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「まさか歌ってもらえるとは」機内で熱唱の松山千春に全日空機長が感謝 コンサート終了後に再会

2017/11/17(金) 15:44配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

 歌手の松山千春さん(61)が、搭乗した全日空機内で、出発が遅れていら立つ乗客を和ませようと代表曲「大空と大地の中で」を熱唱した”神対応”から3カ月。松山さんは14日、都内で開いたコンサートに同機機長の秋山秀文さん(61)を招待し「機長の英断」とたたえた。松山さんは一連の出来事を「縁だ」と振り返る。いくつもの偶然が重なり実現した奇跡と、地上での再会物語をお届けしたい。

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 「秋山機長、どこにおいでですか? その節はすいませんでした~」。

 14日夜、東京・丸の内の東京国際フォーラム。公演中、松山さんがサプライズで客席に呼び掛けた。

 1階席で立ち上がったのは秋山機長。笑顔で松山さんに手を振ると、5000人の観客から惜しみない拍手が送られた。

 8月20日、北海道・新千歳空港。午前11時55分の出発予定だった大阪(伊丹)行きの全日空機は、Uターンラッシュによる保安検査場の混雑のため、午後1時3分まで出発が遅れた。松山さんは同0時50分ごろ、秋山機長の許可を得て機内放送用のマイクを使い「ほかの便も満席です。この便に乗らないと大阪に帰れない人がいる。待ちましょう」と呼び掛け、熱唱したという。

 コンサートで、松山さんは「『どうしたんだよ、飛べよ』という乗客の声も聞こえ、いら立ちがはっきり分かった。何とかしなきゃなと思った」と当時を振り返った。「機長が全責任を持ってやってくれた。(乗客に)楽しい思い出とともに北海道から大阪に帰ってもらいたい気持ちが強かった」と歌に込めた思いも吐露した。

機長の思い「何とかしたかった」

 現在、ボーイング777の機長を務める秋山機長。飛ぶのは主に国際線で、国内線にはめったに乗らないという。久しぶりに国内線に乗務し、数ある路線の中で札幌発大阪行きの担当となり、松山さんが乗り合わせたというわけだ。

 あの日――。客室乗務員から「松山さんがマイクを貸してほしい言っている」と連絡を受けた時はまだ、保安検査は続いていた。

 「(検査は)あと15分はかかる予定で、何とかしたかった。松山さんはお会いしたことないけど、信頼できる方だと思いました。ほかの人なら絶対許可しないでしょう。まさか歌ってもらえるとは思っていなかった」

 危機管理上、乗務員以外へのマイクの使用許可は、例外中の例外。機長ももちろん初めての経験だった。許可しても、何かトラブルが起きそうになれば、機長の判断でスイッチを切ることもできるため、あらゆる想定と構えをしていたという。

 しばらくすると、ヘッドホンから聞こえてきたのは「果てしない~♪」。あの独特の歌声だった。実は松山さんの大ファンだった機長。「お客さまを差し置いて、私が先に感動してしまいました。松山さん、ありがとうございました」と機内アナウンスで礼を述べた。

 秋山機長はしみじみ語る。「批判されると思ったが、世間のみなさんに擁護してもらえて助かりました」

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