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「光」の音楽を手がけたテクノの巨匠ジェフ・ミルズ、目指したのは「ぎくしゃく感」

11/15(水) 13:30配信

映画.com

 [映画.com ニュース] テクノ・ミュージックの巨匠として知られるジェフ・ミルズが11月14日、大森立嗣監督と共に東京・Apple銀座で行われたトークイベントに出席。自身が音楽を手がけた「光」について語った。

「光」トークイベントの模様はこちら!

 井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミの共演で、人気作家・三浦しをん氏の小説を映画化。東京の離島・美浜島に住む中学生・信之は、交際中の同級生・美花を守るために殺人を犯してしまう。その翌日、島を大災害が襲い、信之、美花、幼なじみの輔と数人の大人だけが生き残る。25年後、妻子と共に暮らす信之(井浦)の前に輔(瑛太)が現れ、過去に犯した事件の秘密を握っていることをほのめかす。

 作曲を開始する前、本作のラッシュを見た段階で、「ぎくしゃく感はそのまま残して、パズルがぴったり合わない方がよいのではないかと考えた」とあえて音楽を異質なものとして使おうと考えたというミルズ。「スタジオには古いマシーンもあるんだけど、そういうものはおのずとチューニングが狂う。それをあえて使って、奇妙なトーンが生まれた瞬間を中心にして曲を作っていったんだ。音にまで人格があるようにできたんじゃないかな。登場人物の“意識”になったらいいと思って作っていた」と曲作りの内側を明かした。

 完成品を見た感想は「非常に満足している」とほほ笑み、「最初に見たものよりも、より奇妙な感じに仕上げてきたね。その状況にぽんと放り込まれた人々を描いていて、現実なのか夢の中の風景なのかもあいまいで、不気味さが漂っている。ドラマ以上ホラー未満とでもいうかな。らせんの中を、どんどん奈落に引き込まれていく。その一部に自分もなってしまうというような……忘れられない作品になっているね」と大森監督の手腕をたたえた。

 対する大森監督は、本作でこれまでの映画作りを改めて見直そうと努めたと明かし、「ジェフさんの音楽に出合ったのは、父親(麿赤児)の舞踏の音楽をジェフさんがやっていることから。聞いていて、面白い、なんだこの音楽はと思っていた。引っかかりがあり、字余りな方が、人の心に傷が残せるんじゃないかという思いはありましたが、ジェフさんと組むのは自分でもすごいチャレンジだった」と振り返る。

 ミルズとのコラボレーションについては、「ジェフさんが、『キーワードを送ってくれ』とおっしゃったんです。“白い月”とか“椿”とか送ったんですが、住む場所も生きてきた環境も違うから、どうとでもとらえられるわけです。僕が分かってほしいと思うものと全く違うものができてくる可能性があって、それを楽しまなきゃいけないんじゃないかという思いもありましたし、そのやり取り自体がすごく面白かったですね」と大いに刺激を受けた様子。

 ミルズの音楽がついたことで「井浦新くんや瑛太くんが宇宙人に見えてきたり、川崎が別の惑星に見える瞬間があり、僕も驚きましたね」と自分でも予測できない次元にまで作品が到達したという大森監督。「僕自身がそういう映画を見たことがないということもあり、どこで音楽を使うかは1番苦労したところです。最初の音楽にはびっくりすると思う」と観客の期待をあおっていた。

 「光」は、11月25日から全国公開。

最終更新:11/15(水) 13:30
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