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この数十年で圧倒的に変わった、吉田兄弟が感じた三味線への評価

11/15(水) 14:31配信

MusicVoice

 兄弟三味線奏者の吉田兄弟が、映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(11月18日全国公開)で、エンディングソングとなる「While My Guitar Gently Weeps」を演奏している。

 今年の『第30回東京国際映画祭(2017)』にも特別招待作品として出展された、映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、『コララインとボタンの魔女 3D』などを手掛けた大手アニメーションスタジオ・LAIKA制作によるストップモーションアニメ。昔の日本を舞台に、魔法の三味線と折り紙を操る片目の少年・クボが、両親の仇である宿敵・月の帝と対峙する中で、出自の秘密を探る壮大な冒険に挑む姿を描く。

 本国版のボイスキャストにはテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などに出演したアート・パーキンソンをはじめ、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ジョージ・タケイら著名な俳優陣が参加する一方で、美しい映像描写で描かれる、海外の人から見た日本の魅力的な姿も特徴的な作品となっている。

 吉田兄弟が演奏する曲「While My Guitar Gently Weeps」は、故・ジョージ・ハリソンが手掛けた作品。故人が所属していたザ・ビートルズの曲としても有名なナンバーで、その印象的なメロディを、吉田兄弟は三味線で演奏することによって、タイトルを彷彿させる光景とともに映画の情景を表現している。

 古来の日本を描くという大きなポイントを持つこの作品と、日本の象徴的な楽器・三味線の代表的な奏者である吉田兄弟のコラボレーションは、ある種大きな意味を持つものでもある。

 今回は吉田兄弟に、この映画への参加に対するアプローチを振り返ってもらうとともに、映画の印象や、映画を通じて感じた三味線音楽の可能性などを語ってもらった。

「三味線である意味」を意識しました

――今回、この映画のエンディング曲としてお二人がプレーしている「While My Guitar Gently Weeps」ですが、この楽曲自体は以前からご存じの楽曲だったのでしょうか?

健一 曲自体は、実は昔に、僕のソロライブで演奏したことがあったんです。もう3~4年前になりますが、その経験からも、三味線でやっても大丈夫な曲だという思惑が、自分の中にあったんです。ただ当時は、メロディをそのまま弾くというだけで、半分はちょっとお遊びみたいな感じでやっていたんですけど…タイトルも「While My “Shamisen” Gently Weeps」と紹介して(笑)。

 今回こういうお話をいただいた時に、英語版の方は歌が入っているけど、自分たちのプレーではどれだけ三味線感を出せるかということをテーマとしました。歌じゃないものにした場合に、ただメロディを三味線でやってもそれほど意味はなくて「ギターでいいじゃん?」という話になってしまうので、やっぱり三味線らしい力強さとかアドリブ、後半にかけてどう盛り上げるか、というところでフレーズの作り方とか、そこはかなり意識して取り組みました。

――確かに、海外の方から見れば、三味線はギターという感じなのかな、と。

良一郎 そうですね。まあ「ジャパニーズ・ギター」って。

健一 いつも僕らがアメリカとかに入国する時は、「ジャパニーズ・ギター」と説明します。または「ジャパニーズ・バンジョー」ですかね、近いところでは。

――なるほど。この楽曲自体は、オファーをいただいた時には、既に指定されていた格好ですか?

健一 いや、「一緒に何かをやりたい」という話があった時に、「ではどういう風にプロモーションの課題としていこうか」とお互いに意見を出し合った時に、逆に僕らは「いや、だったらあの曲であれば」と言ったんです。ライブでやった経験もあるから、絶対に三味線で良いものができるという自信もあったので、こちらから「どうでしょう?」と提案をさせていただきました。

――この曲は最初にマイナーキーで、途中でメジャーキーのメロディに変わりますが、敢えてメジャーのところを弾かれていないように聴こえたのは、“三味線”ということを生かしてのことかと思いました。

健一 メジャーキーの部分でも、実は弾いているところもあるんです、弾き方を変えて。ただ弾かないのであれば意味がないので、優しく弾いたりとか、三味線の幅の中でどう違いを見せていくかということは、結構考えましたね。

――三味線を前面に出すという部分には、いろんな苦労がありそうですよね。この映画のテーマということで考えられたことはありますでしょうか? 日本という舞台でもありますが、演奏面ではどう反映されたのでしょうか?

健一 僕が最初にこの映画を見た時に印象に残ったのは、場所ではなく、出てくる民謡だったりというところなんです。実は序盤に出てくるお祭りのシーンなんかで使われている曲が、九州の曲だったりするんですよね。だから最初はそっちの方で攻めていくのかなと。でもやっぱり途中、折り紙をどんどん折っていくシーンなんかは、かなり津軽三味線のイメージを表現しているような…。

――雪が舞うようなイメージですよね。

健一 そうです。たぶん僕らも、両方ともおそらく要求されているものというか。先程の「津軽三味線の激しいところと、メジャーキーになった時に優しく弾く」というものもそうなんですけど、両方求められているのだと。なのでそれは確かに意識しましたね。民謡の良いところと、津軽三味線っぽいところと、合わせて洋っぽいところというか。

良一郎 もともと歌が入っていたものだったから、そっちじゃない方に行きたいな、と思ったんです。僕たちがプレーする津軽三味線は、最後は細かくなって駆け上がっていくという感じがありますので、それはちゃんと盛り込んでいきたいなというところは、強く意識しました。

――それはやっぱりご自身のプライドみたいなところですかね? 意味を強く見せるというか。

良一郎 まさしく! 先程言った「三味線である意味」というか、その辺はすごく意識しました。

――プレーに関しては、アレンジャーの井上(艦)さんとのやり取りが主ですか?

健一 基本的に楽曲に関してはそうですね。まさに僕が以前にこの曲をプレーした時は、その彼とやっていたということもあって、最初に話した時にも「あの曲だったら、絶対に問題ない」という言葉をもらっていました。

――では自信をもって日本の文化を、という…。

健一 そう、だから最初は敢えて、メロディもすごくシンプルに、単音で見せていって、後半はもう畳みかけるように演奏していくというスタイルを、今回はとっています。

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最終更新:11/15(水) 14:31
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