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【コラム】復活した日本屈指の技巧派MF清武弘嗣…E-1選手権でラストアピールへ

11/20(月) 18:29配信

SOCCER KING

 世界トップとの実力差を見せつけられた11月の日本代表・欧州2連戦(10日=ブラジル、14日=ベルギー)。香川真司(ドルトムント)が選から漏れる一方、長澤和輝(浦和レッズ)が大きなインパクトを残すなど、攻撃的MFのポジション争いが一段と激化した印象だ。今回2試合でチャンスを与えられながら不発に終わった森岡亮太(ワースラント・ヴェフェレン)も巻き返しを図るだろうし、ケガで離脱している柴崎岳(ヘタフェ)らも2018 FIFAワールドカップロシア行きを諦めるはずがない。来年5月のメンバー発表まで一進一退の状況が続くのは間違いなさそうだ。

 そんな中、忘れてはならないのが、ここへきて復調傾向にある国内組の清武弘嗣(セレッソ大阪)だ。スペインの強豪セビージャに所属していた1年前、彼は最終予選・サウジアラビア戦(埼玉)で香川から先発を奪い、レギュラー定着へ大きな一歩を踏み出そうとしていた。が、今年に入って古巣・C大阪復帰を決断。そこでコンスタントに試合出場できればその選択もプラスに働いただろうが、結果的に4度のケガに直面し、3月のUAE(アルアイン)・タイ(埼玉)2連戦を最後に代表から遠ざかる形になっている。苦境にあえぐ清武が逆転でロシア切符を手にするためには、12月のEAFF E-1サッカー選手権(E-1)で強烈アピールを見せるしかない。

 本人もそのことは重々承知のはず。しかし9月後半に左ハムストリング筋損傷から復帰してからは焦らずコンディションを上げることに努めてきた。尹晶煥監督も「少しずつプレー時間を増やしていく」と語り、細心の注意を払いながら彼の完全復活を促してきた。そのアプローチが功を奏したのか、11月に入ってJリーグYBCルヴァンカップ決勝で躍動。チームの初タイトル獲得の原動力となることに成功する。さらに11月18日のJ1リーグ・横浜F・マリノス戦では1ゴール1アシストの大活躍。本来の輝きを確実に取り戻しつつあるのだ。

 横浜FM戦はアジアチャンピオンズリーグ出場権を争う相手との直接対決ということで、C大阪にとって重要度の高いゲームだった。だが、試合の入りが悪く、ダビド・パブンスキーにいきなりミドルシュートを決められると、前半は流れをつかみきれず嫌なムードも漂った。それでも、後半に入ると選手たちが高い修正力を発揮。大量4得点を奪って逆転勝利をモノにする。その火付け役となったのが、64分に同点弾を挙げた背番号46の清武だった。左サイドでタテ関係を形成する丸橋祐介からのパスを受け、左足を一戦。豪快にネットを揺らしたのだ。

「後半はマルが『蛍(山口)とソウザの近くにおった方がいいよ』と言ってきたので、僕はちょっと下がりながらボールを触って前に出る形を意識しました。そうやって2枚目から出てくる選手を相手がつかみ切れていなかった。マルもうまくタメを作ってくれたし、いい感じで取れました」と本人も満足そうに語っていた。

 この4分後に生まれた水沼宏太の逆転ゴールのシーンではより一層、彼の存在感が光る。左に開いた柿谷曜一朗からのパスを受けた清武は、左足ダイレクトのバックヒールでボールを前線へ送った。そこに水沼が飛び込んで逆転弾を叩き込む。見るものをくぎ付けにする芸術的プレーで、28歳になったファンタジスタは2点目をお膳立てしてみせた。

「ヒールパス? イメージ的には曜一朗を狙ったんですけど、宏太がいた(笑)。宏太を狙ったわけじゃないけど、ああいうところに宏太が走り込んでいるというのは、今のチームの距離感がすごくいいってことですね」と彼は満面の笑みをのぞかせた。柿谷には「ミスキック」と冷やかされたが、それも含めて創造性あふれるプレーにしてしまうのが、この男の卓越したテクニックのなせる技。これだけの高度なボールコントロール力を備える日本人MFはそうそういない。清武が日の丸をつけていない現状があまりにももったいないと、多くの人々が感じたことだろう。

 これだけパフォーマンスが上がってきたのだから、12月のE-1は任せてもよさそうだ。本人は「大会に向けてペースアップ? いや、別にないです」とアッサリしていたが、2014年のブラジルW杯でコロンビア戦(クイアバ)のわずか8分のみの出場に終わった屈辱感は脳裏に焼き付いているはず。「(当時同じニュルンベルクに所属していた)長谷部(誠=フランクフルト)さんみたいにキャプテンマークを巻いてW杯のピッチに立ちたい」と語気を強めたことも忘れていないだろう。その思いを結実させるためにも、J1残り2試合で華々しい活躍を見せ、代表につなげたいところだ。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も清武が代表から外れた6月のイラク戦(テヘラン)の際、「清武がいない」とボヤいたことがあった。そんな発言をするのも、彼のドイツ・スペインでの国際経験値を高く評価しているから。ハノーファーで10番をつけて攻撃のタクトを振るった1年半前を彷彿させるような存在感をE-1で示せば、攻撃的MFの序列にも変化が起きるに違いない。今の清武なら、それだけの影響力を示せるはずだ。

文=元川悦子

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最終更新:11/20(月) 18:29
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