや、レシートなどの紙証憑の画像データの自動取り込みをし、自動仕訳するスマート取引取込による利便性向上、クラウドアプリ「やよいの給与明細オンライン」とデスクトップアプリ「弥生給与」の連携など、クラウド連携を実現している点も見逃せない。これらは業務3.0に向けた大きな一歩だ。
 
 「弥生会計の登場により、後工程が自動化したのに加えて、今回の新製品によって、前工程も自動化することになる。弥生会計が進化することで、業務3.0を構成する『会計業務3.0』が立ち上がることになる。今後は、商取引、給与・労務の領域にも自動化を拡大することで、会計業務3.0に加えて、商取引3.0、給与・労務業務3.0も実現し、全体で業務3.0の実現につなげたい」と意欲をみせる。
 
中小企業も引き続きターゲットに
 「あらゆる角度から、スモートビジネスの業務が滞ることがないように支援をしていく」と、岡本社長。「当社の主要ターゲットとなる10人以下の企業では、まだ4割しか会計ソフトを使っていない。まずは、これを5割にまで引き上げたい」とする。
 
 今年は、イメージキャラクターに女優の芳根京子さんを起用。2016年のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロイン役を演じた芳根さんが、「やよいちゃん」となって、中小企業を支援し、企業の成長をサポートする役割を担う。
 
 「どの会社にも、やよいちゃんが欲しいはず。弥生は、そんな企業になりたい」と岡本社長は語る。30周年を迎えた弥生が、事業コンシェルジェに向けて新たな一歩を踏み出した。
 
 
文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

最終更新:11/15(水) 9:00
アスキー